Avaloncity Central Park

不肖「信頼出来ない語り手」明智紫苑の我楽多ブログです。主に自作小説とカスタマイズドールを扱いますが、エッセイもあります。

「愚者」の微笑み ―劉禅―

2017-04-30 12:00:00 | アヴァロンシティ地球史博物館(掌編集)
 あの男、この私を呉王夫差や燕の恵王と同類扱いしていたか。

「あの男は簒奪の機会をうかがっていたのですよ。あの男が死去したのはつまり、全ての人にとって喜ぶべき事態であります」

 なるほど、我が父と比べて「凡庸」な私にすら「逆鱗」はあるのだ。我ながらお笑い草だ。「あの人」を侮辱した問題発言の男を一人処刑したくらいでは、私の「悪名」はなくならない。何しろ、今の私は「一番賢明な息子を死なせてまで生き延びた、愚かで弱い父親」なのだから。
 そう、この私の存在そのものが「お笑い草」、我が目の前にいる男が天下を取るための「養分」に過ぎない。いずれはもう一人の「自称皇帝」もこの男の前にひざまずくだろう。

「もし仮に諸葛亮が生きていたとしても、この男を補佐していつまでも安泰にしておくのは不可能だったさ。ましてや姜維ごときではなおさらだよ」

 それは他ならぬ私自身が分かっている。好きで皇帝になんかなったのではない。そもそも私は父の世代とは違って、「漢」に対する信仰なんてないのだから。
 少なくとも「簒奪者」のお前たちにあざけられても、私には痛くもかゆくもない。永遠に続く天下なんてどこにもないし、その天下に執着する意味など分からない…いや、「分かりたくない」。

 女が好きでもない男に媚びへつらって生きるように、私も愚者の微笑みを浮かべて生き延びよう。どうせ私は屈原のような清らかな人間ではないのだし、凡人は凡人らしく自らの「生」に執着するのがふさわしいのだから。

🌺個人サイト「Avaloncity」🌠

ブログランキング・にほんブログ村へ
⭐にほんブログ村
【お願い】お手数ですが、下のいずれかのクリックをお願いいたします。
⭐にほんブログ村 小説
 一応、自作小説がメインのブログです。
⭐にほんブログ村 キャラクタードール
 カスタムドールなどの記事もあります。
⭐にほんブログ村 北海道
 たまには地元ネタも扱います。
コメント

墓場覗き

2017-04-29 12:00:00 | 信頼出来ない語り手のものがたり(掌編集)
「なあ、ペオルよ」
「何だい、 子牙 しが ?」
 二人の男たちがある夫婦を観察している。
「お主は世間では人間嫌いだの、女嫌いだの、結婚制度懐疑派だのと言われておるが、あの女はお主のそういう意識をますます強めるな」
「うむ、確かに。下手すりゃ、どこぞやのメジャーリーガーの嫁だった女よりタチが悪い」
 夫はいわゆる「3高」の男で、妻はお嬢様育ちの美人専業主婦。いかにも仲睦まじい才子佳人の夫婦に見えるが、実はこの妻に秘密があったのだ。
「仮に旦那の方がゲイならばバレるだろうが、女の場合は『受け身』に徹していればバレぬものらしいな」
「なるほど。それに、同じ女が相手ならば、単なる女友達だとごまかせるな」
「ノンケの女だって、『男は財布』だと割り切っている者は少なからずおる。誰かの本にもあったな? 『カエル男』を餌食にする『タガメ女』だと」
「ふふ…。仮にこの国で同性婚が合法化されても、一部のゲイやレズビアンが『カエル』と『タガメ』になってしまうだろう。一部の異性愛者は同性愛に対して『純粋』などと幻想を抱いておるけど、それはあくまでも幻想に過ぎない」
 妻は「女友達」とのデートに出かけ、夫は萌え系アニメのDVDを観ている。この夫もまた、『女は家事ロボット』だと割り切っている。
 しかし、そのお互いの「割り切り」のおかげで、かえってお互いに対して余計な期待を抱かず/抱かせずにいられるのかもしれない。
「さて、行こうか。この話、ゼウスの嫁に聞かせてみたいなぁ~。さぞかし反応が見ものだろうさ」
「なるほど、ああいうオバサンこそがからかい甲斐があるね。下手な人間の『フェミニスト』の女より、ずっと」
「次は男同士や女同士のカップルを覗き見するのも面白そうだな。腐女子連中の幻想をぶっ潰すのも一興だ」
「私には分からないねぇ…。ノンケの女が腐女子とやらになるのは。自分はノンケの女という立場にアグラをかきながらも、高みの見物でイケメン連中のカップリング妄想に浸るとは、ギルガメッシュとエンキドゥの『友情』に嫉妬したイシュタルとはエラい違いだ」
 二人はこの家から退散した。さて、次はどこに行こうか?

