カッキーYAMA   akihiko tange

手始めに、日常的なことを気の向いたときに載せていくつもり。

昨年2020の秋の夜に 

2021-05-14 | エッセイ

今日は暑い。雨降る昨日とがらっと変わって、気温がぐっと上がっている。



昨年の夏が過ぎ、秋に入り涼しい風が吹き出した頃、不思議なことに遭遇した。とても小さなことだった。

秋の夜長、夜更かししてテレビを観ていた。夜の1時を過ぎ2時を回った頃、リビングにいる僕の耳にキッチンの方から、カサッという音が聞こえた。小さな音で、気のせいかと思うくらいの音だった。テレビは深夜の景色のいい番組などを観ているため音消しにしていた。空気が少し揺れたくらいの、音とも言えないような小さな音。なんだろう? キッチンの方だな・・・。立ち上がり歩いてキッチンを覗いた。照明を点けた。特に変わったところはない・・・、???、あれっ??? 棚の上に置いてあるパスタの袋から1本だけ、パスタが出ている。縦に置いてある袋から縦に1だけ・・・。あまりにも小さなことで見逃せばそれで終わったかもしれなかった。自分が袋を開け調理した後に飛び出たまま仕舞ったのかもしれないとも思った。なにか変だな・・・。そう思いながらその日は過ぎた。


それから1日2日経ったころ、やはり深夜2時3時頃、テレビを観ていたら、またカサッという音が・・・。なんだろう? 今度は足を忍ばせ、そーっと数歩歩き、キッチンを覗くと、またパスタが袋から1本・・・。今度は確実に袋に入れていたので何らかの理由で1本だけ飛び出たのだろう・・・でも、なんで、どのようにして???。
ゴキブリの奴かとも思った。秋に入ってはいたが季節に関係なく、そヤツは出るときは出るからな・・・。
パスタは3、4センチ飛び出ている。前回もそう。だけどゴキブリというのがこんな器用なことするだろうか、深夜の丑三つ時だし何かの超常現象だろうか、、、。
深まっていく秋の夜の静けさと気温の低さからヒューッと寒い風でも吹き過ぎていくような気さえしたのだった。
僕は幽霊とか心霊現象などは信じない、というか頭に浮かばないくちなので、何か突飛な、想像もつき難い物理的な現象かなという気もした。
例えば、温度が夜になって下がり、パスタの表面の微妙なカサカサが擦れ合って1本だけ出てくるとか、、、ほら、よく手品でトランプカードの束から選んだカードだけがふーっと浮き上がってくるような、そんなのがあるじゃないか、、、そんなことがパスタにもあるのやもしれぬ、それだと面白いな、だけどそれだとパスタというパスタがどこの家でも深夜に1本だけ立ち上がるということになってしまうな、世の中でそんなこと話題にはなっていないな、聞いたこともないし、、、。
テレビを観て寝てしまった。

 

それから数日経った。

ねずみが走ったのである。いや、ホントにびっくりした。
どこに?って、家の中を・・・。リビングを・・・。すごい勢いで走ったのだ。家のある場所は郊外とはいえ住宅街ではあるのだ。街中なのだが・・・。いや人間のいるところにこそむしろ生息しているものなのかもしれない。ねずみがいるにはいるとは近所の人などから聞いてはいたけれどまさか中にいるとは。走っていやがった。

少し高価な茶碗やら置き物などが入れてある家具があって、その裏から走り出て、オーディオの置いてある棚の裏へと、3メートルほど。深夜の時間をテレビを観て静かに過ごす僕の視覚の中にそれが入った時は、んっ???ときて一瞬だが全身が泡立つ感じがした。ねずみだ!!!
家具裏から家具裏へと、右から左へと、まるで野球のバッテリーの隙をついて2塁へと盗塁する選手のように走った。方向もおんなじだ。

これまでのパスタ飛び出し現象の謎が氷解した一瞬だった。

まさか、自分の家の部屋の中に、中に、だ、ねずみがいるなんて想像もしなかった。そんな場面で黒っぽくて動くものと言ったらゴキブリぐらいしか想像できなかったのだが、一瞬のその姿に、ねずみだ!!なんてでっかいんだ!!と思った。
ゴキブリよりやはり、だいぶでかいな。意外と足細く長く、タカタカタカといった感じで走るものなんだな!! そう思った。

