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【会津野】会津の地すべり

2018年06月01日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主 ならびに 古書 会津野 店長の長谷川洋一です。

2018年5月から、喜多方市高郷地区で地すべりが起きていると報道されています。

表題に掲げた写真は、活断層研究会が1995年に東京大学出版会より出版した地すべり現場近くのものです。

今回の地すべり地域は、JR磐越西線の荻野(おぎの)駅と尾登(おのぼり)駅のちょうど中程のところで、阿賀川への崩落も一部起きているとのこと。

2016年秋、今回の真南にあたる磐越自動車道の鳥屋山トンネルで隆起が起き、緊急工事が行われたことがありました。

その現場は、この地図で言うと鳥屋山と越後街道のあいだです。

活断層研究会によれば、地図上4で示す断層(千咲原断層)が確認されています。ここは、河岸段丘として形成されたもので、断層西側には只見川が流れています。4の右側にある黒い四角は、1611年9月27日に起きたM6.9の地震震源で、河川に侵食された地層と、侵食されない地層との間で大きなズレが生じたようです。

一方、今回の地すべり現場西側に赤の点線で示される断層は、活断層の疑いのあるところで、まだ確認がされていないところです。

ネット上では、1611年の震源から南に大きく伸びる会津西縁断層帯(喜多方市から会津美里町まで)のことを引き合いに出し、この断層がもう一度動くのではないかという記事が散見されますが、この周辺地域の断層はほぼすべて南北に走っていることから、動くとしたら南北のズレというのが考えられることだと私は思います。

なので、今回の地すべり地域と鳥屋山を結ぶ南北の線を考えるのが妥当なのではないかと思うのです。

北側に目を向けると、飯豊山に至るまで山間地域が続き、あまり人々が暮らさない地域です。

南側は、柳津町市街、西山地熱発電所、博士山があります。

2006年11月30日には、柳津町西山地熱発電所付近を震源としたM4.3の地震が起き、家屋の一部破損38棟という被害がありました。さらに2009年10月12日に同じ震源域でM4.9の地震が起きている。

両地震とも、政府の地震調査研究推進本部によれば、会津西縁断層帯とは直接の関係がないと評価され、1611年の地震メカニズムとは異なり、この震源付近に存在が疑われる北北東から南南西に伸びる正断層型とされた。

断層上に立地する発電所。大丈夫だろうか?

原子力ではないので放射能漏れはないけれど、熱源として汲み上げる大量の温泉水が環境中に放出される危険はある。どんな鉱物資源が含まれているかわからぬ水質のものを、環境中に放出すると、思わぬ作物被害が起きる気がする。これが心配な点だ。

さて、先日会津美里町のまちづくり団体「まちづくりBプラス」が発足し、今年度の事業計画を話し合いました。その中で3.11に関する行事があります。東日本大震災の非難生活を送っていた楢葉町の仮設住宅がこの春まで会津美里町にありました。そこでは、毎年3月11日に災害犠牲者の追悼を行う行事が行われていました。

「3.11を忘れない」という意味を込め、次回からは会津美里町でも災害に対する心の備えを常に持つような行事にしたいと、先日話し合い、新たな南北断層で起きるかもしれない備えをしなければと感じています。

(ここから追記。20180602)

6月1日付け福島民報によると、西会津町で地すべりが起きたと報じた。この地すべりは、横20メートル、縦200メートル、高低差100メートルとのこと。

高郷、鳥屋山、西会津の3点を地図上で結んだのが次の図です。

青い点が私が加筆したものです。元の地図は、活断層研究会のもので、赤で示されているのがすでに断層として知られている、もしくは、疑いのある場所です。

いままで知られていない新たな断層かと感じますが、この線は西山地熱発電所へと続くものではないので、当初の推測とは違うようです。

しかし、ここを震源とする大地震が起きたら会津地方全般に大きな被害が発生するだろうから、注意が必要です。

今日も素晴らしい1日を過ごしましょう。

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