グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

状態をみて、入れるものを変えるのが農業。

2016-02-22 12:00:05 | Weblog
状態をみて、入れるものを変えるのが農業。

次回関連で再掲載です。



前回・前々回などでみてきたように、土の状態や作物の生育の情況を
認識せずに、土の改良資材や肥料をただ入れさえすれば良い・または
やみくもにいれない というやり方は、非効率です。

これでは、農業経営がうまくいかない。そこで土の検査をしたり、植物
の生育状態を見たうえで・・・

 ミネラル分の少ない土には
 過剰にならないように、適量のミネラル分を入れる。


ことが大事になるわけです。同じように 

 隙間が詰まって硬い土には、軟らかい資材をいれる。
 水を加えるとドロドロになってしまう土には、
 粒子の大きいものをいれる。
 すぐに乾燥してしまう土には、粒子の細かいものをいれる。

 酸性が強すぎる土には、アルカリの資材をいれる。
 アルカリが強すぎるの土には、酸性の資材をいれる。

 痩せすぎた土地には、肥える資材をいれる。
 肥えすぎた土地には、痩せる資材をいれる。


といった、それぞれの状況に応じた対処法をとると、作物の生育が
よくなります
〔必然的に経営状態もよくなりますよ〕。

そうなんです、このように土や作物の育つ状態をみて、田畑に入れ
るものを変える工夫
・・・それこそが 農法であり農業ではないのかと
おもうのです。


◎ 農業経営の面からいえば、農産物の生産状況を勘案しながら
  投下する労力や財力を変化させいく
というのもまたアリです
  よね〔作物/商品が売れに売れるといった場合には、とくに〕。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染




エイリアン・ウィード〔強害雑草〕は おなかから。

2016-02-17 17:51:39 | Weblog
エイリアン・ウィード〔強害雑草〕は おなかから。


『植え付け前にきちんと除草したはずなのに、いざ作物を栽培するとたく
 さんの雑草が生えてきて困ってしまう』・・・という ご質問に対する
 ひとつの回答例となります。加えて、家畜のエサに添加される抗生物質
 や成長促進剤のその後の行方と影響にたいする考察
でもあります。
 家庭菜園や有機栽培で使用される作付け前に施すたい肥 の原材料や品
 質につうじる話にもなりますので、よろしかったらご参考に。

 ↓

「エイリアン・ウィード〔強害雑草〕は おなかから。」

宇宙船の乗組員であるケインの腹を突き破り姿を表したエイリアンは脱皮
を繰り返し巨大に成長、一人また一人と乗組員を血祭りにあげていく
・・・
と、これは地球への帰途についていた 宇宙貨物船ノストロモ号 の物語。

映画『エイリアン』です。

いっぽう、エイリアン・ウィードとよばれる草たちがあります。この草たち
も、じつは牛のお腹からでてくる
点は、映画『エイリアン』と同じです。
といっても、腹を突き破るわけではありませんから安心してくださいね。

つまりエイリアン・ウィードの種子は、輸入飼料に混入して日本に侵入し、
牛に採食されて牛のお腹に入ります。その後、消化管内で死なずに、生き
たままふんに混じって日本の田畑に排出されていった
というわけです。

日本各都道府県において発生したエイリアン・ウィードの同時多発的な発
生は、牛のたい肥を撒く農法の普及とともに日本中に広がっていきました。
たとえばイチビという草。遺伝的な解析から、日本に最近侵入したものは、
アメリカのコーンベルト地帯に繁殖していた個体の種である可能性が極め
て高いことが明らかにされています。

ある研究機関の報告では、『畜産用に輸入されている穀物飼料中の種子を
1年間調べた結果、1482種にものぼる草の種子が混入していたことを
確認した
』・・という報告もあるほどですから、その影響はとても大きい
ものだと言えるでしょう。

これらのエイリアンウィードは、日本では強害雑草とよばれています。

在来の植物を激減させるものや悪臭や毒性があるため収穫した飼料作物に
混ざると品質を著しく低下させるもの
などの強害雑草が、全国の飼料畑で、
また田畑の作物の間で、深刻な被害を及ぼしています。
代表的な強害雑草には、アレチウリ、イチビ、ガガイモ、ショクヨウガヤ
ツリ、ハマスゲ、ヒルガオ類、マルバルコウ、ヨウシュチョウセンアサガオ、
ワルナスビ〔一部在来種も含む〕などといったものがあります。

