9月25日の朝日新聞群馬県版の記事です。日本赤十字社群馬県支部長の大沢県知事が前橋赤十字病院の移転を決め、前橋赤十字病院現在地建て替え推進協議会(推進協)に対して24日に説明会を行ったという記事です。
知事の説明は、「ドクターヘリの夜間運行や災害時の応急診療など救急救命・災害対策の基幹病院としての機能を確保するためには、約2万6500平方㍍の拡張が必要」だとして、現在地での建て替えは無理、移転が必要ということでありました。
この説明は、日本赤十字社の諮問委員会にオブザーーバーとして参加し、現在地建て替えの方途を具体的に検証して来た推進協の皆さんが納得できるものではありませんでした。
記事にあるように、推進協は「説明は聞いたが納得したわけではない」とし、大沢知事も「移転するということでお願いしたが、まだ結論にはいたっていない」としているのです。
とてもわかりにくいことになりました。
<ねえ、ことは9月22日の讀賣新聞の記事で始まったんだよね>、「そう、キキの言うとおりだよ、9月22日に讀賣新聞に『前橋日赤、移転で決着へ、知事方針、州内にも地元説明』という記事が載ったんだ。推進協の皆さんには完全に寝耳に水の話だったんだ」
「9.22 yomiuri nisseki.doc」をダウンロード (記事を読みたい方はクリックして)
そうなんです、突然新聞紙上に大沢知事が移転を決めたという記事が載ったのです。推進協のみなさん、とてもびっくりしたんです。
むしろ、情報が先に漏れて、県は知事が推進協の皆さんに説明する場の設定を急いだみたいです。
<でも、「ドクターヘリの夜間運行や災害時の応急診療など救急救命・災害対策の基幹病院としての機能を確保するためには、約2万6500平方㍍の拡張が必要」なんでしょう、違うの?>
「違うかどうかは分からないんだよ。というのはね、前の審議会の時に出されていた日赤病院の将来構想に基づいて、諮問委員会では現地での建て替えが可能かどうか検討してきたんだ。だから、24日の知事さんの説明は、諮問委員会の検討の前提条件でなかったんだ」
そうなんです、「基幹病院の機能」として示された内容は、今まで議論の前提になっていなかったんです。
まして、自衛隊の大型ヘリコプターまで離着陸できるヘリポートが必要だなどという話は一つもなかった、諮問委員会に出ていた日赤関係者は誰も説明していなかったことなんです。
だから、推進協の皆さんにしてみれば、知事さんの説明は、初めて聞く話ばかりだったのです。
ヒゲクマにも、どうしてこういうことになったのかさっぱり分かりません。
今日、推進協の黛副会長さんにもお会いしてお話をお聞きしました。
黛さんも、何でこういうことになるんだって、頭を抱えていました。
この間の努力はなんだったんだろうと、深刻に考えておられました。
もし大沢知事さんのお話しになられたことが前橋赤十字病院にとって不可欠のものであるのならば、諮問委員会に出席していた院長をはじめ日赤関係者はご存知でなければおかしいと思います。
そして、この1年間の検討の中で、当然具体的詳細に説明され、議論されていなければおかしいと考えます。
どうしていままで一度も話の出ていなかったことが、知事さんの結論としてかくも唐突に持ち出されてきたのでしょうか。
県庁と日本赤十字社群馬県支部の対応は、とても不自然です。
大沢知事さんはじめ、移転を検討している皆さんにお願いをします。
分かりやすく、誰にでも分かるように説明してください。なぜ、移転が必要なのか。
ヒゲクマは25年ほど前、群馬へリポートの建設のヘッドワークをしました。
6つの地区で50回を超える地元説明会(ほとんど夜でした)をこなし、安全と騒音問題について地元の皆さんと話し合いました。
大型ヘリコプターは離発着をさせない、平常時は夜間の離発着を行わないという条件で、しぶしぶではありましたけれど、受け入れてもらうことができました。
そういう経験者として、県庁の後輩の皆さんにお願いします。
ヘリポートは飛行場です。安全な離着陸と、周辺地域に対する騒音や事故などの影響を最小限にするために、航空法と飛行場法の規定に基づくたくさんの制約があります。
自衛隊の大型ヘリコプターCH-47Jチヌークは自重が10トンを超え、人間なら約50人、貨物なら8トン強を運べます。本当に大きな航空機です。
このチヌークは、前橋南部にある群馬へリポートでは離発着不能、神戸ヘリポートでも東京へリポートでもダメなはずです。
