毎日六時に
せかされるように
起き
食事もとらないまま
せわしなく職場に向かう
女性ばかりの
独特の空気感の中で
つねに
緊張しながら
まだ
人生の10分の1も
しらない
こどもたちをあいてに
親のエゴの
はきだめを
いたくかんじる
そして疲れきった体を
なんとか赤い部屋まで
はこび
ビールをひとくち
のみ
明日へ無意識のうちに
たびだつ
くりかえされる
日常
つかればかりが
たまっていく
そんな毎日を
すこしでも変えたい
…
きがついたとき
わたしはすでに
レスキュー隊入隊の
ための
試験を受けていた
必死の猛勉強の
かいもあり
狭き門と言われる
試験に見事
合格した私は
はれてレスキュー隊として
日々訓練に
いそしんだ
訓練は
想像をはるかに
こえた厳しい
ものだった
いやしかし
昔の職場と
くらべれば
そんなものは
ぜんぜん気にならず
むしろ楽しくて
しかたなかった
ただひとつ
塾へ退職する話を
しそこねてしまい
いまだ
風邪がながびいている
という
理由で
休みをとりながら
レスキュー隊を
しているという
事実を
のぞいては…
本当に充実した
日々だった…
▼
地獄の訓練も
いつのまにか
なんなく
こなせるようになり
救助の現場にも
いくつか参加させて
もらえるように
なったある日
とあるデパートでの
火災の通報がはいる
都内の小さなデパートだが
逃げおくれた客がまだ
何人かいるらしく
我々レスキュー隊は
急いで現場にむかった
デパートは
野次馬やらあわてた客で騒然としていた
あわただしく
おこなわれる救助活動
人の命を助ける仕事だ
わたしはすべての意識を集中し
それらに赴いていた
と
次の瞬間
わたしは
凍り付いた!
なぜなら
そこには
今日も教室で
夏期講習の真っ最中のはずの
子供と先生が
デパートの一角で
机をならべて
授業をしている
姿があったからだ
!
し、しまった!
今日は
月に一度の
デパート学習の
日やないかっ!?
うちの塾には
どんな環境でも
おちついて子供たちの
実力が発揮できるようになるために
デパートで授業をおこなうデパート学習
という
変わった授業がおこなわれていたのだ
よりによって
この火事のなかをっ!
そりゃ
この状況で
おちついて勉強できたらめちゃくちゃ
すごいけれどもっ!
わたしは
子供たちの
タフネスさに
驚嘆しつつも
かれらに
わたしのすがたを
みられないように
とっさに
顔を隠した
いまここで
風邪をひいていると
うそをつき
レスキュー隊に入隊していたことが
ばれてしまえば
もちろん
レスキュー隊にも
いられなくなるし
また塾で
ボロボロの日常を
くりかえすことに
なってしまう
わたしの
頭の中は
それだけで
いっぱいに
なった
救助活動中だったにも
かかわらず
わたしは
顔をみられないように
することに
集中し
人命のことなど
気にしていられなくなっていた
そして
ふと
自分のことだけを
考えている自分に
気がついた
たとえ
どんな
状況にあったとしても
レスキュー隊は
人命を最優先に
考えて行動しなくては
ならない
それなのに
わたしは
わたしのちっぽけな
嘘のために
その大切な
部分を
おざなりに
していたのだ
もう
人を救う
仕事なんか
できない
そう決めた
私の足は
すでに
デパートを
はなれ
ていた
だれにもなんにもいわずに
でてきたわたしは
また
なにげない日常に
なげだされたように
かんじた
そしつ
とりあえず
実家に
かえってから
考えることに
しよう
と
こころに
思ったのだった…
…
…
…
…
と
いう
夢を見た
いやいやいやいやあ
ひさしぶりの
夢ネタ
なんだよ
デパート学習てー!?
そんなんやってないでー
しかも
いっときますけど
ちゃんと楽しく
仕事してますからーっ
ただ
仕事をはじめ
1、2ヶ月たったころ
だれしも
かんじる
こころのうごきを
見事にとらえた
作品でした
だからって
レスキュー隊に
はいらんくても
ええのに
あたし
▼
朝
博多をでたのに
まだ
熊本です
熊本から
鈍行で
鹿児島にかえるのは
なかなか
至難のわざらしくて
しらべたら
あと
五時間は
かかるようです
難儀やなあ
ま
ゆっくり
かえりやす
また
夢みよかねー
まだすこし
昨日の酒が
ぬけきれず
きがついたことに
今日は
母の日やけど
あしたは
吐くの日
だという
事実…
母さん
息子は
よわってます…
がたんごとん
ぐう