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「知らざあ言って聞かせやしょう」 1、歌舞伎と人形浄瑠璃は兄弟の演劇 その4

2017年03月05日 00時02分10秒 | 伝統芸能(歌舞伎など)
 「知らざあ言って聞かせやしょう」 心に響く歌舞伎の名せりふ 赤坂 治績 新潮新書 2003年

 1、歌舞伎と人形浄瑠璃は兄弟の演劇 その4

 江戸時代の人々は、知的創造物を私有化する権利、すなわち著作権という概念を持たなかったものの、原作を尊重する意識は強く持っていました。そのため、義太夫狂言の多くは原作(「本行(ほんぎょう)」と言う)の人形浄瑠璃に即して歌舞伎化され、せりふも基本的に人形浄瑠璃の詞章を踏襲しています。

 歌舞伎は成立した時から音楽性・舞踊性の高い演劇です。人形浄瑠璃は人形を「観る」演劇であると同時に浄瑠璃を「聴く」音楽でもあります。そのため、人形浄瑠璃の語りはもちろん、歌舞伎のせりふ術も音楽性が強いことが特徴になっています。

 歌舞伎では、朗誦するように言うせりふ術、欧米演劇でいうデクラメーション(朗誦術・雄弁術)を重視していて、このせりふ術を「歌う」と言います。また、義太夫狂言では、立ち役(男役)の見せ場である「物語」や女形の見せ場である「クドキ」は、義太夫の三味線に乗ってせりふを言います。(これを「糸に乗る」「乗り地」と言う。



 

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