アカバネーゼのささやき

夫の裏切り!妻の仕返し!夫婦とは?自立に目覚めた私が起業するまで!

禁断の果実

2006年05月19日 | Weblog
約束をしてからの一週間、毎日私は落ち着きなく暮らした

仕事中、20代のカップルお客さんが来たら、さりげなく女の子の服装をチェックしてみたり、髪型を気にしてみたり…とても浮ついた気持ちで、仕事中も気分はそぞろだった

こちらの所長さんが「聞いた?、Nクンのところ、えらく頑張ってるらしいよ。残住戸、一気に完売させて今週中にクローズするらしいよ、最近頑張ってるなぁ」・・・と同僚とうわさしている

Nさん、頑張ってるんだ!!
なんだか、自分の彼氏でもないのに、嬉しい・・・

いつも家族のスケジュールの入ったカレンダー、、木曜日になんと書こうか…?と悩んだが、結局、いつもの勤務日と同じまま、白紙にしておいた


水曜日、不動産業界はお休みが多い
うちの販売センターもお休み
彼は今日はどうしているのかな…?

なんども「明日、どうするの?」・・

とメールしそうになったが、とにかく彼に任せてみようと思った


その日は、携帯電話が気になり、夕飯が終わってもずっとエプロンのポケットに携帯を入れたままでいた

夜、9時を過ぎてもメールは来ない・・・

もしかして、あれはウソ?

ふざけて誘ったのかな?

約束の日、間違ったのかな?

・・・いや、約束は明日だ

どうして連絡くれないのだろう?


今日、朝からいったい何度、携帯を見ただろう?

何度、着信メールの問い合わせをしただろう…?


なんだか、一日中、待っている自分が惨めだった

あんなに若い男の子に夢中になるなんて、、、私、いくつだと思ってるの?

もう考えるのはよそう…


ゆっくりとお風呂に入り、髪を乾かして、もうすっかり携帯のことなんて忘れたわ・・

・・と何度も考え、それでもやはり気になる携帯をチェックした

あら!!誰かからメールが来てる


「今から電車に乗ります」・・・主人だ…


はぁ、、、がっかり、なんだかシンデレラの馬車を引く馬が、一瞬にしてネズミに戻ったような気分、、

でも、まだ11時、私は12時まではシンデレラ!

メール、来い!


チャラチャラチャラリン~メール着信音だ


「遅くなってすみません。明日、頑張って早起きしますので、そちらの近くまで行ったら連絡します」


・・・え~っこれだけ!?

なんだか、ガッカリ…

もっと情熱的なメールが来ると思っていたのに、なんか、ビジネス的・・

ドキドキしていた私がバカみたい。。


でも、これでよかった

もしも、「明日は君を離さないよ~」とか、言われたら、今の私だったら、なんか勘違いオバサンになって、頭にリボンを付けて、ガラスの靴を履いて行ったに違いない

ちょっと加熱していた頭に、水をジャ~っとかけられて、おかげでいろんな怪しい想像に悩まされず、スヤスヤ眠れた


翌日、いつになく天気予報を気にしていた私に、主人が「今日も、仕事でしょ?」と聞いた

「そ、そりゃ仕事よ…」

と、うろたえながら、目はしっかり今朝の占いをチェックしていた


『ラッキーカラーは白、今日はイライラしても怒らないで』。。。か!

主人に続いて子供も学校に行った


一人になった私は、少しカーラーで髪を巻き、準備していたベージュのタートルをやめて、ラッキーカラーの白のファーのついたセーターに着替え、お気に入りのスカートにジージャンを合わせてみた

なんだか、とても落ち着かない

時計はまだ8時半…ちょっと早すぎたかしら・・

気持ちはすっかり舞い上がり、テレビのコメントも目で追っているだけ…

ソファに座っていても、落ち着かず、またお化粧直しをしたら、やたらマスカラが濃い

9時半になっても、何にも連絡がない

読みかけの本を読んでも、全く頭に入らない・・

そうだ!パソコンのトランプゲームでもしよう

・・全く盛り上がらなかったが、ひたすらカードをクリックし続けた

勝ってもも負けても、「ゲームを続ける」をクリックし続けた


10時半になり、イライラから髪の毛のセットも乱れ始め、日頃つけないピアスが痛んできた

・・と、衝動的に「今、どこですか?」

とメールしてしまった


「ごめんごめん、まだ○○公園の近く」

「え?そこからどの位かかるの?」・・・まだ?

