よろずよもやまよろずたび

地元の写真と日々の雑感、写真日記です.
最近は陶芸三昧の日々ですが・・・

ヤバンな科学

2010-12-28 | 


池内了著 「ヤバンな科学」
雑誌や新聞に掲載された著者の科学評論をまとめたものとのことです。
冒頭 『科学者は、科学の専門化が進み、専門以外については無知であったとしても、識者としての傲慢さで物事に臨む。 この科学者こそ野蛮人ではないか』 というスペインの文明史家オルテガ・ガセットの『大衆の反逆』(1930年)を引用し、当時より更に専門化した現在は尚更のこと、とのことです。 で、本書のタイトルが「ヤバンな科学」なんでしょうが・・・・ 
先に読んだ「逆立ちしたフランケンシュタイン」同様、科学者の倫理感などについても触れている内容です。 で、その途中、「ふつうの人々の科学・技術」というところになって、『私が科学の仕事をしているせいか、周囲の人々から食品のアレコレについて様々な質問を受ける。中略。すべてのことを知っているわけではない(むしろ、知らないことの方が多い)ので 中略 「よいといわれているものは信用しないこと」と答えることにしている。』 というのです。 はて? 知らないのなら何故「知らない」と言わないのだろうか? ひょっとしたら冒頭の「傲慢さ」に筆者自ら感染していらっしゃるのかもしれない・・・とまではいいませんが、やはり「知らない」というのは沽券にかかわるんでしょうね・・・と思ったら、本書が色あせてしまいました。 大学の先生らしい本なんでしょうね。
とはいえ、「総合化が必要」といっており、未来に向けて多少なりとも希望が持てる内容かもしれません・・・読了しないまま返却。
ところで、ヴァン・ヴォクトの「宇宙船ビーグル号の冒険」に 総合的な科学知識を駆使する主人公が活躍します。 これ、1930年代の小説だけど、先の『大衆の反逆』の影響かもしれませんね。