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【会津野】書籍「聖地の想像力」

2018年04月01日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主 ならびに 古書 会津野 店長の長谷川洋一です。

今日から新学期ですね。新たな生活が始まる方もいれば、役目を終えて元に回帰していく人々もいることと思います。

今回は、「一時的な回帰としての旅」の話をしましょう。

読んだ本は、「聖地の想像力」(植島啓司著:集英社新書2000年6月)です。

この本は、冒頭から「聖地はわずか1センチたりとも場所を移動しない」という定義から始まり、聖地とはいったい何なのかを論じている内容です。

読み進めると、こんな文に出会いました。

★ ★ ★

旅に出る時は、我々は実質的に、再生するという行為を体験している。今まで体験したことのない状況に直面し、一日一日が普段よりもゆっくりと過ぎてゆく。ほとんどの場合、土地の人々がしゃべっている言葉を理解することができない。つまり、子宮から生まれてきたばかりの赤子のようなものなのだ。だから、まわりにあるものに、普段よりずっと大きな重要性を感じ始める。生きるためには、まわりのものに頼らなければならないからだ。困難な状況におちいった時、助けてくれるのではないかと思って、他人に近づこうとするようになる。そして、神が与えてくれるどんな小さな恵みにも、そのエピソードを一生忘れることがないほどに大感激したりするのだ。

(中略)

実際、巡礼にみられるコミュニタス的性格と、すべての人を同一の目的に熱中させる力は、大衆文化や大規模な社会が特徴とする伝達手段にもとも適応しやすいのであろう。

コミュニタスとは、日常社会とは逆に、秩序が解体されて原始的な結びつきが復活した反構造的社会状態を示す。人々を熱中させるそうした力は、いわゆる宗教的な活動によっては生まれてこない。それはあくまでも自発的でなければならないし、通常の宗教活動と並列におくことはできない性格のものなのである。むしろ、そのことをよく理解していたのはイスラムの教えのほうだった。

(中略)

ハッジ(巡礼)とはすべてのイスラム教徒に義務づけられた旅であり、それを通じて共同体のなかにおいては経験することのできないさまざまな出会いをもったのである。我々の社会でも、お伊勢参りや熊野詣は、日常の生活からは得られない新しい経験をもつ数少ない機会なのであった。

★ ★ ★

ここでは、旅というものは、母親の子宮に回帰していくようなものだと論じ、神の恵みを例として、感受性がとても高い状況になることだと言う。

そして、コミュニタスという言葉を用い、複雑化した社会から原点回帰するものとして、お伊勢参りや熊野詣のような機会を、人々が持つと言うのだ。

「聖地はわずか1センチたりとも場所を移動しない」というのは、複雑化した社会では、聖地のような絶対化した対象というのはあまり用いられなくて、相対化したものが用いられることが多い。その方が普遍的に論じられて便利だからだ。

旅に出る先は、どこでも良いと思われがちだけれど、「聖地」に旅に出るということを考えると、それはどこでも良いということにはならない。

インターネット社会になってから、「旅」というものへの人々の考えが変質してきていることを先日述べました。【会津野】僕らが旅に出る理由

置き換え可能な観光地は、旅先として選ぶ対象にはなり得ないから、観光業界に従事する私たちは、1センチたりとも場所を動かない「聖地」を目指す必要がありそうだ。

21世紀に入るころまで、わが町会津美里にある伊佐須美神社は、「会津の聖地」というフレーズで広報していました。しかし、伊佐須美神社そのものが、御神楽岳から明神が岳、そして現在の地へと移ってきた経緯を持つので、聖地と言うには語義矛盾が起きる。

ただ、高田の初市で論じた伊佐須美神社一帯の修行僧が多く住み、仏教僧に許された「市」を会津で唯一開催していた町という視点で捉えてみれば、人々が原点回帰する対象にはなり得ないだろうか。【会津野】十三日市の様子

また、本では、聖地は辺境の地という定義も出てくる。

会津美里町高田という地域は、江戸時代に会津藩と幕府天領の境に位置し、高田の町のはずれは国境であったという過去を持つ地でもあります。つまり、辺境でありました。

会津美里という土地は、聖地として巡礼する場なのだと、人々に知っていただく仕掛けが必要ではないだろうか。

一昨年、会津三十三観音めぐりという巡礼が日本遺産に指定された追い風も吹いている。

さあ、本気になって知恵を絞ろう。

そんなこと考えながら、会津三十三観音のボードゲームをどうやって作るか練っている宿主であります。

今日も素晴らしい1日を過ごしましょう。

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