「すごい渋滞なんだ、ゆっくり待っててください」


ムカッ!!「何時から待ってると思ってるの!!」・・とメールしそうになったが、今朝の占いを思い出し、怒るのをやめて

「どうぞ、気をつけて、ゆっくり来てくださいね」

と、とてもオトナなメールを返した


それから、さらに1時間経ち、ほとんどお昼に近づいた頃…

「おまたせ!もうすぐそこの住所の周辺に着くよ。どこに行けばいい?」


ついに、ついに彼がやって来た


結婚して、初めての主人以外の男性とのドライブ

「○○郵便局の前にお願いします。」


もう一度鏡を見て、年甲斐もなくキラキラした口紅を押さえ、玄関でブーツをはいた

ずっとそばで見ていたペットの犬に、いつか人間の言葉をしゃべらないように、口止め料にたくさん好物のドライフルーツをあげた


それは、きっと禁断の果実の味がするに違いない



…つづく



デートの約束・・

2006年05月18日 | Weblog
来月中の木曜日で休める日かぁ・・・

…あっ!ある!

この日は、イベントのない週だから、休んでいいよ~と言われていた木曜だ。。。


あの日から、ずっと私の頭の中は「木曜」を中心に回っている

どうしよう・・・
勇気をだして「14日の木曜はいかがですか?」と聞いてみようか。。


どうしよう。。。

食事くらいいいかな?

いや、これは立派な「不倫」だ!

友達同士じゃない!

いや、歳の差が大きすぎる!

遊びなの?

いや、遊ぶならもっと若くてかわいい子と遊べばいい・・

宅建の時にお世話になったから、そのお礼…と言えばいい!

・・まだ、結果も出ていないのに…

ランチくらいいいよね?

何か目的でも…?

いや、それは考えすぎか!


仕事の間も、ずっとそのことばかり考えてしまう

誰にも相談できない・・・


家に帰り、夜、一生懸命にベランダに洗濯物を干していたら、

「どうして、洗濯物、朝のうちに干せないの?夜中に洗濯物がぶら下がっているのって、だらしないじゃないか?」

と主人が言った


ブチッ!

キレた!もう完全にキレた!


黙って携帯を手に持った

「来月なら14日の木曜が休めます。Nさんはいかがですか?」

すぐに返事が来た

「やった~!決まりっ!もう返事が来ないのかと思って、実はずっと仕事が手につかなかったんだ。じゃあ、それまで必死で仕事頑張るよ。ありがとう


私は、それから毎日淡々と家の掃除をして、淡々と朝から洗濯機を回し、淡々と夕飯作りをこなした


上司に、ミスを指摘されても笑顔で誤り、契約者のおじさんに何度もプラン変更をされてもとても親切に対応し、子供の友達が遊びに来た日は、たくさんクレープを焼いておやつを奮発した

何か、ウキウキすることがあると、人間ってこんなに頑張れるんだ

こんなに、人に優しくなれるんだ!


その間、何度も私は鏡を見た

初めて、シミを目立たなくするコンシーラーを買ったり、ちょっと若者向けのジージャン買ったり、「若返り」とというネーミングのテレビ番組をこっそりチェックして横目で見たりしていた


・・ふと、主人のことを思い出した

ブルーのカラーシャツを買ったり、腹筋をしたり、今流行の歌を練習したり…主人もこんな気持ちだったのだろうか?


バカな夫婦だな・・・

似たもの同士なのかな?

あの時、あんなに苦しんだのに・・

え~い、仕返しよ!

ううん、そんなじゃない!

私たちは、れっきとした仕事の繋がりよ!

あんな、二人と一緒にしないで!

いい勝負だわ、、、

年齢差は勝ったわ!


はぁ、、バカな私・・・
もう考えるのはやめよう
今度、ランチに行ったら、きっとそれっきり
一度くらい食事してもいいじゃない!

楽しもう!

ステキなお誕生日プレゼントだから・・・


・・楽しみはなかなかやって来ない

私はひたすら、家事に仕事に打ち込んだ

「試供品なのよ!」と誰も聞いていないのに言い訳をしてお顔のパックをしたり、

「木曜日」ちゃんと休めるように、いつもより多めにDMを発注して、ひたすら追客の仕事をこなした


あと一週間だ!・・・帰りの電車の中でスケジュール帳を眺めていた

そのときメールが来た

「デートまであと一週間だね!ちゃんと覚えてますか?僕はこの日のために、すごく頑張って仕事をしています。おかげで契約が3件、立て続けに取れました。赤羽っちは僕の勝利の女神かも!」


「私もよ~忘れるわけないじゃないダーリン!」・・・とは、まさか返事できず


「もう来週ですね!実はちょっと楽しみになってきました。私もお仕事頑張っています。お天気がいいといいですね

「どこか行きたいところがありますか?

