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身近な生き物:青の紙職人

2020-07-22 06:29:09 | 日記
成功率は1%

 何気なく広げた新聞紙面に見たことも無い写真が。
信濃毎日新聞の7月3日地方面、とんでもないアシナガバチの巣が写っていました。
 通常の巣はシャワーヘッドの様な形状をしていて、薄い灰色もしくは薄い茶色です。
これはハチが集める材料による色ですが、そこに至るまでの手法は職人技そのもの。
 <植物の繊維などを顎で削り取り少しずつ口の中に入れて噛み続ける。
すると繊維が次第に解きほぐされ特殊な成分を含む唾液と混ざってドロドロになる。
それを顎と脚を使って器用に薄く伸ばし巣作りをする。
この工程は紙づくりと全く同じ。
アシナガバチの巣は和紙のような風合いで丈夫で軽く水にも強い。>(いきものずかん より)

 アシナガバチとスズメバチでは巣の材料が微妙に違います。
共に樹木の繊維を使いますが、アシナガが樹皮の靭皮繊維を素材とするのに対して
スズメの場合は枯れ木の木部繊維など。
前者の方がより強靭なので和紙に、後者は洋紙にたとえられます。(魅る魅るガーデニング より)
 巣作り始めるのは厳しい冬を乗り切った女王バチ。
先ずはひとつの巣部屋を作り中に卵を産み付け、すぐさま次の部屋作りに取り掛かります。
 でもこの卵が羽化するのは3週間後。
それまでは巣作り、産卵、孵化した幼虫の餌集め、外敵からの巣の防御、全ての作業を
1匹でこなし続けます。
 これだけ過酷な作業が続くので、巣作りに成功する比率は100分の1しかないと
言われています。

空色に染める材料

 さて紙面にあった写真です。
5cm程の巣が写っていますが問題はその色。
なんと巣の全てが水色なのです。
 隣に通常のアシナガバチの巣が写りこんでいるので比較できますが、薄茶色の物とは
明らかに別物。
こんな色の巣は見た記憶がありません。
どうして、どうやって、そこが凄く気になります。

 巣の材料を同じ個体は同じ場所から集めます。
と言うことは別の個体は別の場所から材料を持ち帰ります。
 今回の巣は女王が青い材料を同じ場所から運び続けて作った、と推理したいところ
ですが写真には巣に張り付く8匹の働きバチが写っています。
既に複数の個体が材料集めをしています。
それなのに同じ空色の巣に仕上がるのは不思議です。
 そもそも自然界で水色って調達できる?
<山野に普通に生えている低木のクサギは、その実が絹糸を鮮やかな空色に染め上げる。>
(私の森 より)
 でもアシナガバチが木の実を材料にするなんて話は聞いたことがありません。
はていったい何を使ったのか?

 記者もその問題には悩んだ様で、記事にはこんな推論が載っています。
<段ボールを材料に使うことがあり、偶然青い紙だけで作られたのでは。>
 新聞社の取材力をもってしてもハチの行動は突き止められません。
身近な生き物の謎は解けぬままです。

コメント
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