Avaloncity Central Park

不肖「信頼出来ない語り手」明智紫苑の我楽多ブログです。主に自作小説とカスタマイズドールを扱いますが、エッセイもあります。

どこかで見たような「幽霊」

2018-07-21 12:00:00 | 怪談
 古代中国・西周の宣王は、大臣の杜伯を無実の罪で処刑した。3年後、王が狩りをしていると、白い馬車に乗り、赤い衣冠を身に着けた伊達男(?)がこちらに向かって来た。謎の男は赤い弓矢を構え、王をにらみつける。
「あれは…まさか、杜伯の怨霊か!?」
 杜伯の幽霊らしき男は、赤い弓矢で王を射殺した。ここまでスタイリッシュな(?)怨霊なんて、あたしゃ見た事がないぞ。鮮やかな紅白のコントラストがいかにも神話的だなぁ。バーバラ・ウォーカー『神話・伝承事典』(大修館書店)とかでも、白・赤・黒の3色というのは「聖なる色」とされているし、この杜伯の「王殺し」は歴史的というよりも神話的な話のように思えるね。

 コーエー出版部の今はなき歴史投稿雑誌シリーズの3番目「ダ・ガマ」誌に、次のような読者投稿があった。ある日の朝、大久保利通は仕事に出かけようとしたが、まだ幼い娘が泣き出した。どれだけあやしても泣き止まないので、大久保は娘と一緒に馬車に乗って庭を一周した(それ相応の広さがあったのだな)。そして、娘が泣き止むと、馬車から降ろして、そのまま出勤した。
 その頃、江藤新平の弟がたまたま上京していた。彼は大久保に処刑された兄と瓜二つだったが、自分が泊まっている宿の近くの紀の国坂を大久保が出勤で通ると聞き、一目見ようと道の脇に立って待っていた。しばらくして、大久保の馬車がやってきたが、大久保は見覚えある顔を見て顔面蒼白になった。
「え、江藤が化けて出た!?」
 大久保はすぐさま道筋を変えたが、彼は紀尾井坂で暗殺された。

 さて、この大久保さんと江藤兄弟の話で、私は思った。杜伯、実はなりすまし? ひょっとして、宣王を射殺した「杜伯の怨霊」とは、実は杜伯の身内が変装したのではないかと、私は思う。春秋時代の予譲みたいな(故人とは赤の他人の)刺客だった可能性もゼロではないが、この時代(西周時代)だと、赤の他人が予譲のような刺客になるというのは考えづらいかもしれない。

🌺個人サイト「Avaloncity」🌠

ブログランキング・にほんブログ村へ
⭐にほんブログ村
【お願い】お手数ですが、下のいずれかのクリックをお願いいたします。
⭐にほんブログ村 小説
 一応、自作小説がメインのブログです。
⭐にほんブログ村 キャラクタードール
 カスタムドールなどの記事もあります。
⭐にほんブログ村 北海道
 たまには地元ネタも扱います。
コメント

魔女の祟り

2018-04-24 12:00:00 | 怪談

 加藤恭子氏の『アーサー王伝説紀行』(中公新書)に、興味深い怪談エピソードがある。ただし、この話はアーサー王伝説とは無関係だ。
 18世紀の英国に、鉱山で財を成した一族がいた。このミシェル家の何代目かの当主に一人の息子がいたが、彼は家のメイドだった少女を妊娠させ、産褥死させてしまった。
 これに怒ったのが、少女の母親であるセリーナという女性だったのだが、何と彼女は魔女だった。セリーナは娘の仇であるミシェル家の者たちに呪いをかけ、不幸続きのミシェル家は屋敷を手放して南アフリカに移住した。しかし、魔女の呪いは遠い異国にまで及んだ。

 時は現代。ミシェル家の当主は魔女の呪いを解くために、魔女セリーナの墓を探し出し、鉄の杭を打ち込んだ。

 その後、魔女の呪いがどうなったかは分からないが、私はこれを読んで「ああ、やっぱり御霊信仰って『異教的』なんだな」と思った。だって、恨みを抱いて死んだ人間を丁重に弔わずに、「悪魔」扱いして強引に祟りを鎮圧しようとするんだよ? これじゃあ、あまりにもセリーナさん母娘が気の毒過ぎる。
 少なくとも、日本で同様の事態があれば、仏教なり神道なりのやり方で死者の無念を慰めて供養するんじゃないかな。せめて、キリスト教的な慈悲でセリーナさん親子を供養した方が良かったんじゃないのか、と思うが、もしかするとセリーナさんは 新異教主義 ネオペイガニズム に基づく魔女だったから、キリスト教式の供養は通用しないのかもしれない。

 とは言え、果たして我が国における御霊信仰とは本当に判官びいきなどの慈悲に基づくものなのか、結構怪しい。韓非子チックな意地悪目線で見るなら、人間とは恨みを抱いて死んだ人間の霊魂からも無理やりご利益を引きずり出したがる強欲な生き物という事になるだろう。まあ、そもそも「宗教」並びに「有神論」自体がそうかもしれないが、だからと言って無神論者が無欲だとは限らない。
 無神論者や唯物論者には有神論者に対してマウンティングしたい欲求があるからこそ「無神論者」や「唯物論者」でいるのだろうから、結局はたいていの人間は欲張りという事になるだろう。「全ての道はローマに通ず」ならぬ、全てのイデオロギーやその他価値観は欲望に通じるのだ。