「私は海の近くで生まれたので、海が見えたら嬉しいです」

「了解!最高のプランニング考えます。お任せください!


『デート』という響きに、とてもドキドキしてしまった・・

私のために『最高のプラン』・・?


帰りの電車の中で、どうしてもニヤけてしまう口元を必死で引き締めながら、頭の中を「帰宅モード」に変換するのに苦労した


神さま、一度だけでいいです
一日中、笑って過ごせる楽しい時間を下さい
どうぞ見守っていて下さい


・・・つづく



41歳、涙のバースデー

2006年05月17日 | Weblog
メールを送ったが、結局返事は来なかった

なんだかホッとするような、寂しいような…年甲斐もなくドキドキした自分をちょっと恥じた

私はまるで何かを忘れるかのように、夢中で仕事をした

なんだか家に帰りたくなくて、週末は残業をして次の集客のためのDMを必死で作ったりしていた


家に帰り、やっと片付けが終わり、子供も主人も部屋に入った


やっと一人の時間…
私はコーヒーを入れて、久しぶりにアルバムの整理を始めた


江ノ島の海をバックに幸せそうに笑う私と主人…


何も知らず、平和だったあのころ・・

あれから何年経ったのかな?…


突然メール着信音が…

こんな時間に誰だろう?


「赤羽っち、お誕生日おめでとう!もうお祝いした?僕が一番だったらいいな~


…時計を見ると12時ジャストを15秒ほど過ぎていた


『あ、私、明日誕生日だったんだ!あ、もう今日なんだ…』


そういえば、新人研修の時、自己紹介に誕生日を記入したっけ…?

嬉しいような、恥ずかしいような…微妙な気持ちだった

だって41歳…

誰もお祝いなんてしてくれないし、したくもない



考えた挙句、仕方なく明るく

「お誕生日、覚えていてくれてありがとう。歳の数だけ嬉し泣きしております!・・・・・

と、涙マークの絵文字を30個並べて送ってやった


「(超笑)ハハハ、数が少し足りないよ~!考えたら、それでもまだお姉さんなんだ~!」

ゲッ!ショック!

まだ足りない?


そっか~彼はこの間28歳になったんだ~

13歳年下!ありえない!


いくらお祝いメールが嬉しくても、でもこれはちょっとシャレになんないでしょ


「来月の木曜日、休み取れませんか?」


とても、返事する勇気はなかった…

前にお世話になった仲良しママたちに、今度こそ「勝負服!」をコーディネートしてもらおうかと思ったが、まさかこんな事、誰にも言えない・・

返事ができないまま、夜中の3時をまわってしまった


41歳のバースデー・・

なんだかステキな神さまからの贈り物・・・

どうしよう・・・



・・・つづく 


逃避行?

2006年05月16日 | Weblog
試験が終わっても、一段落する暇なんて全くなく、忙しい日々は続いた

試験勉強の終わった私に主人が、新聞を読みながら聞いた

「宅建、合格したの?」

「発表はまだなの。2ヶ月先だから…」

「え?それまでわからないの?」

「うん、でもやっと勉強から開放されたよ~」

すると、清々したように

「もう、これで勘弁してくれよ散々、好き勝手な事して家の中は片付かないし…、やっと明日からは少しは家を片付けてくれるんだろ?宅建なんて、そう簡単に通らないんだから」

「・・・」

なんか、いやだな・・・

家を片付けたらどこかに行きたいな・・・



せっかくの週末なのに、大雨が降り、とても暇な一日だった

雨が降ったら、お出かけしないでモデルルーム見学へ…と誘っても、誰も来ないだろう

見込みの集客予定が全く狂ってしまい、上司はみんなご機嫌斜めだ


そこへ、裏口から誰かが来た

!!あ、Nさんだ!


「こんにちは~、今日は雨でさっぱりですねぇ。うちも今日は全然ダメです。この物件の近くのお客さんの契約があって、ついでに見せてもらいにきました~」

手にはシュークリームがいっぱい入った箱を抱えている

「みなさんでどうぞ」
中には間抜けにもレシートまで一緒に入っている!


一通り見学した後、彼は、みんなが苦手な口うるさい上司のモノマネでコメントをし、一気にムードを明るくしてくれた


帰る前「あ、××さん、赤羽ちゃんをいじめちゃだめだよ。僕の大切な新人さんなんだから!」


「じゃ!おつかれさま~、みんな~雨にも負けず、風にも負けず頑張ろうね~」

あっという間の30分だった


寂しいな…

休憩時間に、子供からメールが来てないかと思って、携帯を開いたら

「赤羽っち、頑張ってるね~。髪の毛、後ろに上げたらとても大人っぽくてキレイでした。今度、写メくれませんか?」

大人っぽい???  私が?!

