グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

悪天候こそは、腕の見せどころ[後編]。

2015-07-23 22:16:09 | Weblog
悪天候こそは、腕の見せどころ[後編]。

6月から7月上中旬にかけての[いま現在でも]降り続く雨の影響で、
平年の半分以下の日照におちいってしまっている宮崎県地方。ほとん
どすべての作物において長雨のもたらしている日照不足の影響がでて
きています。

たとえばそれは、前編でとりあげたイネ

しかしそのようなイネばかりでは けしてありません。なかには本年
のような自然の悪条件のなかにあっても、さほど悪伸びもせずに・し
かも圃場全体の生育が揃っているという生育をしている水田もあるの
です。
近めでは身体が長くなり・遠目には凸凹となった生育をしている水
田とは対照的に
]身体が短く・遠目でみたら凹凸のない生育をしてい
る水田もあるのです。

たとえば こちら。 近めでみると、

イネの下部の畝間が確認できますし     揃った生育 1

そしてカメラを引いて水田の全体を撮れば

のののののの揃った生育2

凹凸の少ない・揃った生育をしているのがわかります。穂の色もい
ぶんか色づき始めている
のが確認できます。

この生育の流れは・・・

 作物の身体を、短めに小ぶりに作る
 ↓
 葉が立つ[立葉型といいます]
 ↓
 水滴がついても葉が垂れない[影が出来にくい]
 ↓
 昼間の上からの光を有効に活用できる
 ↓
 日光が少ないなかでも[少ないなりの]光合成が可能になる
 ↓
 下葉にも養分がまわる
 ↓
 風通しも良いので、下葉の病気が発生しにくい
 ↓
 根が弱りにくい
 ↓
 果実の生育が順調
 ↓
 果実の糖度があがり、生育が揃う
 

という、負のスパイラルとは逆の連鎖的な好循環のなかで育ってきた
のだろうということが わかります。

そしてこのような連鎖的な好循環を作り出すために、この水田の生育
管理者が、

 ● 前作の影響が少なくなるように丁寧な代かきをしている
 ● 一粒に3要素のはいった化成肥料を使用している
 ● 効率的な水の管理[中干し溝切り]をおこなっている
 ● 雨天に応じてチッソ分を控え、リンサンや苦土を増やしている

ことなどが、このイネの生育を[葉の長さや節の長さ、そして茎葉の
厚みなどを計測して
]みてみると よくわかります。

そして。こんな水田のイネを見たときにおもいしらされるんですよね、
悪天候こそは 農家さんの腕の見せどころなんだよな って。


◎  年ごと・季節ごとに変化する自然条件。そのときごとの、それ
  ぞれの自然条件に適合するように作物の生育を助けていく
こと。
  それが、それこそが農法ではないかと思うんです。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