約束をしてからの一週間、毎日私は落ち着きなく暮らした
仕事中、20代のカップルお客さんが来たら、さりげなく女の子の服装をチェックしてみたり、髪型を気にしてみたり…とても浮ついた気持ちで、仕事中も気分はそぞろだった
こちらの所長さんが「聞いた?、Nクンのところ、えらく頑張ってるらしいよ。残住戸、一気に完売させて今週中にクローズするらしいよ、最近頑張ってるなぁ」・・・と同僚とうわさしている
Nさん、頑張ってるんだ!!
なんだか、自分の彼氏でもないのに、嬉しい・・・
いつも家族のスケジュールの入ったカレンダー、、木曜日になんと書こうか…?と悩んだが、結局、いつもの勤務日と同じまま、白紙にしておいた
水曜日、不動産業界はお休みが多い
うちの販売センターもお休み
彼は今日はどうしているのかな…?
なんども「明日、どうするの?」・・
とメールしそうになったが、とにかく彼に任せてみようと思った
その日は、携帯電話が気になり、夕飯が終わってもずっとエプロンのポケットに携帯を入れたままでいた
夜、9時を過ぎてもメールは来ない・・・
もしかして、あれはウソ?
ふざけて誘ったのかな?
約束の日、間違ったのかな?
・・・いや、約束は明日だ
どうして連絡くれないのだろう?
今日、朝からいったい何度、携帯を見ただろう?
何度、着信メールの問い合わせをしただろう…?
なんだか、一日中、待っている自分が惨めだった
あんなに若い男の子に夢中になるなんて、、、私、いくつだと思ってるの?
もう考えるのはよそう…
ゆっくりとお風呂に入り、髪を乾かして、もうすっかり携帯のことなんて忘れたわ・・
・・と何度も考え、それでもやはり気になる携帯をチェックした
あら!!誰かからメールが来てる
「今から電車に乗ります」・・・主人だ…
はぁ、、、がっかり、なんだかシンデレラの馬車を引く馬が、一瞬にしてネズミに戻ったような気分、、
でも、まだ11時、私は12時まではシンデレラ!
メール、来い!
チャラチャラチャラリン~メール着信音だ
「遅くなってすみません。明日、頑張って早起きしますので、そちらの近くまで行ったら連絡します」
・・・え~っこれだけ!?
なんだか、ガッカリ…
もっと情熱的なメールが来ると思っていたのに、なんか、ビジネス的・・
ドキドキしていた私がバカみたい。。
でも、これでよかった
もしも、「明日は君を離さないよ~」とか、言われたら、今の私だったら、なんか勘違いオバサンになって、頭にリボンを付けて、ガラスの靴を履いて行ったに違いない
ちょっと加熱していた頭に、水をジャ~っとかけられて、おかげでいろんな怪しい想像に悩まされず、スヤスヤ眠れた
翌日、いつになく天気予報を気にしていた私に、主人が「今日も、仕事でしょ?」と聞いた
「そ、そりゃ仕事よ…」
と、うろたえながら、目はしっかり今朝の占いをチェックしていた
『ラッキーカラーは白、今日はイライラしても怒らないで』。。。か!
主人に続いて子供も学校に行った
一人になった私は、少しカーラーで髪を巻き、準備していたベージュのタートルをやめて、ラッキーカラーの白のファーのついたセーターに着替え、お気に入りのスカートにジージャンを合わせてみた
なんだか、とても落ち着かない
時計はまだ8時半…ちょっと早すぎたかしら・・
気持ちはすっかり舞い上がり、テレビのコメントも目で追っているだけ…
ソファに座っていても、落ち着かず、またお化粧直しをしたら、やたらマスカラが濃い
9時半になっても、何にも連絡がない
読みかけの本を読んでも、全く頭に入らない・・
そうだ!パソコンのトランプゲームでもしよう
・・全く盛り上がらなかったが、ひたすらカードをクリックし続けた
勝ってもも負けても、「ゲームを続ける」をクリックし続けた
10時半になり、イライラから髪の毛のセットも乱れ始め、日頃つけないピアスが痛んできた
・・と、衝動的に「今、どこですか?」
とメールしてしまった
「ごめんごめん、まだ○○公園の近く」
「え?そこからどの位かかるの?」・・・まだ?
「すごい渋滞なんだ、ゆっくり待っててください」
ムカッ!!「何時から待ってると思ってるの!!」・・とメールしそうになったが、今朝の占いを思い出し、怒るのをやめて
「どうぞ、気をつけて、ゆっくり来てくださいね」
と、とてもオトナなメールを返した
それから、さらに1時間経ち、ほとんどお昼に近づいた頃…
「おまたせ!もうすぐそこの住所の周辺に着くよ。どこに行けばいい?」
ついに、ついに彼がやって来た
結婚して、初めての主人以外の男性とのドライブ
「○○郵便局の前にお願いします。」
もう一度鏡を見て、年甲斐もなくキラキラした口紅を押さえ、玄関でブーツをはいた
ずっとそばで見ていたペットの犬に、いつか人間の言葉をしゃべらないように、口止め料にたくさん好物のドライフルーツをあげた
それは、きっと禁断の果実の味がするに違いない
…つづく
仕事中、20代のカップルお客さんが来たら、さりげなく女の子の服装をチェックしてみたり、髪型を気にしてみたり…とても浮ついた気持ちで、仕事中も気分はそぞろだった
こちらの所長さんが「聞いた?、Nクンのところ、えらく頑張ってるらしいよ。残住戸、一気に完売させて今週中にクローズするらしいよ、最近頑張ってるなぁ」・・・と同僚とうわさしている
Nさん、頑張ってるんだ!!