 おっと、言い忘れた。ちなみに二人のうち年長の方は太公望呂尚(字は子牙)、若い方は魔神ベルフェゴール(バール・ペオル)である。

🌺個人サイト「Avaloncity」🌠

ブログランキング・にほんブログ村へ
⭐にほんブログ村
【お願い】お手数ですが、下のいずれかのクリックをお願いいたします。
⭐にほんブログ村 小説
 一応、自作小説がメインのブログです。
⭐にほんブログ村 キャラクタードール
 カスタムドールなどの記事もあります。
⭐にほんブログ村 北海道
 たまには地元ネタも扱います。
コメント

賢者の贈り物

2017-04-28 12:00:00 | 信頼出来ない語り手のものがたり(掌編集)
「不韋、雉、布!」

  呂尚 りょ しょう は3人を呼んだ。
「何かご用でしょうか、お 祖父 じい 様?」
「今日はクリスマスイヴだな」
「はぁ…」
「ていうか、俺らクリスチャンではないし」

  呂不韋 りょふ い 呂雉 りょ ち (前漢の呂后)、そして 呂布 りょ ふ 。いずれも太公望呂尚と同姓の者たちである。彼らは本来ならば、生前の罪に基づき地獄に落とされる予定だったが、そんな彼らを救ったのが「祖先」である呂尚だった。
 神々の使者である彼は、天界の自分の屋敷で、3人に自分の身の回りの世話をさせていた。

「お前たちにプレゼントをやろう」
「あ、ありがとうございます」
「まあ、 榎本俊二 えのもと しゅんじ の『えの素』の単行本じゃないですの!? 何てお下品なんでしょう!」
「ほほう、お前、すでに読んでいるのか?」
「誰が読みますか、こんな下品な漫画なんて!」
「読んでおらんなら、内容を知らぬハズだが?」
「……」
「俺、漫画さえ読まないほど本を読むのは大嫌いなんだけど」
「ただし、エロ本は除く。だろ?」
「ええ、まあ…」

 そうこうやり取りしているうちに、呂不韋が尋ねた。
「これは本当のクリスマスプレゼントではありませんね?」
 呂尚はニンマリした。
「そうだ。本題はこれからだ」
 3人の呂氏の子たちは生前の罪を償うために、祖先である呂尚の下で働いてきた。だいたい2千年前後の長い年月だ。
「お前たちの罪は償われた。そして、これがお前たちへの褒美、クリスマスプレゼントだ」
「おお、これは『転生チケット』…?」

 3人の目が輝いた。

 虹色に輝く雲から、3つの光の玉が飛び出し、地上を目指した。うまく行けば、あの3人は元日に新たな生を授かるだろう。
 今度こそは、より穏やかな、より幸せな人生を。
「Merry Christmas! & A HAPPY NEW YEAR! …うまく発音出来たかな? ハハ…。お前たち、今度こそは真っ当な人生を歩めよ!」
 呂尚は一足先に祝杯を挙げた。

🌺個人サイト「Avaloncity」🌠

ブログランキング・にほんブログ村へ
⭐にほんブログ村
【お願い】お手数ですが、下のいずれかのクリックをお願いいたします。
⭐にほんブログ村 小説
 一応、自作小説がメインのブログです。
⭐にほんブログ村 キャラクタードール
 カスタムドールなどの記事もあります。
⭐にほんブログ村 北海道
 たまには地元ネタも扱います。
コメント

ダイエットキングダム

2017-04-27 12:00:00 | 信頼出来ない語り手のものがたり(掌編集)
  藺相如 りん しょうじょ は、困った。 廉頗 れん ぱ 将軍と刎頸の交わりを結んで以来、廉将軍と一緒に飲み食いする機会が増えたせいで、腹周りが微妙に豊かになってきたのだ。
 何しろ廉頗は大の大食漢で、一升飯を平らげる事など朝飯前。見ているだけで腹一杯だ。
「何とかこのプヨプヨの腹を引き締めないと…」
 相如は悩んだ。
「そうだ! あの人がいるじゃないか?」

