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世田谷区議会へ提出した「再審法改正を求める意見書を国会・政府に提出することを求める陳情」の趣旨

2024年07月02日 | 憲法・平和・人権・防衛

7月2日世田谷区議会へ提出した「再審法改正を求める意見書を国会・政府に提出することを求める陳情」が、企画総務常任委員会で審査され、賛成多数で採択されました。審査に先立ち、提出者の「再審法改正をめざす市民の会」中澤宏氏と新倉修青山学院大学教授が意見陳述をしました。

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代表 中澤 宏(再審法改正をめざす市民の会会員)
世田谷区粕谷

再審法改正はなぜ必要か?

 6月3日、世田谷区議会へ提出した「再審法改正を求める意見書を国会・政府に提出することを求める陳情」の趣旨と採択の必要性について、企画総務常任委員会所属の議員の皆様や,各会派の皆様にお会いし、ご説明させていただきました。お忙しい中面談に応じてくださった議員の皆様、面談はかなわなくても提出資料に目を通していただいた方々に改めて御礼申し上げます。
 面談の際ご説明させていただきましたが、私自身は1999年の暮れに仮出獄で2度目の再審請求を準備していた布川事件の桜井昌司さんを紹介されたのが縁で、20年以上再審請求と国家賠償請求訴訟に支援者として関わってきました。
 2001年に起こした布川事件の第2次再審請求は2011年に無罪を,2012年に起こした国賠訴訟は2021年に幸運にも勝利することができました。布川事件弁護団事務局長山本裕夫弁護士はパンフレット「布川事件の44年が問いかけるもの」で再審無罪に導いた要因について、再審をめぐる歴史的・同時代的取り組み、請求人や支援者、弁護団の努力、真実の力を挙げています。
裁判官による再審格差をなくし、証拠の開示義務付けを
 もう一つ、私は裁判官に恵まれたという点を幸運だったと思います。現在の刑事訴訟法の再審に関する条文は、1949年に改正された「不利益再審の規定削除」以外は大正時代のまま100年以上手つかず。証拠開示の規定はなく、審理の進め方も細かい規定がないため、事実上担当裁判官の裁量に任せられているのが現状です。布川事件の再審を担当した裁判官や国賠を担当した裁判官は,いずれも検察の手持ち証拠の開示を求める弁護団に協力的でした。その結果、未開示の証拠が開示されて再審無罪、国賠勝訴を決定付けたのです。
戦後、死刑・無期懲役事件で再審・無罪を勝ち取った事件は12件に及びますが、これらはいずれも担当裁判官が熱意を持ってえん罪事件に向き合い,検察・警察の手持ち証拠の開示に積極的だったことが特徴だったといえます。
 裁判官の当たり外れで、丁寧な審理が行われるか、証拠開示が進むか、その結果再審開始かどうかが左右される現状は改める必要があります。
検察官の再審開始妨害をやめさせ、早期救済を
 また、せっかく再審開始を勝ち取っても検察官の抗告によって,袴田事件のように再審開始確定まで9年間も費やしたり、大崎事件では3回も再審開始が出たのに最高裁が自判で開始決定を取り消して再審を阻んでいる現実があります。再審開始決定=無罪ではありません。袴田事件のように,再審公判で検察は有罪立証し死刑を求刑しました。再審公判は3審制をとっています。再審開始そのものに抗告して開始の確定を遅らせたり,取り消させたりするのは無辜の救済を目的とする再審制度への妨害行為です。
 冤罪被害者の一刻も早い救済のために再審法を改正し、捜査機関の手持ち証拠の開示と、再審開始決定に対する検察の不服申し立ての禁止、再審手続きの規定がないに等しい現状を改めることは喫緊の課題です。世田谷区議会議員の皆様のご賛同を心よりお願い申し上げます。

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(了)

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