《余談》
 私が昔読んだ雑誌にこういう話があった。日露戦争から日本に戻ってきた人が、自分が戦争で殺したロシア軍将校に祟られた。しかし、その人はキリスト教ではなく日本式のやり方でそのロシア人将校を供養したら祟りが収まったという。要するに、やり方を超えて真心が伝わったのだろう。
 ちなみに西洋の吸血鬼に対して十字架が効力を発揮するのは、あくまでも十字架を用いる人間の「信仰心」に基づくものらしい。つまりは、キリスト教徒ではない無宗教者や無神論者が十字架を吸血鬼に突きつけても効果はないという事だ。

🌺個人サイト「Avaloncity」🌠

ブログランキング・にほんブログ村へ
⭐にほんブログ村
【お願い】お手数ですが、下のいずれかのクリックをお願いいたします。
⭐にほんブログ村 小説
 一応、自作小説がメインのブログです。
⭐にほんブログ村 キャラクタードール
 カスタムドールなどの記事もあります。
⭐にほんブログ村 北海道
 たまには地元ネタも扱います。
コメント

単なる怪談とは違う怖さのある話

2018-01-28 12:00:00 | 怪談
 私が昔読んだ雑誌に、ある女性作家のエッセイが載っていた。その作家さんはある尼さんから次のような話を聞いたという。

 ある夫婦がいた。夫は愛人を作り、妻をかえりみなかった。妻は夫を恨み、自殺した。そして、夫が愛人といるところに化けて出た、つもりだった。
 夫も愛人も、妻の亡霊には全く気づかなかった。

 この話、要するに幽霊よりも生きた人間の方がよっぽど怖いんだよね。無神論者や唯物論者には怨霊の祟りなんぞ一切通用しないならば、結局はこの世の法治主義で裁くしかないだろう。
 そういえば、誰かが「現代の日本で凶悪犯罪が増えたのは、科学万能主義によって怨霊の祟りが信じられなくなったからだ」と言っていたっけな。確かに、モラルもヘッタクレもない人間が唯物論者になるのは「子供にライター」だろう。神様や怨霊の祟りが通用しない相手に対しては、現世の法を用いるしかない。
 しかし、凶悪犯罪なんてものは科学が発達する前から当たり前にあったものではないのか? 神をも恐れぬ人間は昔からいたハズだ。だからこそ、古代中国の法家思想などの法治主義が生まれたのだ。

 ただ、この世には文字通りの「無法者」がいる。この世の法治主義など一切通用しない価値観を持つ犯罪者が時々現れて世間を騒がす。そんな人間のためにも、様々な宗教では「地獄」などの「死後の裁き」を設定しているのだろう。しかし、そのような「あの世の法治主義」も通用しない人間たちも少なからずいる。
 曰く、「死んだら無になる」。そんな唯物論者が仮に何の罪も犯さない「マトモな人間」ならば、「死=無」と思っていても罪にはならない。しかし、「死刑になりたいから」という理由で凶悪犯罪をやらかすような人間の存在は頭痛の種だ。私自身は死刑制度に対しては明確に賛成とも反対とも言えない。いつ自分が冤罪か何かでしょっ引かれるか分からないから、めったな事は言えないのね。

🌺個人サイト「Avaloncity」🌠

ブログランキング・にほんブログ村へ
⭐にほんブログ村
【お願い】お手数ですが、下のいずれかのクリックをお願いいたします。
⭐にほんブログ村 小説
 一応、自作小説がメインのブログです。
⭐にほんブログ村 キャラクタードール
 カスタムドールなどの記事もあります。
⭐にほんブログ村 北海道
 たまには地元ネタも扱います。
コメント

幽霊のセーラー服

2017-11-08 12:00:00 | 怪談

 私は高校時代、文芸部員だった。私が通っていた高校は女子校だったが、卒業後、共学校に変わった。私が通っていた頃の制服は野暮ったいブレザーだったが、さらに昔はセーラー服だったという。
 文芸部の部室は、他の文化系部室と隣り合わせだった。私たち文芸部員は、漫画同好会の女の子たちと仲が良かった。ちなみに私は元々その漫画同好会に入りたかったのだが、当時文芸部の顧問だった先生から「機関誌の挿絵を描かせてあげるから」と言いくるめられ、やむを得ず文芸部に入部した。私は当時、漫画家になりたいという夢を抱いていたので、漫画の基礎テクニックを身につけるために漫画同好会に入りたかったのだが、それが阻まれたのは、今思うと人生の転機だったのだろう。
 文芸部に入部したのは色々と不本意だったので、私は途中から幽霊部員になってしまった。

 さて、私がまだ幽霊部員にはなっていなかった頃、私たち文芸部員は漫画同好会の女の子たちと一緒に色々としゃべっていたが、昔のこの学校で起こったとされる事件が話題になった。この学校の制服がまだセーラー服だった頃、一人の生徒が自殺し、幽霊が出るという噂があったのだ。
「嫌だ〜、怖い」
 みんなその話にビビっていたが、誰かがどこかでセーラー服の上着を見つけ、さらにパニック状態になってしまった。
「ギャー! 幽霊のセーラー服!」
 しかし、その結末は実に拍子抜けだった。

 そのセーラー服は、単なる演劇部の衣装だった。

🌺個人サイト「Avaloncity」🌠

ブログランキング・にほんブログ村へ
⭐にほんブログ村
【お願い】お手数ですが、下のいずれかのクリックをお願いいたします。
⭐にほんブログ村 小説
 一応、自作小説がメインのブログです。
⭐にほんブログ村 キャラクタードール
 カスタムドールなどの記事もあります。
⭐にほんブログ村 北海道
 たまには地元ネタも扱います。
コメント