山本あけみ「緑ゆたかな環境を子どもたちへ」

建築士や生活者として、都市計画・公共施設マネジメント・地球温暖化対策・SDGsなど、独自の視点で日々発信

私論:Yahooニュース「小学校での英語教育の教科化のまえに、やることがある」について

2015-06-12 | 活動日誌

先日、SNSに「小学校での英語教育の教科化のまえに、やることがある」(Yahooニュース掲載、貴戸理恵氏http://bylines.news.yahoo.co.jp/kidorie/20150610-00046453/)について書き込みをしたところ頂いたコメントの中に、私の書き込みの意図不明である、といったご意見がありましたので、少し詳しく触れておきたいと思います。

日本の教育費が世界的には最低ランクであるという不名誉な状況の中、家庭の経済的な事由によって子ども達の学びが左右されないよう、公教育を充実させる必要がある、と私は考えています。これまでも杉並区議会において、国際理解教育の推進に向けた夏季のイングリッシュキャンプや中学生海外留学、区内大学との連携による海外留学生との交流や教師の留学制度利用などを促進し、日本の中だけの価値観に捕らわれず、多様性を身近に感じる事で杉並の子ども一人ひとりが伸び伸びと自分らしい成長をするための環境整備を区が率先して整えるべき、と提言をしてきました。

また、私費でフィンランドとカナダの教育環境の視察にも行ってきました。

フィンランドでは、小学校高学年から英語が教科化されており、その教育を受けた年代の大人は全て一定程度英語を話し、街中のお店や公園で出会う人、駅で切符を買う時の窓口の人との会話などにも困りませんでした。これは、国を挙げての教育の成果だと考えます。

また、カナダのある都市では、公立の高校の一定数を海外留学者を受け入れ、多様性を学ぶために市費を投じて事業を行っており、杉並区でもオリンピック・パラリンピックに向けてこのような事業に取り組んではどうかと考えています。

現在はデジタル化社会の到来により、世界中を駆け巡っている膨大な情報に、いとも簡単に触れられる環境が整っています。しかしそのような状況であっても、理解できる言語が日本語だけであれば、得られる情報はどうしても限定的です。

もし、英語が理解できれば、CNNやBBCといった海外のニュースをニュアンスを含めて理解する事ができ、その事によって現在日本が経済・環境・教育など各分野においてどの様な状況に置かれているのかを、自らが考え知ることが出来ると思うのです。

また、小学校のうちから英語に慣れ親しみ、ネイティブとは言わないまでもツールとして使いこなすことが出来れば、コミュニケーションを通じて広い視野を持つことができ、身近な「多様性」の存在を認められるようになるのでは、と考えています。

杉並区は区費(年間7億円くらい)によって、国に先んじて30人程度学級を実現し、学習環境の充実を図り、課題の克服に向け成果を挙げています。

また、地域住民や保護者などが、合議制の機関である学校運営協議会を通じて、一定の権限を持って学校運営に参画し、教育委員会、校長と責任を分かち合いながら学校運営に携わることで、地域に開かれた信頼される学校づくり、特色ある学校づくりを推進する新たな仕組みである「地域運営学校」(コミュニティースクール)や地域の人々が様々な形で学校教育をサポートする「学校支援本部」(学校支援地域本部)を着実に広め、成果を挙げていると感じています。

子どもたちにとって、親と先生との上下の関係性だけで無く、いわゆる「ななめの関係」である地域の大人たちとの触れ合いが、彼らの社会性をしっかりと育んでいるのだと感じています。

今後は国内において、地域運営学校の全国的な配置と特別支援学級という枠からインクルーシブ教育への取り組みを進めて行き、大きく期待をしています。

このような状況からみても、「小学校での英語の教科化」は後回しにするべき施策ではなく、「社会の共生への取り組み」と歩を同じくして進めていくべき重要項目だと認識しています。

また、諸外国における小学校段階の英語教育の状況http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/05111603/007.htmを見ても、日本だけ取り組みが遅れていると感じ、焦りがあります。

多様な人とのやり取りに必要な英語を習熟し、社会の共生の実現に向けて多くの人が意識を注いでくれる社会を望んでやみません。