独り言雑記ブログ

将棋関係の一人言雑記帳

マイナビ杯女王戦 予選1回戦 ▲船戸陽子二段-△井道千尋1級

2007-10-30 23:21:39 | Weblog
1週間以上経過してしまいましたが、マイナビ杯1回戦の観戦記です。えーと、時間が経って記憶が薄れ気味なのとメモした自分の文字が読めない(!)ので、なんかうまくまとまってませんが・・・。キラリっ娘の3人組の仲の良さみたいなのを感じてもらえれば・・・。
というか、前回のもそうだったけど、日本語力がないな>俺(まあ、ないから理系人間やってるんだけど)



先手:船戸陽子二段
後手:井道千尋1級
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲4八銀 △4二飛
▲6八玉 △6二玉 ▲7八玉 △7二銀 ▲5八金右△7一玉
▲3六歩 △3二銀 ▲5六歩 △5二金左▲2五歩 △3三角
▲5七銀 △9四歩 ▲7七角 △8二玉 ▲8八玉

新棋戦誕生
 毎日コミュニケーションズ、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会の3者が主催する第1期マイナビ女子オープン。タイトル称号を公募したり、組み合わせ抽選はすべて公開で行なわれたりするなど、今までにない形式となった女流棋界の新大型棋戦。2週間近く前に相手が分かる他の棋戦と違って、予選の場合、組み合わせは前夜祭で決まり、しかも公開一斉対局で持ち時間も男性棋戦の朝日杯将棋オープントーナメントと同じく40分60秒の形式という、どちらかというアマ大会に近い形式で行なわれる。実際、本棋戦でプロ入り初勝利を飾った中村桃2級や熊倉2級は、対局後の感想で「アマチュアの時の大会に近い形式だったので」と語っていた。

 公開対局ということで、今回は、ファンにも対局場が公開された。原則的に非公開で行なわれる公式戦で、これだけの棋士が一斉対局する姿を見ることが出来るのはなかなかない機会だ。1つ上のフロアでは、本戦シードの村田女流初段のほか、藤井九段、先崎八段などによる大盤解説会も行なわれることにもなっている。

 主催者の掛け声で1回戦を戦う24名が一斉に対局場に入場。振り駒の後、駒を並べる。なんともいえない雰囲気が漂っている対局場には、駒音とカメラのシャッター音だけが響いている。前夜祭で発表された新称号は「女王」。そして、その初代女王を決める戦いがこれから始まる。10月20日午前10時。主催者の掛け声とともに、1回戦全12局が始まった。


△6四歩 ▲6六歩 △4三銀 ▲7八金 △6三金 ▲9八香
△7四歩 ▲9九玉 △7三桂 ▲6七金右△5四銀 ▲8八銀
△4五歩 ▲6八角 △4一飛 ▲1六歩 △9五歩 ▲5九角
△1四歩 ▲2六角 △1二香

能登の陽だまり
 対局開始から10分から経過して、報道陣の撮影禁止のアナウンスが流れた。本局は、井道1級の四間飛車に船戸二段が居飛車穴熊模様となかなか予想しなかった戦型だ。

 井道1級は、今年から東京に出てきて活動しているが、元々は関西所属で地元は石川県。愛知の室田1級、島根の里見初段とともに活動している「キラリっ娘」の長女で、ファン投票でついたニックネームは「能登の陽だまり」だ。たまたまなのか、主催者の意図なのか分からないが、本局の隣では、キラリっ娘の次女・室田1級がベテランの蛸島五段と対戦している。関西の期待の若手と1期生の対局ということで、対局開始前後はこの対局に多くの報道陣のカメラが集まっていた。他には、アマチュア2選手の対局に注目が集まっている。

三女・里見初段は昨年度に本棋戦の前身・レディースオープントーナメントで活躍し本戦シードということで、井道1級・室田1級の対局を見守っている。この3人は、普段も仲がいいようで、対局前には、控え室の前で3人で談笑していた。

