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宝塚宙組公演 『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』観劇メモ

2016年09月05日 | 宝塚
とっくに大劇場の公演が終わったのに、ようやくエリザベートの感想です。
見に行ったのはお盆の真っ最中。かなり遅すぎ&薄い感想ですが、よろしければどうぞ。

行った日は当然ながら、帰省した車で道は最悪の状態でした。これを予測していつもより一時間早く出たのに、阪神高速池田出口から大渋滞。3時間も車列に閉じ込められて、大慌てで車椅子を押して劇場にたどり着いたのは11時25分を過ぎていて、舞台はすでに第7場になっていました。すべての観劇でこんなに遅刻したのは初めてです。^^;
ようやく客席に着いても、車中でのストレスと、それから解放された安堵感と、通常の料金に上乗せしてまでゲットしたチケットなのに、貴重なプロローグ場面などを観逃した残念感が一度に襲ってきて、しばらく舞台に感情移入できない状態が続きました。(笑)

それはさておき、何度も観たはずのエリザですが、私たちが劇場で直近に観たのは春野寿美礼トート以来。ということで、久し振りのエリザ感想ですが、これが非常に良かった!!
無理してゲットしたチケットの価値(まだいうか!)は十分にありました。(笑)
これを見逃していたら、残り少ない人生に大きな禍根を残すところでした。(ややオーバーかな(殴))
↓久しぶりに買ったプログラムです

とにかくキャストが良かった。主役二人はもちろん、すべての出演者が役にピッタリ嵌っていて大満足。久しぶりにこの作品自体の良さを味わえました。

まず朝夏まなと




この人は守備範囲が本当に広いですね。
当初はどんなトートになるか予測できず、ちょっと心配でしたが、観ていて初演を何度も思い出してしまう原点回帰のトート。でも一路真輝ともちがうオリジナリティもあって、歌と演技の完成度が高かったです。





観慣れているので次の台詞が予測できるエリザですが、そんな類型的な予想を超えてしまう新鮮な演技が良かったです。例えば「死ねばいい」とか、おおそう来るかと感心しました。20周年の記念公演にふさわしいトートです。





でもやっぱりこの人は目が大きい。朝夏まなこ。(殴)


実咲凜音のエリザベートも良かった。遅刻のせいで少女時代↓は見逃しましたが^^;、

結婚するあたりからでも、

晩年までの各場面に即して、役年齢にふさわしく演じていて、内面までよく伝わってくる自然で丁寧な演技で、見応えがありました。

歌も本領発揮の伸びやかでしかも繊細な情感のこもったもので、聞きながら、この作品の楽曲の完成度を改めて感じました。


観終えて数日後この公演のナウオンを見ていたら、これまでにない柔らかい表情で話していて別人の印象(殴)。男トップに寄り添う姿が新鮮でした。(笑) 前トップとの微妙な距離感はもはや遠い日々。(殴)


真風凉帆フランツも久し振りに見るいいフランツ。



エリザベートと母親との板挟みになったフランツの苦悩がひしひしと伝わってきました。
当初、今回はルキーニとフランツが逆じゃないかと配役が疑問でしたが、実際に観ればどちらもドンピシャ。

真風フランツは、抑揚の効いた感情表現ながら存在感があって、若い時のシシーへの愛と、長じての国王としての風格と苦悩と寂寥感がよく出ていて、最近では出色の出来でした。



歌も長足の進歩があり、情感タップリで聴かせてくれました。

でも今回特によかったのはルキーニの愛月ひかる
彼女は私たち夫婦にとって以前から好感度大な生徒さんですが、どちらかというとキャラクタ的には地味な印象でしたね。これまでのナウオンなどの対談番組でも、ニコニコ笑っているけど控えめで、その笑顔のえくぼが印象的な人でした。


大体主役を見守り&忠実に支える友人とか部下とかの役が多かったと思いますが、そんな彼女に、アナーキストでテロリストでハプスブルグ家の滅亡を暗示させる狂言回しの黒い役が似合うのか大疑問でした。なので私たちは、ルキーニが今回の公演の一番の不安材料でした。

ところが、まずスカステのニュースで練習風景の様子を見て「あれっ?」とな。(殴)
ニュースでは短時間の練習場面でしたが、それでもよく演じられているのが見て取れてビックリでした。

そして今回実際に舞台で観て、もうただただ感心するばかり。久し振りに全く違和感のないルキーニに出会えました。

初演の轟悠以来の、完成度の高いルキーニでした。この役は男役トップ候補が必ず経験する通過儀礼みたいな大役ですが、初演以外は大体みんなルキーニ像の解釈を間違えていて、やり過ぎばかりが目立って、変な作り笑いをしながら腰をかがめて舞台をヒョコヒョコ歩き回ったりするなど、興ざめな演技が多かったです。
でも今回の愛月ひかるはよかったですねー。久し振りのイケメン・ルキーニ。(笑)

役柄を正確に把握していて、過不足ない破たんのない演技でただただ感心するばかり。これまで見たことのない愛月ひかるで、縁遠いと思っていた男臭い役柄を自然に演じていて、全く違和感なし。うれしい大誤算でした。

これまでの例では、初めからヤリ過ぎていて、回を重ねるにつれてますますしつこくなって破たんするルキーニが多かったのですが、今回はノビしろを持った演技で安心して観ていられました。次作品が楽しみです。

純矢ちとせゾフィーもオリジナリティがあって良かったです。

この役もこれまで初演の朱未知留ゾフィーがベストと思っていましたが、今回はそれに負けず劣らずの出来。

「ハプスブルグ家の存亡を考えての、ゾフィーなりの行動や決断ということが出せれば」という純矢ちとせの役作りへの思いがよく伝わってきました。
初演のゾフィーは、冷酷で鬼のように怖い印象が前面に出ていましたが(それもそれまでの宝塚には見られないインパクトがあり新鮮でしたが)、今回の純矢ゾフィーは同じような迫力ながら、演技のディテールには人間らしさも宿っていて、新たなゾフィーになっていました。

板挟みになるフランツの苦悩の理由がわかるゾフィーで、これもアリかなと思っていました。

トリプルキャストのルドルフは役替わりAで澄輝さやと。この人もよく役と合っていて違和感なしに観ていられました。
少年時代のルドルフの星風まどかもかわいらしく、そんな姿につい初演の安蘭けいを思い出したり。


それと、びっくりだったのがマダム・ヴォルフ伶美うらら
これまで観劇していて、せっかくの美貌が頼りなげな歌で残念感満載だったのに(あくまで個人の感想です(殴))、今回は自信に満ちた歌で、ド迫力な美貌の娼館の主を演じていました。この人、見かけと違って低音域のほうが得意なんですな。






「翼ある人びと」での好演以来久しぶりの演技の伶美うららに出会えて良かったです。しかし、こんな美人オーナーだと娼婦たちも働きづらい(笑)。
実際、せっかくマデレーネががんばっても、つい伶美うららを見てしまったりしていました。(殴)

フィナーレの始まりは真風の「愛と死の輪舞」のソロダンスから。
そして朝夏トートが娘役をひきつれて「最後のダンス」になり、

男役群舞での「闇が広がる」から

実咲凜音とのデュエットへと続いて、

落ち着いた色彩の衣装とも相まって、記念すべき公演にふさわしい完成度の高いフィナーレになっていました。本当に観てよかったです。

というわけで、遅刻の痛手も補ってくれる(笑)いい舞台の余韻に浸りながら、劇場を後にしました。


コメント
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