40なんだから、そりゃ大人だろっ!

「写メ??って写メールのことですか?オババの写真集めて、何かマニアなの?それとも魔よけにでも使うの?」

赤羽っちって、すごいおもしろいんだ!!魔よけはウケたよ!!でもマニアは当たり~ 赤羽っちマニアかな!写真ください!」


・・思わずロッカーの鏡に映る自分の顔をジッと見てしまった・・・

それっきり、メールはなかったし、これで本当に写真を送ったら、恥かきおばさんになるところだった・・・危ない危ない


Nさんは、特ににハンサムでもなかったけど、みんなに愛されるキャラだった

誰も、彼を悪く言う人はいなかった

だから、きっとみんなに優しいんだろうな・・

こんな必死な新人には、いつも元気をあげているんだろうな・・

なんか安心できる人、ホッとできる人・・

なんだか気になる、、、いや、考えるのはよそう・・・



帰り電車の中で眠りこけているとメールが来ていた


「今度、仕事サボって、どこかにおいしいもの食べに行きませんか?」


目が覚めた私は、何も迷わず


「はい、どこか連れて行ってください」



・・・あとで、笑われたら、「オババの冗談!」と言えばいいや!

なんだか疲れたよ。。もう


頑張ってきた5年分の疲れがどっと出ていた


・・・つづく




僕はあなたを尊敬します

2006年05月15日 | Weblog
この仕事をしていて、必要な資格がある

誰でもが知っている宅地建物取引主任者…略して「宅建」の資格だ

おもに「権利関係」「法令上の制限」及び「宅建業法」の主要3科目に別れ、不動産業務には欠かせない資格である

大体、若手の社員はほとんど資格を持っており、私のように、今まで全くこの業界に所属したことがない者にとっては、かなり厳しい難関だ…

それも、このハードな毎日の中で、1年に一回しかないこの試験を受ける…というのは、あまりに過酷だ…


『宅建は難しい』という言い訳は、皆様にインプットされたかしら…?


この性格なので…、

日々の目一杯の仕事→やっとの休日に宅建講習→夜中の勉強…→電車で居眠り→先輩からのプレッシャー→仕事の基本的なミス→接客から受付へ格下げ→シアターの案内への格下げ→最初の契約者のキャンセル→上司からのイヤミ→模擬試験の不合格→ホコリだらけの家の中→主人からのイヤミ→けんか→また自信を失う・・・

という流れで、どんどん私はまた、落ち込んでいった

ある夜、主人が

「そんなにしんどいならもう辞めれば?」

と言った

「辞められないよ、こんなに頑張ってるんだから」

「全く自分の自己満足の世界だね。」

「頑張れ…とか言ってくれないの?」

「どうして?君が勝手に家族に迷惑かけて、なんで応援するの?」


・・確かに、休日はずっと仕事だ

休日の朝ごはんと簡単なお昼ご飯の用意はしていくが、やはり、主人にかける負担は多い

私はといえば、週末のお客さんの対応に追われ、もうヘトヘト状態で、おかずもお刺身かうなぎが続いてしまう・・・

たまりにたまった洗濯物を主人が干してくれていることもあった

本当は、とても感謝しているのに…、
本当は「疲れたよぅ」と言いたいのに…、
どうしても主人の顔を見ると意地を張ってしまう

「だって、先日約束した私のお客さんがくるんだもの。」

ついついえらそうな口ぶりになってしまう


ボロボロになりながらも、せっかくの休日は宅建講習に出なくてはいけない

午前中はほとんど意識がモウロウとしていて、居眠りばかり・・
せっかくとったノートもミミズのような字が並び、ひどい時は蛍光ペンが斜め下がりに引いてあったりする

これではいけない。。。と思いながらも、この不器用な性格の私は全部背負ってしまうから、家にも会社にも弱音を吐けない

仕事と家事が終わり、必死に先日の講習の復習するが、民法のところが難しすぎて何もわからない・・

時計を見ると、夜中の1時30分

眠い…

でも、もうすぐ試験本番があるというのに、意味がさっぱりわからない

思い切って、初めて自分からNさんにメールしてみた

「こんな夜中にすみません。どうしても『売主の担保責任』のところと『法定地上権』のところがわかりません。ギリギリですが、どんな参考書を見ればよいですか?また、時間のある時に教えてください。もう、限界…しんどいです~」