 井道1級は、序盤から小刻みに時間を使っており、28手目△6三金が約7分、36手目△4五歩が約5分考慮。船戸二段も41手目▲5九角に約10分考えるなど、序盤から神経戦になっているようだ。

隣の室田1級-蛸島五段戦は、井道1級とは対称的に室田1級が早いペースで進めていることもあってか、既に小競り合いがはじまっているようだ。井道1級は、44手目△1二香を指した後、一瞬、室田1級に目をやった後、再び盤面に目を戻した。


▲3五歩 △同 歩 ▲同 角 △6五歩 ▲2四歩 △同 歩 
▲6五歩 △9六歩 ▲同 歩 △9七歩 ▲同 香 △8五桂
▲6六銀 △9七桂成▲同 桂 △9二香打▲5五桂 △6二金引
▲2二歩

人気ブロガー
 井道1級はキラリっ娘として「キラリっ娘のそよ風日記」で里見初段・室田1級とともに書いている人気ブロガーだが、船戸二段も「船戸陽子blog」というブログをやっている。普段の将棋教室の様子や女流棋士の写真をあげている人気ブロガーの一人でもあり、現在は、女流棋士会のホームページを担当するデザイン派でもある。

 本譜は、約3分考えて、船戸二段が45手目▲3五歩と突き、始めて駒がぶつかった。△同歩▲同角のあと、井道1級は、再び長考。手を顔にやり考えている。一方の船戸二段は、手に持った扇子を時々動かしたり、扇子で扇いだりしながら考えている。序盤、井道1級のほうが多く時間を使っていたが、41手目▲5九角に約10分考えたこともあり、持ち時間が逆転していたが、再び持ち時間は逆転し、井道1級が上回った。井道1級は、約5分考えて、48手目△6五歩。51手目▲6五歩には、ノータイムで△9六歩と端攻めを敢行した。

両者ともまだ10分以上の持ち時間を残しているが、早くも他の対局からは秒読みの声が聞こえてきている。序盤はゆっくりとした展開だった本局だが、読み筋どおりになのだろう。中盤に入り井道1級のペースが早くなった。逆に、隣では早くも終盤の入り口に差し掛かり、ここまで早いペースで進めてきた室田1級が長考しているようだ。

船戸二段は61手目▲5五桂を指して、大きくため息をついた。残り時間は、再び船戸二段のほうが少なくなった。


△9六香 ▲9八歩 △4六歩 ▲3四歩 △4五飛 ▲4六角
△5五銀 ▲同 歩 △4四角 ▲2一歩成△8五桂 ▲8六桂
△7三金 ▲9四銀 △9七香成▲同 歩 △9六歩 ▲同 歩
△9四香

勝負どころ
 本局は勝負どころを迎えていた。局後の感想戦の感じでは、63手目▲2二歩の局面では、船戸二段はけして自信があったわけではないようだったが、まだまだ難しい勝負だろう。

船戸二段が▲9八歩と受けてしばらくして、隣の対局では、関根四段が投了。中村桃2級がプロ初対局初勝利を新棋戦勝ち名乗り1番手で決めた。まだまだ中盤の難しい局面の本局だが、隣では、多くの報道陣やギャラリーが集まっている。中村桃2級への主催者のインタビューや感想戦の声が聞こえてくる。ほどなく感想戦も終わり終局後も厳しい表情が続いていた中村桃2級だったが、ようやくほぐれていた。まだ対局中の残りの22人は、一瞬、そちらに目をやることはあっても、気にする余裕は当然ないようだ。

 井道1級もここで最後の長考に入っていた。残り1分まで約5分考えて、67手目△4六歩と飛車先の歩を突いた。船戸二段の▲3四歩に井道1級はほぼノータイムで△4五飛。△4五飛に対する船戸二段の応手▲4六角を考慮中に、持ち時間を使いきった井道1級は、記録係の声にうなずいた。一方の船戸二段の残り時間は2分だ。

