赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

BPOの仕事は権力批判ではない コラム(71)

2015-11-10 00:00:00 | 政治見解



コラム(71):BPOの仕事は権力批判ではない

BPOの報告書に政府と自民党批判

「NHK総合テレビ『クローズアップ現代』"出家詐欺"報道に関する意見」としてBPO(放送倫理・番組向上機構【※1】)の放送倫理検証委員会は「著しく正確性に欠ける情報を伝えたとして、『重大な放送倫理違反があった』と判断した」との報告書を公表しました。

【※1】BPOのサイトには「放送における言論・表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理の問題に対応する、第三者の機関です。主に、視聴者などから問題があると指摘された番組・放送を検証して、放送界全体、あるいは特定の局に意見や見解を伝え、一般にも公表し、放送界の自律と放送の質の向上を促します」とある。

その際BPOは、NHKを厳重注意した総務省と事情聴取した自民党を「極めて遺憾」「圧力そのもの」「政府が個別番組の内容に介入することは許されない」と激しく非難しています。


自民党、谷垣幹事長の正論

これに対し、自民党の谷垣禎一幹事長は、「報道の自由があるから一切やらせに対して口をつぐんでいるのが良いとは私は思わない」、「そのようなご批判に当たるのかどうか。放送は新聞などと違って貴重な電波資源を使っていることもある。影響力も極めて大だ」とBPOの指摘に疑問を呈しています。


BPOの自己保身

BPO側もこのような事態を想定していたのか、委員の一人である映画監督の是枝裕和氏は同氏のサイトで放送法の第1条二号【※2】の条文について次のように解釈しています。

【※2】「放送の不偏不党、真実及び自立を保障することによって、放送による表現の自由を確保する」

「『不偏不党』は放送局が求められているのではなく、『公権力』が放送局に保障しているのです。安易な介入はむしろ公権力自身が放送法に違反していると考えられます」。(青山学院大学法学部教授でBPO初代理事長の清水英夫氏の見解の援用)


BPOの思い上がり

BPOの主張は、「マスコミは何を言ってもいいが、他の人は一切マスコミの批判をしてはいけない」という特権意識で貫かれています。つまり、「言論の自由は自分たちだけの特権である」と思っているのです。その特権意識が「自分たちの主張こそが正義であって、それに背く意見は排除されなければならない」という言論の封じ込めや言葉狩りを行うのです。「言論の暴力」の始まりです。

しかも、彼らが思うほど世間は期待していないにも関わらす、「権力を監視するのがマスコミの義務だ」と勝手な思い込みをしています。そのうぬぼれが、政治家からの指摘に対して「公権力による弾圧だ」などと前時代的な過剰反応を示してしまうのです。


BPOは誰からの指摘であろうと客観的に検証すればいいだけであって、殊更、反権力のポーズを取る必要はありません。また、BPOはマスコミの人権を守る機関ではなく、視聴者の人権を守る機関であることを忘れないで頂きたいと思います。


なお、読者から以下のご意見を頂きましたのでご紹介します。

マスコミが言いたい放題、やりたい放題で、捏造、偏向報道がまかり通ったら、国民は誰に訴えたらいいのでしょうか?
警察でしょうか?裁判所でしょうか?市役所でしょうか?新聞社に訴えるのでしょうか?放送局に電話するのでしょうか?それで是正されるのでしょうか?
やはり監督省庁ではないでしょうか。
政府がしっかりと指導するのは当然だと思います。




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