それから、私はお風呂に入り、また、問題の続きを解こうと思ったら、2時を過ぎてからメールの着信音が…

「『売主の担保責任」のところの解き方のテクニックとすると、権利の瑕疵の場合、もしも…・・・・、例えば、債権者Aと…・・・、この説明で少しわかりますか?今度、図で説明するからFAXを送ります。」

と、1000文字以上の文章で、小さな携帯に永遠に綴られていた

私は、一生懸命にそれをノートに赤で写し、とても大切にこのメールを保護し、この日、なんだかとても安心して眠った


最後の追い込みの時は、また、新物件の打ち合わせと重なり、もう、私の人生始まって以来…というほど、自分を追い込み、自分と戦った


いよいよ、宅建試験当日、私はボロボロの身体を引きずって、試験会場にギリギリに駆け込んだ


その夜、ネットで公開されている「宅建、回答速報」をまるで、あの日、面接試験の結果を一人で封筒を開けたときのように、一人でこっそり一つずつ答え合わせをした

31、32、33…33点

だいたい、宅建試験は毎年、合格点が50点満点で33点から35点位がボーダーライン

とても微妙…

試験の結果は2ヵ月後に送られてくる


あぁ…これからの2ヶ月間、このモヤモヤした気持ちで過ごすことになるのか…

Nさんにメールした

「本当に、いろいろとお世話になりました。無事、試験は終わりましたが、自己採点は33点…なんか微妙です。あんなに頑張ったのに、余裕の結果が出せずに残念です」

すぐに返事がきた

「おつかれさまでした。主婦も妻も母もこなして、仕事もあんなに頑張っているのに、それだけの点数がとれたなんてスゴイ!」

「僕はあなたを尊敬します」


私は、やっと終わった試験の安堵感と頑張った自分を見ていてくれた人の存在が嬉しくて、涙がポタポタと流れおちた


もう、合格でも不合格でも、そんなことはどうでも良かった



…つづく

親に感謝・・・

2006年05月12日 | Weblog
初めての大型物件の販売…

全部の部屋タイプの間取りを覚えるのだけでも大変だ!

スタッフの数も多く、アドバイザーさんと共にお客さんの対応にも右往左往だ


マンションの販売にあたって、いろんな知識があることは、どんなことに結びつくかわからない

たとえば、インテリアや装飾品

「あら、このソファどちらの?」

「まぁ!この置物ステキね」

「このお花はなんていうのかしら?」

「あっそのネイル、ステキね!」

女性のお客様とのお話の中では、どんな事が購入のきっかけになるかわからないのだ


そんなことはいくらなんでも、物件説明の勉強会でも習わない


私は小さい時から、インテリアが大好きだった母の影響で、たくさんの絵画や家具、ガラスの置物や陶器の置物、その上、母の趣味である華道、茶道…いろんな知識を知らないうちに吸収していたのである


まさか、そんな知識がこんなところで生かされるとは…!

飾ってある絵が「モネ」に似ていると話題になって、美術館談義になり、いつの間にか「赤羽さん」ご指名で、最来場してくださった奥さま

物件よりも、モデルルームに展示してあるインテリアがお気に召して、こっそり家具のショップを教えてあげたことから、話が盛り上がり、次の販売をしている時に別の物件購入を検討してくれた経営者のご夫婦

ある時はアクセサリーから、、ある時は玄関のお花から、、

いろんな知識は宝物だ

これは、いきなり昨日今日に勉強して覚えられるものではないし、私が育ってきた環境の中でいつの間にか培われたものだ

この時ほど、趣味の多かった母に感謝したことはない


こんな事がきっかけで、私は、たくさんのお客様と出会い、たくさんのありがたい契約をいただき、いつも自分のための案件を持って、満足できる仕事にめぐり合うことができた


ある日、希望の住戸を記入した「要望書」を持って、順調に戻ってきた私に向かって、先輩の若い女性が

「赤羽さんって、ホントお客さん運がいいわよね」

と、みんなの前で言われた

『運だけじゃなくて、私だって努力しているのに…』

と思ったが、とてもよく仕事のできる彼女にそんな口を利いちゃ、ここにいられなくなってしまう

 
「気にしなくてもいいわよ。『運』も仕事のうちだから」

と、いつも優しい先輩が声をかけてくれた


昔、初めて占い師に出会ったとき、「安いものを安く売るのではなく、高価なものをきちんと売れる人です」と言われた

いったい私のどこに、そんな運が着いているのかわからないが、この感性にとても助けられたことは確かだ


あの、主人の不倫で苦しんだ3年前に、誰が今の私の生活を想像できただろう?

一日中、空間を見つめながら涙を流した日々、私なんて人間の資格はない、私なんて・・・と自分を責め続けた日々・・


復活できるんだ

ちゃんと人間らしく生きているんだ!