 最近、燕から亡命してきた 楽毅 がく き 将軍の存在を思い出した。同じ男の目から見ても男前、スラッとした長身で整った体型で、なかなかのオシャレでもある。ひょっとして、燕の新しい王は楽毅の伊達男ぶりに嫉妬して、彼を無実の罪で粛清しようと企んだのではないだろうか?
「腰です。藺殿、お腰をお使いくださいませ」
「腰…ですか?」
 彼が言うには、春秋時代の衛の国には「便秘に効く踊り」が伝わっていたという。そして、それは体を引き締める効果も絶大だったそうだ。
 廉頗と藺相如は楽毅から問題の踊りを教わり、そしてそれは趙軍の兵士たちの訓練にも採用された。

「1、2、3、4」
「1、2、3、4」
「1、2、3、4」
「1、2、3、4」

 後に秦と趙との壮絶な戦いが起こったが、秦軍の者たちは趙軍の兵士たちを見て、こう言った。
「星のフラメンコ」ならぬ「腰を振る連合」と。

(注・このショートショートのオチは今はなき「ボキャブラ天国」にあったネタを使いました。なお、当記事はあくまでもフィクションであり、史実並びに漫画『キングダム』とは一切関係ありません)

🌺個人サイト「Avaloncity」🌠

ブログランキング・にほんブログ村へ
⭐にほんブログ村
【お願い】お手数ですが、下のいずれかのクリックをお願いいたします。
⭐にほんブログ村 小説
 一応、自作小説がメインのブログです。
⭐にほんブログ村 キャラクタードール
 カスタムドールなどの記事もあります。
⭐にほんブログ村 北海道
 たまには地元ネタも扱います。
コメント

黄金のリンゴ

2017-04-26 12:00:00 | 信頼出来ない語り手のものがたり(掌編集)
 真一は、リンゴ農家である。彼は元々農家の息子ではなく、元雑誌編集者の脱サラ農家である。
 そんな彼の今年の作物の出来はまあまあ良かった。とりあえず、出荷分とは別に自宅用をいくらか保存している。
 そんな真一はある日、インターネットで謎の商品を見つけた。
「食品用の…メタリックスプレー!?」
 彼はさっそく、問題のメタリックスプレーとやらを注文した。とりあえず、金色。

 数日後、問題のスプレーが家に届いた。
 真一は子供の頃から神話や伝説がらみのネタが好きだった。特にギリシャ神話が好きだったが、彼はネット上で問題のスプレーを見つけた時点で何やらもくろんでいた。
「よーし、これで本物の黄金のリンゴを作れるぞ!」
 どれだけ品種改良をしても、神話の黄金のリンゴを再現する事は出来ない。しかし、この人体に害がないというスプレーを使うならば、リアルでなおかつ食べられる黄金のリンゴが作れるのだ。
 真一は家の外で作業をした。家の中だと塗料が周りに付いて汚れるので、屋外の方が良いのだ。まずは、サッと薄く吹きかけて乾かしてから様子を見る。ムラにならないように均等に吹き付け、乾かしての作業を繰り返す。
「よーし、完成だ!」
 彼は、出来上がった黄金のリンゴを手にして上機嫌だった。これの写真を撮って、ブログに載せるのだ。
「そうだ、仕上げのフレーズがあるぞ」、真一は問題のリンゴにこう書いてみた。

「最も美しい女神に捧ぐ」

「よーし、これで完璧!」、上機嫌の彼は、写真を撮る前にトイレに行った。そんな彼は、肝心な事を忘れていた。この黄金のリンゴは、あのトロイ戦争の発端となった重大アイテムだったのだ。
 そして、神々が人間たちにトロイ戦争を起こさせたのは、人間社会の人口爆発問題を解決するためだった。
 真一がトイレから戻ってきた時、黄金のリンゴは消えていた。

🌺個人サイト「Avaloncity」🌠

ブログランキング・にほんブログ村へ
⭐にほんブログ村
【お願い】お手数ですが、下のいずれかのクリックをお願いいたします。
⭐にほんブログ村 小説
 一応、自作小説がメインのブログです。
⭐にほんブログ村 キャラクタードール
 カスタムドールなどの記事もあります。
⭐にほんブログ村 北海道
 たまには地元ネタも扱います。
コメント