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【会津野】社会契約論 ロールズの巻

2017年04月21日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

まだ、「社会契約論」(重田園江著)を読んでおります。

【会津野】契約とないったいなんぞや【会津野】暗黙の了解とはなんぞや【会津野】社会契約論 ルソーの巻と続き、今日の投稿がこの本を読んだことを書く最後となります。

ホッブス、ヒューム、ルソーの思想と続き、最後のロールズを読み、社会契約論は社会学的思想の古典と思っていたものが現代でも、おおいに活きていると感じさせられました。

ヒトの持つ利己心について、4人の思想を端的にまとめているところがありましたので、ご紹介しましょう。

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狭隘な利己心をどこかで終わらせることでしか秩序が生まれないというのは、ホッブス、ヒューム、ルソーの共通認識になっている。ホッブスの場合、人々は相互性(お互いさま)の観念と約束の拘束力を通じて、第三者としてのリヴァイアサンを設立する。ヒュームの場合、利己心とは別種の感情である共感から道徳原理が生まれ、また、長期的利益のために目先のエゴイズムを乗り越えることで、コンヴェンションに基づく秩序が生まれる。ルソーの場合、具体的で個別の自己である特殊な人間が、一般的立場の自己、あるいは自己を含む社会共同体と約束を交わすことで、エゴイズムを乗り越える。

ロールズは、ルソーが描いた原初の契約を交わすことによる公的世界の生成を、原初状態における情報の遮断と、そこでの人間の推論のあり方へと読み替える。たしかに人は、原初状態ではエゴイズムの立場を棄てる。でもそれは、人間が突如として聖人や天使になるからではい。情報の制約によって、利己的に考えるとは、エゴイスティックに行動するとはどういうことなのかが分からなくなるからだ。

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ボクなりのたとえでいえば、ある人(A)がエゴイズムによって不公正なことを考えたとして、他の人が不公正な考えでAが不公正なことを強いられたとしたら、Aは公正な社会で公正に扱われる方がマシと思うようなことを、論理的に説明している内容です。

震災などで大変な思いをする人々がいるとき、何か協力をしたいと思っても何もできずにいると、いざ自分が被災者となったとき、協力を得られず茫然とすることを想起します。そういうとき、公正な社会契約の秩序に従い、支援体制を保障する法や体制があることは、ルールによる制約を超えた生きる希望になると、この本を読んでボクは感じました。

でも、古くに制定された法は、「なにかおかしい」ということもしばしば。著者の重田園江さんは、そのおかしいことが、社会契約論をこの現代で振り返るきっかけとなったようです。

ヒトの社会で生きていくための秩序、その基本となる社会契約論。やはり、おさえておきたいところです。

今日も素敵な一日を過ごしましょう。