ドイツ空軍 ＬｕｆｔｗａｆｆｅｎライカⅢc

VFC社のＡＫ７４電動ガンキット用木製ストックに納得が行かず、放り出したままなので、今日は放蕩散財の極致みたいな買い物をしてしまった旧ドイツ空軍用ライカⅢC、通称「Luftwaffen Leica」の手入れをしてやりました。

１９９５年ですから、今から１２年前、ドイツ出張で、フランクフルトのライツ社認定カメラ店で衝動買いしてしまったものです。最初このカメラを見た時の衝撃は今でも思い出します。震えましたもの。

ショーケースに収まっている旧ドイツ空軍（Luftwaffe）独特のブルーグレーが約９０％残ったケースと、時代経過に伴い、黒に近いブルーグレーが約７０％残っているカメラ本体、更に、目の玉が飛び出る値札も一目みて、「これは本物だ！」と・・・。

触らせて見せて欲しいと店員に頼み込み、Uボート艦長の懐中時計を購入した古美術店と同様、白い手袋を渡されて、眺め回すこと１時間、次の日の夜も、その次の夜も、閉店間際に立ち寄って、「買うから」。店の店長が出てきて確かめられたことまで覚えています。

購入したと言っても、ドイツ滞在期間中、いつも購入金額のことばかりで、仕事どころじゃない訳です。下手をすると、自動車新車一台買えてしまう。分割払いなどドイツ国内居住者でなければ無理。後はクレジットカードしかない。与信枠あるのか？それより、買った後どうやって生活するか・・・。しかも、贋物だったらどうそうする。いや、これはタダモノではない。このまま帰国したら最後、もう買うチャンスは無い。懊悩の３日間でした。

旧ソ連製などの贋物も非常に多いことで有名でもあるミリタリー仕様のライカ、贋物つかまされたら、マイナスの返済をせなばならのは溜まらん、との疑惑が深まり、購入後、早速ライツ本社に送り、鑑定を依頼した所、「ドイツ空軍所有」を意味する「LuftwaffeEigentum」の刻印の入った皮ケースもカメラ本体も本物でした。

いかにもドイツらしく、全部記録が残っているんですね。製造番号「３８８６２８」。旧ドイツ空軍（Luftwaffe）向けに製造納品された１台で、破損パーツは、ブルーグレーのストラップ以外、内外装を含め無しと連絡があった時は本当に安堵゛しました。戻ってきた「Luftwaffen Leica」、テストで撮影されたプリントとネガまでご丁寧に同封されているという・・。

軍用ライカだけを集めたムックによると、ライツ社がドイツ空軍に納品した本物の軍用支給ライカか否かの真偽を量る大きな特徴に、「Fl  No38079」が、製造番号と共に刻印されているか否かなのだそうです。因みに、この「Fl  No38079」は、旧ドイツ空軍が、ライツ社に割り当てた空軍用カメラ専用識別番号で、これは購入してから判ったという、「大間抜け衝動買い男」であった訳です。

さらにライツ社からは、カメラ本体や、当時は速写ケースと言われた、皮製のカバーのLuftwaffenグレーの剥がれた部分の補修は不可能だと言う。不可能というよりも、「当時の塗料が存在しない以上、絶対にやらないし、やってはいけない」という返答が帰ってきました。いかにもドイツらしいし、正解でしょう。

このライカの速写ケースの中に、名刺入れサイズのケース？と薄い鉄板が入っているのですが、これは一体何をするためなのかは判明できていません。ご存知の方がいらしたら、是非教えて頂きたいと思っています。

この後、Luftwaffe用ライカの研究が始まり、今度は、やはり旧ドイツ空軍がライカに発注した「LuftwaffenライカⅢcK」という、東部戦線などで使用する為の耐寒仕様を購入することになるのですが、これは別途また。因みに、「ⅢｃＫ」のＫはドイツ語で、「Ｋａｌｔｅｆｅｓｔ＝不凍」を意味するものらしく、東部戦線などの空軍部隊に支給された様です。

これらのカメラで、私が尊敬するGallandや、Luftwaffeの幾多のエースや、多くの写真が撮影されているのだと思うと、戦争は悪ですが、航空機ファン、ドイツ空軍機の大ファンでもある私の空想が膨らみ、ワクワクしてきます。

Photo Courtesy: "Aces of Luftwaffe" by Kacha

ミリタリーライカ、特に旧ドイツ軍用ライカってのは、奥が深すぎて、旧ドイツ海軍用は当然ながら、Ｕボート部隊に支給されたカメラまであるというから驚きです。何とか発見できないかと思っていますが、不可能に近いとも言われているそうで、そう言われれば言われるほど探してみたくなります。

本当は、数万円もするカメラ専用保管庫で保管するのがベストなのだそうですが、買おうと思う時には金欠という・・・。でも、真剣に購入をしないと。