ちなみにトマホーク300発の数字は、同じく米軍が持つ「オハイオ」級の原子力潜水艦2隻分にすぎない。18隻中4隻が核ミサイルを下ろし、その代わりにトマホーク154発を搭載している。
イージスシステムを搭載したイージス艦とは異なり、その居場所はわからず、北朝鮮からすれば、突然発射されることとなる。完全な奇襲攻撃だ。
このトマホークの攻撃を北朝鮮は防げない。
このトマホークの攻撃を北朝鮮は防げない。
超低空飛行を常用しており、その最低高度は30メートル以下。早期警戒機を持たない北朝鮮はレーダー探知をできまい。肉眼で発見しても、視野から1~2秒で去るため、対処できない。電線や材木切り出しのケーブルに、引っ掛かりでもしないかぎり、撃墜はないのである。
仮にGPS(全地球測位システム)への妨害ができたとしても、現用型のトマホークには通用しない。昔からある地形高度判定誘導に加え、ミサイル搭載のカメラによる風景誘導も取り入れているためだ。それだけでピンポイント攻撃はできる。
この防空網攻撃時に、電子戦(今は「情報戦」とも呼ぶ)を行えば、有人機攻撃も容易となる。そうすれば攻撃規模は大きくなって、北朝鮮の戦闘機や対空ミサイルも地上撃破できる。
北朝鮮は電子攻撃には耐えられない。「レーダーやミサイルを無効化する技術」と考えられがちだが、それ以前にまず、無線通信網がダウンさせられ、戦闘の指揮や報告が混乱する。
技術格差からすれば、レーダー画像のすり替えもありうる。イスラエルが2007年にシリア核施設への攻撃で行ったものだ。
さらには有人機すら、危険な北朝鮮の上空に入らないで攻撃できる。米軍が「JSOW」「SDB」と呼ばれる滑空式誘導爆弾を用いた場合、100キロメートル以上先まで攻撃できる。これらはエンジンがない分、巡航ミサイルよりも安価で、軽いために同時多数の攻撃が実現可能なのだ。
低速の無人機も自由に行動できるようになり、施設などの不動目標の捜索が進むだろう。発見後は、搭載した小型ミサイルやSDB、あるいは後方から発射される、巡航ミサイルや誘導爆弾による攻撃が行われる。
東洋経済新聞社からの引用記事