そして、若い青年の励ましで、少しオンナを取り戻しつつある私であった


・・つづく


恋の予感??

2006年05月11日 | Weblog
自転車から降りた彼は、車のドアを開け、シートを押し倒し…


…などという、昼メロのようなエッチな想像をしたのは私だけで、

「はい!これお茶っ!暑いからさ」

と、よく冷えたジャスミンティーのペットボトルを差し出した


「じゃ、仕事に戻るよ。またね!」

「え?・・あ?」

と、あんぐりと口を開けている間に、さっさとまた自転車にまたがり、爽やかに手を振っている

私は、なんだかわからないまま、無意識に窓から手を振っていると

「見送らないでよ。チャリに乗ってる後ろ姿、なんかカッコ悪いからさ」

と照れくさそうに言い去り、坂を下りていった



・・は?今のはなんだったの
・・夢?

でも、手にはしっかりと冷たいジャスミンティを握っている

何しに来たんだろう?
一駅も自転車を飛ばして。。。

私の私生活をみて、ゲ~とか思って引いたのかな?
いろいろと考えてしまう


なんだかよくわからないまま、いただいたお茶を飲み時計を見たら、そろそろレッスンの終わる時間・・・

さ、戻ろ~

するとメール着信音が・・・


「赤羽っちのTシャツとジーパン姿、めちゃめちゃ可愛いかったです

・・・?ハートマーク入りのメールだ!

は?なんなの?バカにされてるのかな?

でも…
もうまったくう~、なんなのよう~ふざけてるわぁ~

いいや!ふざけてても!
なんだか自然に口元がニヤニヤしてしまう


なんとか必死に気を引き締めて

「冷たいお茶、ごちそうさまでした。お仕事頑張ってください」

と、ちょっとツンツンしてメールを返しておいた!


その日の帰り道、子供には臨時配給のハーゲンダッツが振舞われたのはいうまでもない!



翌週から、新物件のオープンに向けての物件説明と建物の概要などの打ち合わせが始まり、また一気に忙しくなった

前回とは全く地域も販売戸数も違うので、かなり忙しくなりそうだ

覚えるマニュアルも前回の3倍近い!

今度の責任者兼所長は前回と違って、かなりシビアなおじさんだ

この物件の払拭部分、構造、仕様、販売促進のためのトーク…難しくてさっぱりわからない

先輩に教えてもらったが、自分で何とか理解できる程度で、お客様に納得してもらえる説明なんてできっこない

その前に資金計算の試験はあるし、物件についてのプレゼンもさせられる

必死で入り込むタイプなので、もういっぱいいっぱいだ!


ああ…どうしよう?わからない!!もう、何度も同じことばかり質問できないよ!
私がみんなの足を引っ張ってしまうよ…


家に帰っても、まさか、主人に弱音は吐けない

「ほーら!やっぱりおまえにこんな事できるわけがないよ!」主人の声が聞こえてくるようだ


その時・・

「頑張ってますか?また赤羽っちの事だから、テンパってるんじゃないかと心配しています。わからない事があったら、いつでもフォローするから、無理しないようにね。いつも応援しています」


なんだか、そんなに優しい事を言われたことがなかったので、涙が出そうになった


「ありがとう。なんとか頑張ります

「夜中でもいつでも質問受付中です


なんか、どこかで見守ってくれるような気がして、ちょっと嬉しかった


・・でも、私は40歳、夫と子供と犬が家で待っている


…つづく




それはルール違反でしょ!

2006年05月10日 | Weblog
びっしりと忙しかった研修が終わり、次の物件のオープンまで、少しのお休みをもらった

私は、ずっと溜めてこんでいた家族全員の衣替えをし、たくさんの洗濯をし、久しぶりにちょっと自慢なくらい家の中でよく働いた

家にずっといるのはイヤだけど、たまには、こうして一日中「主婦」の用をするのもいいもんだ!

その日の夕飯は、子供にも手伝ってもらい、久しぶりに手作りのシュウマイと春巻きを作り、時間に追われないクッキングを堪能した

主人が帰ってきたら、ピカピカのリビングの床を見てきっと「久しぶりに家がキレイだね~」って言ってくれるかな~?


「ただいま~」

あっパパだ!

「おい、リビングよりも、ここの和室の荷物、何とかしてくれよ」

第一声だった・・・


ヤツはやっぱり欠点探しの名人だ!・・・はぁ、、、疲れた


「パパ~!タンス開けてごらん?全部衣替えしたよ~」

「当たり前だろっ!いったいいつやるのかと思ってたよ」

「・・・」

あ~気分悪っ!


