グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

多すぎる養分を抜くこともまた土づくり。

2015-04-09 16:54:41 | Weblog
多すぎる養分を抜くこともまた土づくり。

家庭菜園やプランター栽培をやっておられてなんとなく生育が悪い
といわれる方のために、たとえば田ンぼの例をとっておはなししてみます。



田(畑ももちろん同じです)の栄養状態は 一枚一枚ちがいます。

肥えている田・やせている田・日当たりの良い田・水はけのよい田・粘土質
の土の田・野菜あとの田、大きい田・せまい棚田も、すべては田んぼ とよ
ばれます。

そんな田んぼを

新規就農された方・おばあちゃん・ベテラン農家・農業公社・有機農家 や、
サラリーマン・兼業農家のおかあさんたちなどなど、いろいろな方がつくら
れる。
日照りの年や台風の多い年や、天候が順調な年といった、いろいろな気象条
件のもとで つくられる。

ほんとに、田んぼって、イネつくりって、千差万別の世界なんです。

しかし、そんな多種多様な田んぼ と 多種多様な作り手にあっても、作ら
れるイネの姿は 正直です。

だれがどう作ろうと、土の栄養状態がはっきりとでる。

その栄養状態ですが、やせた栄養状態のときは とり立てて心配いりません。
生育に合わせて、すこしづつ肥料をやっていきさえすればよいのですから。

心配しなければならないのは、土が肥えすぎている場合です。

どんなときに肥え過ぎるのか・・・一番多いのは、田に前作の肥料や作物残
さがのこっているとき、そして良かれと思って田植え前の時期に、未熟な有
機物を大量に施しすぎたときです。たとえば

  キャベツやハクサイなどの畑作の直後
  家畜ふん尿に由来するたい肥を必要以上にいれたとき
  田植え直前まで牧草があり、田植え前にそのまますきこんだとき
  安値から野菜が生産調整され、作物が生のまま田にすきこまれたとき
  田植え直前に、未分解の生の有機物〔ワラ・米ヌカなど〕を大量に入れたとき

などになりますが、こういった場合には 注意が必要です。

そんなふうに田んぼの土の栄養が過剰で・アンバランスな状態であれば、イネ
穂は病気がちになったり・収穫前に倒れてしまいがちになりますし、また仮
に収穫できたとしても 未熟な栄養分がおおければ多いほど、食味も悪くなっ
てしまいますから。

そう、こういったイネの生育と収穫でもわかるように、栄養を多くあたえるこ
とばかりではなく、多すぎる肥料分を抜くこともまた 土づくり なのです。

そして気づかれませんか。

今回のおはなし・・・・なんだか生活習慣病予防の食事メニューとカロリー計
算をしているよう
だと[考え方はいっしょですよね/笑]。ということで今回は
過剰な養分を控えることも、それもまた土づくりだというおはなしでした。


◎ 農業は土づくりが基本・・・よく聞かされる言葉です。しかし現場を
  まわっていると、『新しい〔やせた〕田畑では作物がよくできる』と
  という言葉も、これもまたじつによく聞かされるんですよ。
  生育がうまくいかない場合は、成分の過剰と成分のバランスを考え
  て、与える量について考えることが必要ですね。

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