なんだか、自分の彼氏でもないのに、嬉しい・・・
いつも家族のスケジュールの入ったカレンダー、、木曜日になんと書こうか…?と悩んだが、結局、いつもの勤務日と同じまま、白紙にしておいた
水曜日、不動産業界はお休みが多い
うちの販売センターもお休み
彼は今日はどうしているのかな…?
なんども「明日、どうするの?」・・
とメールしそうになったが、とにかく彼に任せてみようと思った
その日は、携帯電話が気になり、夕飯が終わってもずっとエプロンのポケットに携帯を入れたままでいた
夜、9時を過ぎてもメールは来ない・・・
もしかして、あれはウソ?
ふざけて誘ったのかな?
約束の日、間違ったのかな?
・・・いや、約束は明日だ
どうして連絡くれないのだろう?
今日、朝からいったい何度、携帯を見ただろう?
何度、着信メールの問い合わせをしただろう…?
なんだか、一日中、待っている自分が惨めだった
あんなに若い男の子に夢中になるなんて、、、私、いくつだと思ってるの?
もう考えるのはよそう…
ゆっくりとお風呂に入り、髪を乾かして、もうすっかり携帯のことなんて忘れたわ・・
・・と何度も考え、それでもやはり気になる携帯をチェックした
あら!!誰かからメールが来てる
「今から電車に乗ります」・・・主人だ…
はぁ、、、がっかり、なんだかシンデレラの馬車を引く馬が、一瞬にしてネズミに戻ったような気分、、
でも、まだ11時、私は12時まではシンデレラ!
メール、来い!
チャラチャラチャラリン~メール着信音だ
「遅くなってすみません。明日、頑張って早起きしますので、そちらの近くまで行ったら連絡します」
・・・え~っこれだけ!?
なんだか、ガッカリ…
もっと情熱的なメールが来ると思っていたのに、なんか、ビジネス的・・
ドキドキしていた私がバカみたい。。
でも、これでよかった
もしも、「明日は君を離さないよ~」とか、言われたら、今の私だったら、なんか勘違いオバサンになって、頭にリボンを付けて、ガラスの靴を履いて行ったに違いない
ちょっと加熱していた頭に、水をジャ~っとかけられて、おかげでいろんな怪しい想像に悩まされず、スヤスヤ眠れた
翌日、いつになく天気予報を気にしていた私に、主人が「今日も、仕事でしょ?」と聞いた
「そ、そりゃ仕事よ…」
と、うろたえながら、目はしっかり今朝の占いをチェックしていた
『ラッキーカラーは白、今日はイライラしても怒らないで』。。。か!
主人に続いて子供も学校に行った
一人になった私は、少しカーラーで髪を巻き、準備していたベージュのタートルをやめて、ラッキーカラーの白のファーのついたセーターに着替え、お気に入りのスカートにジージャンを合わせてみた
なんだか、とても落ち着かない
時計はまだ8時半…ちょっと早すぎたかしら・・
気持ちはすっかり舞い上がり、テレビのコメントも目で追っているだけ…
ソファに座っていても、落ち着かず、またお化粧直しをしたら、やたらマスカラが濃い
9時半になっても、何にも連絡がない
読みかけの本を読んでも、全く頭に入らない・・
そうだ!パソコンのトランプゲームでもしよう
・・全く盛り上がらなかったが、ひたすらカードをクリックし続けた
勝ってもも負けても、「ゲームを続ける」をクリックし続けた
10時半になり、イライラから髪の毛のセットも乱れ始め、日頃つけないピアスが痛んできた
・・と、衝動的に「今、どこですか?」
とメールしてしまった
「ごめんごめん、まだ○○公園の近く」
「え?そこからどの位かかるの?」・・・まだ?
「すごい渋滞なんだ、ゆっくり待っててください」
ムカッ!!「何時から待ってると思ってるの!!」・・とメールしそうになったが、今朝の占いを思い出し、怒るのをやめて
「どうぞ、気をつけて、ゆっくり来てくださいね」
と、とてもオトナなメールを返した
それから、さらに1時間経ち、ほとんどお昼に近づいた頃…
「おまたせ!もうすぐそこの住所の周辺に着くよ。どこに行けばいい?」
ついに、ついに彼がやって来た
結婚して、初めての主人以外の男性とのドライブ
「○○郵便局の前にお願いします。」
もう一度鏡を見て、年甲斐もなくキラキラした口紅を押さえ、玄関でブーツをはいた
ずっとそばで見ていたペットの犬に、いつか人間の言葉をしゃべらないように、口止め料にたくさん好物のドライフルーツをあげた
それは、きっと禁断の果実の味がするに違いない
…つづく