その直後、ねずみ君は、そう名付けた、オーディオの家具裏から走り出てリビングのドアを出、風呂場などのある水回りの方へ抜けたようだった。ようだったというのは、見えないのである。普通に生活しているときの普通の目の動きでは・・・。そのくらい動きが速くすばしっこい・・・。僕にとってはめったにない経験だった。

どこからか穴を通って家の中に侵入して来ているのか、今そこから逃げたか、あるいはまだ家の中にいるか、などと考えを巡らしつつその日は寝てしまった。睡眠は大事だ。明日の健康のために。

 

その翌日から1日2日、外から入り込む、あるいは内から出ると想像できる自宅の穴という穴を全部塞ぐという作業をゴソゴソとやっていた。ガムテープなどを使ってね。ねずみ君、家から出ていないとすれば、もう出入口は塞いだから数日で腹が減って餓死するかもしれない、食べずにどのくらいの期間生きられるのだろう?などと思いつつ・・・。
排水管などの状況は仕事柄、見えないところでも大体は想像できるのだった。

超常現象の原因がねずみ君と知ってからキッチンの、ある場所に餌になるパスタを少しだけ置いておいてやったよ・・・。

 

翌日、キッチンに小さく折って置いてあったパスタが消えていた。やはりまだ家の中にいる・・・、笑。たぶん水回りの洗面台やバスタブの裏辺りにいるのだろう。
その夜、今度は晩飯を食べ終わって静かにしているときだった。すぐ近くでまたカサッという音がした。見たらそのねずみ君だった。ザッと手を伸ばして追った。一瞬で逃げたようだった。リビングの壁伝いに走ってドアから出て、水回りの方へ逃げたようだ。壁伝いに走って逃げたとしか考えられないのだが僕の目ではまたもや捉えられなかったのである。動体視力は悪い方ではないのだが、相当すばしっこいことだけは分かった。また、ねずみというのが壁伝いに走ることも分かった。そういえば最初に見た時もそうだったな・・・。

 

また1日2日経った頃、やはり晩飯を食べていたら、視覚の片隅に動くものを感じたのである。そっちの方を見たのだが、グレーの影が動くようにしか見えないものなのだな。なかなか明確には捉えられない。影の動いた先の、足元近くの家具と壁の隙間を見たら、そこに小さな顔が見えていたよ。ねずみ君、こっちを見ていた。ほんの2、3センチの隙間だった。顔が通る隙間ならぶつからずに相当なスピードですり抜けるようだ。餌のパスタまでもう少しの距離。顔を出してこちらの様子を窺っているところを見ると、あまり目は良くないのかもしれない。そう思った瞬間にドンと床を踏み鳴らした。ねずみ君、反転してまたグレーの影と化し、影は壁伝いに逃げ口のドアへと向かった。そこでまた連続してもっと大きくドンと床を踏み鳴らすと、びっくりしたのかぴょんと小さく飛び上がりながらなんとか90度に曲がってドアから逃げ出て行った。この一瞬は目に見えた。丁度、アニメなどでねずみが慌てて逃げるときの動きと同じだった。

 

しばらく待つことにした。数日経った頃、狙っていた通りねずみ君がリビングの壁の隅を走るのを見た。今度は家具の裏へと移動した。丁度良い場所だ。すぐにその家具の反対側の隙間を塞ぎ、逃げ込んだところも塞ぎ、箒を持ってきて家具の裏の掃き出し窓を開け、その箒の柄を隙間に突っ込み、ドドドッと突つきまわした・・・・・。
多分、あれだけ敏捷だからあっという間に窓から外へと逃げ出しただろう・・・・・。静寂・・・・。笑。
箒を逆さに持ったまま立ち、追っ払い劇は終わった。

 

その後、キッチンの餌のパスタはそのままで消えることはなく、カサッという音もしないのだった。秋深まるばかり。






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下半身も座っているし
所謂、女投げとは違う

自分はウエイトトレ―ニングゆえか、
昔のようには投げられなくなった
投げると肩がゴキゴキという


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