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身近な生き物:ライオンのご馳走様

2021-12-08 06:29:19 | 日記
手間がかかる理由

 11月24日の新聞記事が刺激的でした。
千葉県の動物園で駆除したイノシシをライオンの餌として与えた話です。
 駆除された有害鳥獣のほとんどが廃棄されている中、これはナイスなアイデア
だと感心しました。
肉を食むライオンの写真は実に満足しているように思えます。
 しかし記事はこう続きます。
<野生動物を与えるには通常の2倍近い処理費用が掛かる。
~一般公開の予定はない。>
 どうしてそんなに経費が掛かるのか、はたまた観客動員に役立ちそうな話題を
どうして未公開とするのだろう。
記事だけでは分からない点を深堀してみました。

 実際の生息環境とは大きく異なるため飼育されている動物はストレスによる
異常行動が起こしがち。
それを防ぐ一助として動物をそのままの形で与える手法、「屠体給餌(とたい
きゅうじ)」が欧米で以前から行われてきたそうです。
 日本では2017年の夏に大牟田動物園や九州大学などのチームが屋久島で
駆除されたヤクシカをエサとして与えたのが最初の取り組み。
 文字にしたらそれだけですが、その準備が大変です。
野生動物には寄生虫やマダニ、E型肝炎ウイルスなどの病原体を持つものが多いから。
<処理は先ず頭を落として内臓を抜く。
これを5日以上冷凍して寄生虫を死滅させる。
給餌する直前には熱処理をするが、生肉に近づけるために36℃で30分の殺菌
処理とする。>

 これだけでもかなりな手間がかかるのに厄介なことに駆除の仕方にもこだわら
なければいけないそうです。
 <頭か首か胸を撃ち抜いて即死させ1~2時間以内に解体した物に限る。
腹部に弾が当たったものは対象外。
また罠にかかって暴れた獣は体温が上がるので食肉には向かない。>
 何でもかんでも動物の死体なら使える程、簡単な取り組みではありません。

各地の動物園に広がる

 屠体給餌を受けたライオンたちの反応は如何に?
<骨や蹄を砕きながらも全てを食べた。
肉を咥えて走る、吠えるなどの普段は無い行動も見せた。>
難消化性の骨などは整腸作用の促進効果が期待できるといいます。
 屠体給餌には反対の意見もあり得ます。
動物の形を残した餌は残酷だとの反応も予想されるので、この取り組みの目的や
効果などを事前に見学者に丁寧に説明。
その結果見学後のアンケートでは9割の賛意を得たといいます。
(引用は全て YAHOO!ニュース より)
 だからといって他の動物園でも好意的に捕らえてもらえるかは分かりません。
個人的にはおおいに賛成、近隣の動物園で行われるなら是非見学に行きたいと
思っています。

 ところでこのニュースに触れたら嫌でも思い出すのがその昔報道された給餌の話です。
2007年に中国のサファリパークで生きた牛や鳥をトラに与えている場面が撮影され、
残酷だと非難が巻き起こりました。
 矢面に立たされた担当者はこう反論しました。
<これはショーではなく野生に戻すための訓練だ。
死んだ動物では訓練にならない。>
 当然ながら訓練した後にトラが野生に戻された、なんて話はありません。

コメント
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