早く仕事に行きたい!


翌日は、久しぶりに仲良しグループでランチの約束をし、いつもの手作りのお弁当ではなく、フォークとナイフを使ったフレンチをいただき、超シアワセ~!!

世の中の専業主婦は、どうしてこんなに美味しいランチを堪能できるのに、働いてインカムのあるキャリアウーマンが冷たいお弁当を食べなくてはいけないのだろう…??

今まで、考えもしなかった事だ!

世の中の夫たちは、主婦のランチの値段を聞いたら、かなりムカつくだろう!

知らないほうがシアワセだと思う!


豪華ランチのあとは、店を変えてデザート&コーヒータイムだ!
ちなみに、うちの夫のお昼ごはんは、このデザートセットの価格よりもまだ安いと思いま~す

一通りの子供の話題、夫への不平、姑のボヤキが終わると、次はすっかりOLになった私の仕事に話題が集中した

「なんかステキなお客さんとか、すごーいお金持ちとかいないの?」

「教えて、教えて!」

「そうねぇ…」

私は、他物件を見に来た芸能人のお話や、気に入ったからと一度にマンションを2戸お買い上げのお客様のお話や、ステキな夫婦の話題などなど…話は尽きない


なんか、のんびり楽しいな~
また専業主婦に戻りたいな~
お気楽でいいなぁ~
専業主婦って、とっても優雅な職業なんだな~

最後にみんなに
「夫はいろいろと口うるさいけど、働いてくれてることに感謝しなきゃね!」
な~んて、珍しくわかったような口をきいたり…

外に出たら、いろんな世界が見えてくるもんだ!



しばらく子供のお稽古について行ってあげていなかったので、久しぶりに、翌日は子供を車でレッスン先まで送って行った

レッスンの間、車の中で本を読んでいると…メール着信音が・・・

はいはい、、、なーに?
メールを開くと、なんとN青年から!


「久しぶりです!お元気ですか?今日、残りの406号室の契約が入りました!最初に接客してくれたの赤羽さんだったんですね。どうしてるのかな~と思って」

「はい。元気です。今、娘のレッスン中で、車で時間つぶししているところです 406の契約おめでとうございま~す」

暇だったので、ついつい喜んでお返事をしてしまった

「今、どこなんですか~?

「○○公園ですよ~。今日はお天気がいいから気持ちいいですよ


それっきり、返事もなかったので、仕事が忙しいんだな~と思って、また、本を読んでのんびりしていたら・・・


コンコン・・

窓をたたく音がする

顔を上げたら、そこには自転車に乗ったN青年が!


「ええっ~~!どうしたの?」

「だって、隣の駅だから、どうしても逢いたくてチャリで探しに来ちゃいました!」

「えっ?あそこの販売センターから?」


スーツ姿のまま自転車にまたがる彼の額にはすごい汗が・・・



ヤバイぜ!その汗。。。爽やかすぎるよ!

いきなりルール違反でしょ!


ちょっと、ドキドキしている私の手は、かなり汗ばんでいた




…つづく

え?これってラブレター?

2006年05月09日 | Weblog
研修最後の日、私は次の販売先の物件名を告げられ、お世話になった皆さんにご挨拶をした

本当に、ここでは良いスタッフに恵まれ、とても親切にしてもらった、その上、よいお客様にもめぐり合えた

「また、次、どこかの販売で一緒になったらいいですね!頑張ってください」

とみんなに励まされ、挨拶をした


研修終了の合格の担当印をもらいに行くと

「おつかれさまでした。赤羽っちなら、もうどこへ行っても大丈夫ですよ。明日から寂しくなるなぁ」

と、所長が言った


「ご苦労様…」と、研修シートが返ってきたが、そこに一緒にクリップで『Eメールアドレスと携帯番号』がはさんであった


なんとも思わず、販売センターをあとにしたが、家に帰ってから

・・・はて?これは?


今どきのワカモノは、こうして挨拶代わりにアドレスを渡すのか!
私もアドレスのメモを返さなくてはいけなかったのかしら…??

あっそっか~
メールをしたら、こちらのアドレスも教える事ができるのか~!


オバサンなので、結構悩んで

「長い間、お世話になりました~。本当にNさんにはいつも助けてもらってばかりで感謝しております。これからも頑張ります。ありがとうございました

と書き、ちょっとワカモノぶって絵文字なんかも入れてみた!


