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韓国の非正規社員、95%は中小企業なのになぜ財閥が反省? 

2017-05-31 17:03:19 | 政治


国政企画諮問委員会の金振杓(キム・ジンピョ)委員長は28日「韓国における最も大きな既得権は財閥だ」「社会における改革や大妥協を達成するには、まずは財閥が反省しなければならない」と発言した。

これに先立ち韓国経営者総協会(経総)の金栄培(キム・ヨンベ)副会長が政府の非正規雇用政策を批判した際、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と同委員会はこの批判に気分を害し、経総に対して強い口調で逆に反省を求めた。

財閥に問題があることや改革が必要なことくらいは誰でも知っている。しかし非正規社員問題の議論で財閥改革にばかり言及するのは完全に的外れだ。

非正規社員は大企業よりもむしろ中小企業あるいは零細企業にとって大きな問題だ。韓国における非正規社員は644万人いるとされているが、うち95%は中小企業で働いている。

また従業員5人未満の零細企業では社員の半分が非正規雇用だ。政府が「反省せよ」と非難している経総も会員の90%は中小企業だ。

これに対して従業員300人以上の企業になると非正規社員の割合はおよそ14%と比較的低いため、非正規社員を正社員にする負担もさほど大きくはなく、また資金面での余力も中小企業に比べれば十分にある。

例えばSKブロードバンドなど幾つかの大企業は非正規社員を正社員とする手続きをすでに自ら進んで行っている。これに対して中小企業が非正規社員を全て正社員とした場合、ほとんどの企業がその膨れ上がる人件費を負担することなどできないのが実情だ。

そのため政府が非正規社員の正社員への転換を力ずくで進めた場合、そのしわ寄せは大企業ではなく中小企業に集中し、ほとんどの企業が経営不振に追い込まれてしまうだろう。

政府もこの事実を知らないはずはない。つまり政府は非正規雇用問題がこのように簡単には解決できない問題であることを知りながら、選挙で多くの票を持つ中小企業は非難しにくいため、標的にしても国民の共感を得やすい財閥あるいは大企業への非難を強めているのだ。これが本当に問題解決を目指す態度だろうか。

大企業における正社員の賃金を100とした場合、大企業の非正規社員は62.7、中小企業の正社員は52.7、中小企業の非正規社員は37.4だ。つまり大企業の非正規社員の賃金は中小企業の正社員よりも多いのだ。

もし政府が大企業ばかりを標的とし、非正規社員を正社員にすることだけを目標とすれば、ごく少数の大企業で働く社員と多くの中小企業で働く社員の賃金格差は一層広がってしまうだろう。

つまり政府が社会における二極化を一層深刻化させ、その結果、中小企業の人手不足も解決の兆しがますます見えなくなってしまうはずだ。

政府は現在の非正規社員問題が財閥やかつての保守政権の政策が原因であるかのように主張している。しかし非正規雇用という制度は元々「派遣勤労者保護法」を制定した金大中(キム・デジュン)政権により導入され、また盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権による「非正規職保護法」もその意図とは逆に非正規社員を一気に増やす結果をもたらした。

つまり政府は財閥に反省を求める立場にあるどころか、むしろ政府の責任の方が大きい言ってもよいくらいだ。いずれにしても政府による今の非正規社員対策がこのまま進めば、問題はさらに大きくなる可能性の方がむしろ大きい。

非正規社員を正社員とするのであれば、大企業ではなくむしろ韓国企業全体の95%を占める中小企業を念頭に、まずは同一労働同一賃金制度の定着を先に進めていかねばならない。

朝鮮日報 からの引用記事


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