 終局後、最初に口頭で感想戦行なわれたのはこの辺りだった。そして、ここでの△5五銀が感想戦で井道1級が真っ先に悔やんだ手で、形勢を損ねてしまったようだ。船戸二段も77手目▲9四銀から1分将棋。船戸二段は、一度銀を持ったが、もう一度駒台に置き、40秒まで考えてから、再び銀を持ち直してから▲9四銀と打った。


▲同 桂 △7一玉 ▲8六香 △9七歩 ▲8九玉 △3五角
▲5七銀 △4六角 ▲同 銀 △3九角 ▲2四飛 △6六桂
▲9三角 △6二玉 ▲2二飛成

秒読みの中の勝負
 井道1級は、82手目△9四香を指したあとゆっくりお茶を飲んだ。▲同桂にはノータイムで△7一玉。△7一玉を指した後、井道1級は、一瞬、隣で対局している室田1級に目をやった。蛸島五段は少し前から秒読みに入っているが、室田1級はまだ数分の持ち時間が残っている。隣の対局では、室田1級の最後の長考で、84手目△8四龍。寄せを読みきったか、その手つきには力があった。一方の蛸島五段の応手・▲4五玉を指す手つきには力がない。室田1級が優勢のようだ。

本局は、両者は既に1分将棋だ。とはいえ、60秒ぎりぎりまで考えることは両者ともほとんどない。30秒以内に指すことも多く、50秒まで読まれることもほとんどない。お互いの読み筋どおり進んでいるのだろうか。井道1級は、姿勢や表情が大きく変わることはないが、船戸二段は、秒読みになってより前傾姿勢になってきている。

 井道1級は、92手目△3九角~94手目△6六桂と迫るが、一方の船戸二段、95手目▲9三角から97手目▲2二飛成で左右挟撃態勢。▲2二飛成と飛車が成り込んだ手が王手になるのでは、井道1級はやや苦しいのかもしれない。船戸二段は、▲2二飛成と飛車を成り込み、今日何回目だろうか、再び大きくため息をついた。


△5二銀 ▲6六金 △4六飛 ▲同 歩 △5七角成▲6八香
△8四歩 ▲8五香 △6九銀 ▲9七銀 △8三金 ▲6七金引
△同 馬 ▲同 香 △9三金 ▲6四歩 △9四金 ▲4五角
△5一桂 ▲6三歩成△同銀右 ▲9二飛 △7三玉 ▲9四飛成
△8三金 ▲6五桂
まで123手で先手の勝ち

明暗
隣で行なわれていた室田1級と蛸島五段の対局が終わり、この対局もいよいよ最終盤。船戸二段の後ろからは、感想戦とカメラのシャッター音が聞こえてくる。他の対局も続々と終局しているようで、各対局で主催者のインタビューや感想戦が行なわれている声が対局場に響いている。残る対局も少なくなってきたこともあって、この対局を見つめる人も増えてきた。

 船戸二段の手つきは力強い。優勢だからというわけではなく、力強い手つきは最初から一貫しているが、終局までの道筋が立ったか、船戸二段の動きは少なくなってきた。前傾姿勢も一時ほどではない。相変わらず両者は時間いっぱいまで指してを考えることは少なく、108手目△8三金は、井道1級の指し手に記録係が気づかずに井道1級が指摘するシーンもあった。

 隣で対局していた室田1級は、蛸島五段の感想戦も終わり、席を立ったあとしばらくこの対局の盤面を見つめたあと、同じように本局を見ていた里見初段に笑顔を見せていた。やはり「キラリっ娘」の仲間の対局はお互いに気になるようだ。

 本戦シードの里見初段、1回戦を突破した室田1級に続きたかった井道1級だが、123手目▲6五桂で投了。最後は、船戸二段がしっかり勝ちきり2回戦進出を決めた。

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