・・すると、目にもとまらぬ速さで返信が…


「本当にお疲れさまでした~。明日から赤羽っちが来ないと思うとかなり寂しいっす。いつも、あなたを見ていた事、気づいていましたか?」



??「は?これって何?なんて?…?」


まさかラブレター(古い表現!!)ではあるまいし…


とても迷ったあげく

「本当にいつもよく面倒を見てもいただきありがとうございました。いつも、楽しかったので私も残念です。これからも頑張ってください。」

と送信すると同時に、返信メールが…

「いつも何事にも一生懸命で、ムキになって勉強している赤羽っちが可愛いかったです

は??かわいい??バカにしてるのか??

「あの、私は40歳ですけど、所長さんはいくつなんですか?」

「僕は27だよ」

「え?27、・・・」

「これからもメールしてもいいですか?」

「いったいこのオバサンと何を話すんですか?」

「ぜんぜんオバサンじゃないです」

「オババ好みなの?もしかして主婦キラーだったりして?」

「主婦キラーって何?真剣に誘ってるんですけど…」

「すみません、そんなつもりありませんのでお断りします」


・・・それっきりメールを送らなかった


あ~ドキドキしたっ


なんか、ワカモノとメールなんてしちゃったよ~




・・・つづく





研修生卒業!

2006年05月08日 | Weblog
足のアザは紫色がどんどん薄くなり、やがて周辺から徐々に黄色いまだら模様になっていった

「青あざはこんなふうに消えていくのか・・・」

と妙な感心をしつつ、あの晩のことを思い出し身震いをした

ありきたりな表現だが、アザの色は薄くなっても、私の心の傷はどんどん深くなり、消えないしこりとなっていた



その頃から、私はあんまり家で仕事の話をしなくなり、家庭の中で過ごす時間が苦痛にさえ感じる時ようになっていた


でも、仕事を始めたことで子供に寂しい思いはさせたくなかったから、帰宅してから寝るまでは、今まで以上にたくさん学校の話を聞いたり、一緒にご飯を作ったり、ゲームをしたり、大声で笑ったりしていた

疲れていたけど、ちょっと無理をしてケーキを焼いたりして母親を挽回していた


そして、少しでも時間があれば、遅く帰った日のために、せっせとドライカレーやハッシュドビーフ、餃子などを大量に作って冷凍保存することに専念していた


でも主人の顔を見ると、なんだか素直に笑えず、話題がなく困ってしまう・・

だって、この頃の私の話題は仕事のことばかりだったから・・・


お電話一本だけで、ポンとマンション1戸お買い上げになったお客様の話も、縁談がつぶれてキャンセルしちゃった可愛そうな男性のお話も、私のドジな失敗談も…な~んにも主人に話したくない・・・

だからただ、一生懸命に仕事を頑張った


別に誰に褒められなくてもいい

自分に満足できる仕事がしたかったから、一生懸命にお客様の声に応えたし、勉強をかかさなかった

幸い、私には「不動産」の仕事が向いていたようで、どんなにたくさんの資料を覚えることにも、特に苦痛は感じなかった


家に帰ると、ひたすら食事を作り、主人にしかられないように最低限の掃除をし、夜になるといつも死んだように眠っていた


昔、仕事で疲れて帰ってきた主人に、もっと話を聞いて!一緒にゲームをして!どこかに連れてって!ねぇ、ねぇ…と子供と一緒になって、しつこく付きまとったものだ

疲れて帰って来た時は、かなりウザイと感じていたはずだ


なんだか仕事で疲れて帰ってきた世の中のお父さんの気持ちが少しわかったような気がした


会社では、上司や同僚にもとても仲良くしてもらい、いつの間にか家庭よりも仕事場のほうが居心地がよかった

スタッフの先輩方は、私のミスをさりげなくカバーしてくれて、いつも励ましてくれた


所長のNさんは、とても褒め上手な人で、朝の朝礼の時に

「昨日は○○さんの大活躍で、ここの契約が入りました!皆さん拍手!

と、毎回みんなを盛り上げてくれた


契約の入らなかった週でも、

「きっと、皆さんの話を聞きに、また来週はお客さんが戻って来てくれると思うので忙しくなると思います!皆さんのお陰です!頑張りましょう!」

と元気付けてくれた


こんなに若くても褒め上手な人もいるんだ・・・と、とても感心してしまった


誰かと大違い!


おかげで、とても気持ちよく仕事をすることができた


気がつくと、あっという間に3ヶ月の研修期間が終わりに近づき、数々の研修チェックポイントの試験もパスしていた


次の物件からは、研修バッチなしで、自分ひとりでお客様のフォローをしなければならないのだ

でも、ここで私はとても強い精神力と、仕事力を学ばせてもらった


この物件もあと数戸というところまでいき、私の華々しい不動産販売デビューを気持ちよく飾ることができた


今の私はここから全て始まったのですから!


・・・つづく