ということで、いま日本で繁殖しているいわゆるエイリアンウィードは、牛
のおなか経由で全国に広がっていったというおはなし、そして田畑の除草を
考えるなら、たい肥の質と原料を考えてみるのも一興
というお話でした。


◎ たい肥を作る場合の作成作業に不可欠な切り返しの作業が不足し
  ていたり、雨が続いて外気温が低すぎたりして内部の温度が完
  全に上がりきれなかった場合などが、問題になる
んですよね。
  そして・・・そんなたい肥によって全国の農地にばらまかれてい
  るかもしれない抗生物質や、その抗生物質のせいでふえているか
  もしれない耐性菌に関する興味津々なお話は こちら

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜




プラごみが獲れる魚よりも多くなる日。

2016-02-09 23:01:46 | Weblog
プラごみが獲れる魚よりも多くなる日。

“海洋に投棄されるプラスチックごみの量は、少なくとも年間800万トン。
この現状が続くならば、海洋に漂うプラスチックごみの量は2025年まで
に魚3トンにつき1トンの比率にまで増え、2050年には魚の数を上回る”
という衝撃的なニュースが報道されたのは1月下旬。いわゆるダボス会議発
の問題提起でした。

いわれてみれば、たしかにそうだなと思いましたよ。

海が荒れて波が高くなったがためにゴミが打ち上げられた時などは とくに、
流木や海藻などにまじって、たくさんのプラスチックごみが浜辺にうちあげ
られています。ダボス会議の発表したニュースを耳にしたとき、“さもありな
ん”と、まずはあの浜辺の光景が頭に浮かんだんですね。

しかし本当に憂慮すべき問題はこれから。じつは漂着するプラスチックごみ
よりも もっと怖い存在があった。それが「マイクロプラスチック」。そう、
砕けて微小にプラスチックごみです。これが海の生態系に大きく影響しはじ
めている・・・ということがわかってきた。たとえば海のなかであれば

 植物プランクトン → 動物プランクトン → 魚 → 哺乳類

という食物連鎖が存在するわけですが、その食物連鎖のしょっぱなのプラン
クトンの段階で、

 動物プランクトンが、マイクロプラスチックを食べてしまっている

ことがわかってきたのだそうです。まちがって食べちゃってるわけですね。
ということになれば、この動物プランクトンを魚が食べ、その魚を大型の生
き物が食べることで、海の生き物全体にマイクロプラスチック汚染が広がっ
ている可能性がある。もちろんその影響は、海だけにとどまらず、その魚を
食べている人類を含んだ地球全体の生態系に及んでいる可能性もある。

それだけではありません。プラスチックそのものに有害な物質が添加されて
いる場合もあります。また漂流するうちにプラスチックの表面に付着したさ
まざまな物質がマイクロプラスチックと同時に生き物の体内に入取り込まれ
る可能性もある。

さらには栄養不足の問題です。

光合成をおこなう植物プランクトンに必要な日光が、海のなかを漂う大量の
マイクロプラスチックにより妨げられ、うまく育たない可能性がある。加え
て動物プランクトンが[植物プランクトンとまちがえて]栄養のないマイク
ロプラスチックを食べて満腹になってしまえば、こちらの生育もおかしくな
らざるを得ない。もちろんそのあとの食物連鎖に支障がてて生態系のバラン
スがくずれるかもしれません。

うーん、こうなるともはや、ホラーですよね。
しかも超シリアスな。

こうなると、このWEF発表のこのニュースの重みです。“2050年には
魚の漁獲量よりもプラゴミが多くなる”事態を人類が確認することができるの
かどうかさえ危ぶまれそうな、そんなヘビイなニュースにも思えてきました
よ[ニュースは こちら]。

ということで、今回はみえるゴミはかたづけられる。けれど、見えない微細
なゴミはどうなるんだろうというおはなしでした。


◎ 日本周辺を含むアジア地域にはとくに多いプラスチックゴミ。
  そんな海の汚染の実態を外交や軍事なども含めた幅広い分野
  から解説した新刊書が こちら、2015年Amazon販売賞に
  も選ばれた『海が教える人類の危機
です。
  著者の 原口策真さんは元海上自衛官であったというだけに、
  おすすめの一冊です。著者インタビューのページは こちら

