明鏡   

鏡のごとく

『てぃらみす』3

2015-12-06 23:58:21 | 詩小説
とうふとくりーむちーずのてぃらみすをつくった。

とんとんとうふいっちょうあれば、なんとかなる。

くりーむちーずも、なんなら、ねんちゃくよーぐると(「てぃらみす」2参照)でだいようできる。

だいようをいかすもころすも、きみしだい。

でもやっぱり、はちみつはわすれないほうがいい。

ほぇーとのぶんりをわすれるためにも。

かさねるものは、ぐらのーらでなくともいい。

びすけっとをくだいて、こーひーでひたひたし、ついでにらむか、じんをぶちこめばいい。

そうして、かさねることだ。

だが、くれぐれも、つみは、かさねないこと。

『てぃらみす』2

2015-12-06 23:35:10 | 詩小説
よーぐるとをろ過させて、透明な「ほぇー」が滴り落ちてきた。

ねっとりとしたよーぐるとだけがフィルターに残り、それをてぃらみすにつかうのだ。

最初にあぼがどを滑らかにして、そこにはちみつと粘度がましたよーぐるとをまぜあわせると、みどりおりなす、ますかるぽーねのような風味をもつ。

ぐらのーらをしきつめ、まぜあわせたものを流し込み、また重ねて、繰り返す。

緑化計画に頓挫しながらも、あくなき挑戦を続ける地層のように。

そうして、きみの生まれてきた日を祝うのだ。

おめでとう。しあわせはきみ次第。と。


きみは、ひとくちたべて、「ほぇー」といった。

何かが抜け落ちたのに、気づいたらしい。

ここあだ、やっぱり。

もりながら。

そう思った。

『てぃらみす』

2015-12-06 22:42:01 | 詩小説

てぃらみすという名前の店があった。

曇り空から、急に空が緩んだのか、雨が降りだしたので。

シルバースプリングにいた時に、一人でカフェラテを飲みに行った時のこと。

自転車だったのもあり、傘も持たずにでたもので。

緩やかな坂道の途中にあるこの見えに立ち寄ったのだった。

店には、二十歳くらいの赤い服の女性が一人、カウンターの中に立っていた。

にこりともせず、こちらをじいっとみていた。

朝早くからの馴染みではない客に、すこし戸惑ったのかもしれなかった。

近所のコンビニエンスストアの親父に聞いたところによると、この店のあるエリアは、エチオピア人の人達が多く住む区域なのだという。エチオピア人の教会もあるという。

エチオピアの女性は美しい。

と昔仕事の関係でエチオピアに住んでいた父の知人に聞いたことがあった。

その当時は、エチオピアがどこにあるかも知らなかったのだが、アフリカ大陸にあるという、珈琲の樹の枝から、一粒の珈琲の赤い実を見つけたような、そんな艶やかな粒のようであったのだ。

私は、カフェオレをひとつ頼むと、彼女はやっと、道を尋ねられるのでも、強盗、ましてやテロリストなどでもなく、客として来たのだと安堵したのか、緩んだように軽く頷き、カフェラテ用のカップを手に持ちながら、すこし微笑んだようにみえた。

珈琲豆のような香ばしい色艶をした目の中に、吸い込まれそうになった。

珈琲を入れた白いカップを持って、彼女がやってきた。

私は、彼女の入れた珈琲には、彼女の生まれた所からやってきたのと同じ何か土から生まれたものと同じ成分が含まれているように思えた。

土にろ過された水とも、エキスとも、エイトスとも言えるような何か。

そうして、彼女は珈琲と一緒に、ここまでやってきたのだ。

などと思いながら、カフェラテをすすった。

よく、日本の味などというが、とどのつまりは、そこで出来た味というものは、そこの土を経て、水を持って、すすりとって生まれてきた味なのだということを思いつつ、エチオピアの珈琲を飲んでいた。

米の水が含まれているであろうエチオピアの珈琲。

人が動くごとに、ものが動き、世界が動いていくのだ。

私達は、動いている途中で、たまたま、同じ空間を共有しているだけなのだ。

とめどなく降る小雨に目をやりながら、もう一口、カフェラテをすすった。

小腹がすいてきたので、店のカウンターの向こうの彼女に、店の名前にもなっているてぃらみすを頼んだ。

大きな茶色い日干し煉瓦のようなてぃらみすがやってきた。

いよいよ土の香りがしてきたような気がした。

アフリカの大地の一欠片を口に含むように、イタリアでうまれたのも忘れないように。

めいくみーはっぴー。

という意味がてぃらみすにはあると聞いたことがある。