田舎神職の人生-自然の中で生きる

神明社に奉仕しながら、気ままに生きる日々の暮らしを、生かされて生きることに感謝しながら綴っています。

神棚に神宮大麻と産土神様の御神札を

2016年06月20日 20時29分48秒 | 日記
 昨日の神社庁柏崎支部神社総代会合同総会、繰り返しになりますが、187名という大勢の参加者が何の滞りも無く総会、講演会、懇親会を予定通りに進行し、皆さん満足して帰っていかれました。会場の手配から料理の注文、名簿作成、要項の袋詰め作業まで一人でやった事務局担当に只々頭が下がります。お蔭様で、私は何の心配も無く自分の役割だけでした。

 私の挨拶の写真を、事務局担当に頼んでこのブログ用にいただきました。



 私は、こんな挨拶をしました。

 本日は大勢の方にお集まりいただき、このように盛大に合同総会が開催されますこと、誠におめでとうございます。
 
 さて、今神社を取りまく環境は、以前に比べていろいろ厳しい状況にあります。中山間地域では過疎と高齢化が急激に進み、市街地では若い人を中心に氏子意識が薄れて神社から離れているようです。そんな中で氏子の先頭に立って神社の維持管理に努め、お祭りや伝統行事を伝えていただき、大変有難うございます。皆様方のご尽力に心から感謝を申し上げます。
 何といっても、神社は総代である皆さんが頼りです。今後とも、宮司さんと連絡を密にして盛り立てていただきたくよろしくお願いいたします。

 少し時間をいただいて、神棚のお話をさせていただきます。
 皆様のご家庭の神棚には御神札がどのように納められているでしょうか。横に広い神棚では、正面に伊勢神宮の「神宮大麻」を納め、向かって右の方に地元の神社の御神札を納めておられると思います。
 家庭でまずお祀りして日々の生活で感謝するのは、全国総氏神様である伊勢神宮の神様です。皆様ご承知のように「伊勢参り」の信仰は古くから全国に広がっていました。特に江戸時代には「お蔭参り」で、大勢の人が伊勢に向かった記録があります。伊勢参りの目印である柄杓を手にしていれば、道中でいろいろな人から施しや援助を受けられたそうです。奉公人が黙って伊勢参りに出かける「抜け参り」でも、御神札など参拝の証拠を持ち帰れば許されたと言われます。
 伊勢参りや神宮大麻は、明治以降の政府の政策ではないのです。ずっと古くから家庭や地域で伝えられてきた日本人の深い民間信仰なのです。これを後世に伝えていくことが私たちの使命ではないでしょうか。

 次にお祀りするのは地元の神社、産土神様、鎮守様の御神札です。私たちの普段の生活を見守って下さる神様です。皆さんの子供の頃は、神社は子供の遊び場ではなかったでしょう。春秋のお祭りには、豊作や地域の繁栄を祈って、餅を搗いたり親戚を呼んだり神楽舞をやったりして賑やかに祝う特別な日であったのではないでしょう。
 生活が急激に変わったのは最近五十年ほどの間と言われます。今は、お金さえあれば何でも叶うような物が豊かで便利な時代です。神様に祈る必要がない人が多いのかもしれません。
 しかし、今でも天候や自然現象など、人の手ではどうにもならないことは残っています。地震や災害に備えることはできても限界はあります。また、先日は、北海道の山中で一週間生き続けた子供の奇跡的な発見がありました。
 このままずっと神様や神社を必要としない世の中が続くとは限りません。時代はどう変わるか分かりません。お金よりも大切なものがあるのではないか。「地域が神社を中心に一つになって祈ることが大事である」という世の中がまたやってくるような気もします。今の若い人は、有名な神社をお参りして御守を受けて安心しているかもしれません。そんな若手の家庭に神棚を設けて「神宮大麻」と地元の神社の「御神札」を納めて、神様と身近に生活するようお話してみてください。

 最後に、この度の熊本地震では各神社から沢山の神社義捐金をいただきまして大変有難うございました。総額で160万円にもなりました。名簿を添えて神社庁にお送りいたします。もし、未だの神社がありましたら、期限が迫っていますので至急お願いいたします。また、今日も募金箱を用意しました。お気持ちをいただければ幸いです。

 以上少し長くなりましたが、ご挨拶に代えさせて頂きます。ありがとうございました。

「挨拶は、内容よりも時間が短いことを良しとする」というのが鉄則ですが、ゆっくり話したので、8分くらいかかったかもしれません。自己満足で終わったかもしれません。