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染


1月下旬の寒波の影響が拡大中・・・。

2016-02-07 15:19:22 | Weblog
1月下旬の寒波の影響が拡大中・・・。


 なんといっても凍害の被害はじわじわ。寒波後の急激な温度上昇と、
 それに伴う作物の腐食が被害を広げていきます。作型でいえば露地。
 作物でいえば豆類に葉もの野菜、そしてビワやタンカン・デコポン
 なとどの果樹の果実の被害がじょじょに、しかし確実にその影響を
 ひろげてくるのです


とご報告したのは2月2日[記事はこちら]。そして本日2月06日
には、その後の被害調査がおこなわれていた[国内のビワの生産日本
一を誇る
]長崎市茂木地区の露地ビワ畑の被害現地調査の結果が新聞
報道されました。

そう、樹の本体は枯れなかったとしてもビワの果実は低温に弱い

たとえば花の季節がおわり、その後結実して幼果が生育する段階中に
氷点下3~4度以下の低温にあうと、

  種子が凍死して褐色に変色する
  果実の肥大が進まない
  果実の表面が褐色に変化していく
  果実の軸が傷む

といった影響を受けることがわかっています。もちろん大きくならな
かったものは出荷できませんし、たとえ運良く出荷されたとしても品
質を落としてしまったものでは価値が大きく下がってしまう。


 被害状況を確認する写真を伝える記事 → 露地ビワ被害

その長崎県の今回の露地ビワの被害ですが、455ヘクタールの栽培
面積のうちの92%が被害を受け・被害額は8億3000万円超と発
表されました。けっきょくのところ露地ビワの出荷はほぼ全滅状態
いうきびしい状況であるようです。

なんとも不運なはなしです。

もし12月と1月が暖かくなければ・そしてその温かさの影響でビワ
の果実の生育が早まっていなかったとすれば[例年どうりの平均的な
冬であったものとするならば
]被害はきっとこれほどには大きくなら
なかったはずでもあるからです。

そしてこれは農作物という生き物を育てる農業という産業のむずかし
さを象徴した話でもありますよね。

たとえば、寒さの被害がすぐにはわからないこと。すぐにはわからな
いけれど、わかるまではたとえ人手をかけてでも回復作業を続けねば
ならないこと。また回復しないものなら[本年の収入が見込めないと
いう状況のなかで]来年のために枯死した部分の剪定作業などをおこ
なう必要があることなどなど。
もちろん春はまだ先。もういちど寒波が再来することもあるかもしれ
ませんし、さらに寒波がこれからさらに2度あるいは3度あるかもし
れない。それでも生き物を扱っているかぎりは経営をつづけていかね
ばならない。

ただもちろん望みはあります。

そんな経営の危機のなかにあって、救いはハウス栽培されているハウ
スピワの生育が順調だということ。寒波の影響でビワの出荷量が減少
するなかでビワの高値が予想されているだけに、ハウス施設内でハウ
スビワを育てている農家にとっては、この状況は千載一遇の大チャン
スとなりうる
可能性がある。

これもまた農業なのです。

ということで今回は、暖冬のなかでの大寒波のもたらした影響の大き
さと、同じ作物を栽培するにあたっていろいろな作型の栽培方法をも
つことは農業経営上有利なリスク分散になりえる
というお話しでした。


◎ ちなみに昨年。2015年の長崎の露地ビワの出荷量は
  平面の6割しかなかったという事実もあります。この不
  作の原因は日照不足。ということで2年つづきの不足と
  なれば、ほんとにたいへんな状況ではありますよね。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染












TPP署名式に関するニュースのなかで。

2016-02-05 01:26:50 | Weblog
TPP署名式に関するニュースのなかで。

本日2月04日にニュージーランドで開催されたTPPの署名式に
関するニュースのなかでは、このFNSのニュースが個人的にはいちば
ん興味深いものとなりました。

アドレスは こちら 。

ちなみに 2012年の状況に関しては こちら 。

かつて「聖域なき関税撤廃を前提とする以上、断固反対をしてまいりま
す」と述べておられた高鳥副大臣です。したがって今回の交渉内容に
ついては、

 高鳥副大臣的には満足している 

と、いうことなのでしょうね、きっと。


◎ それにしてもの署名式です。年明けにわざわざ こんな
  “儀式”を持ってこなければならなかった背景には、各国
  においての、これからの国会批准の困難さを物語ってい
  るように思われます。
  これは暗示なのかもの、ベトナムのカメの話は こちら

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