よみがえった父の音

昨年亡くなった父は　オーディオが趣味で

クラシック音楽を好んで聴いていた

父の部屋にはたくさんのオーディオがあるが　接続が複雑で

父も晩年になると　オーディオをならさなくなった

家族のだれも操作がわからなかったから　

長い間父のオーディオは眠ったままだった

それが今日　夫がオーディオとにらめっこをして

ついに父のオーディオに灯りがともった

モーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジークが

まるで生演奏を聴いているような　クリアな音質で聴こえてきた

なつかしい音を耳にして　母は涙ぐんでいた

明るく軽快なメロディーを聴きながら

父がそこに居るようで　うれしかった