大型ヘリコプターは、大変に広大な制限表面(航空法49条)を必要とします。騒音もドクターヘリに使われている小型機とは比較になりません。
どういう場所であれば、法律の制約をクリアーして大型ヘリコプターが離着陸可能なヘリポートが作れるのか是非教えてください。
前橋市内に、設置可能な場所があるのかないのか…
まして、みんなに納得してもらって決めるというのはとても大変なことです。
でも、努力は決して怠らないでください、県庁に対する信頼がかかっているのですから。
今夜の前橋のまちは、しっかり雨が降っています。
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県庁の意思決定への信頼が揺らぎます
この間の知事と住民組織のと調整機能を県庁や赤十字社が果たしていなかったと感じます。
それは住民組織の会合に参加している
県議かの我々の責任でもあります
申し訳ありません。
いきなりで申し訳ありませんが
30日の質問の参考にさせていただきたいとお願いしたします。
全くの引用は致しませんのでお許しください。
お忙しい中を。きちんと対応していただいていることを感謝申し上げています。
いろいろ難しいことがあるのだとは推察しております。
でも、大切なことは、「信頼」です。よろしくお願い申し上げます。
前橋には群大はじめいい病院が沢山あるし、娘も交通事故後の耳の裏の整形の
時に日赤にお世話にもなっているし・・・。
それに、春先から7月の初めまで不動産会社で仕事をしていた時にも、久しぶりで日赤の前を通りましたが、私も老朽化しているとも移転が必要だとも思いませんでした。
どうして、行政って市民や国民の意見をさも聞いているようで無視するんでしょうね。裏があるのはわかっていますが、余りにも横暴だったと思います。
でも、まだこれからですよ。
頑張ってください。
私は高崎市民だから、発言権は無いのでしょうか?
県庁に発言してもいい立場なのかなぁと考えています。
『初めに諮問委員会の前提条件でなかった』条件が唐突に提示されたのですね。
これでは、まるで初めから結論ありき…のような説明に感じられます。
真剣に現地建替えの可能性を探ってこられた地元の方々のショックははかりしれないと思いました。
ずっと 言い続ける方が いらした。
なかなか 出来ないんです
はじめまして、ヒゲクマです。
ありがとうございます。
単なる感想ではなく、きちんと関係者にお会いして、事実をお伝えしてゆきたいと考えています。私がこのまちのためにできるささやかな務めと思っています。
アルフさん
「はじめから結論ありき」とみんなに思われてしまうようなやり方は、物事の決め方として大変下手なやり方です。こういうやり方では、県行政は「信頼」を得ることができないと思います。
裕子さん
誰でも発言する権利はあります。
みんなが発言したほうがよいと思います。
「意見の違いは当然ある。だから、しっかり議論しよう。その上で決めよう。決めたら意見の違いを越えて皆でやって行こう」、議論好きの私にこう言ってくれた人がかつていました。尊敬しました。
そもそも、その規模に対応できる救急の体制が日赤、群馬大学にあるのでしょうか。救急患者を受け入れるのはヘリポートではなく、看護士、医師である人間のはずですが。
ヒゲクマさんの指摘は論理的で的確であり、いつも有用な情報を提供していただいております。読者である私もなんらかの方法で意思表明、アプローチをしていく必要があるのだろう、といつも考えています。
もちろん、料理の”情報”も利用させて頂いております。
救急医療の現場は医師不足で悩んでいます。床の病院でも、一番スタッフが足らないのは、救急部門のようです。スタッフの充実こそ、一番大切なことはおっしゃるとおりです。
それと、救急医療体制はたくさんの病院を繋ぐネットワークで成り立ちます。たくさんの病院・診療所が救急指定を引き受けてくれています。そのうち、特に重い患者さんを引き受けるのが救命救急センターです。ICU(集中治療室)を備えて24時間受け入れをしています。群馬では、前橋日赤と高崎国立、そして間もなく太田病院が仲間入りするはずです。
救急医療の問題は、日赤病院だけの問題ではないと思っています。どういう仕組みでネットワークを運用していくのかが問題なのだと思います。