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Surf, Run and Trails / Endurance For Fun

湘南の海辺のバーでのお話

2007-10-01 20:34:33 | ThinkAbout..


週末の夜にK's BARに行った。
週中は行けなかったし、それに3日間ほど店を休んでいたと言う。

その夜、カウンターはいっぱいで、女性が一人とフランス人を含んだ男性が6人くらい。
オレらは二人だった。カウンターの一番奥の端の席に座った。

3日間、休業したことで、オレは直感的にオーナーのご家族に不幸があったと感じた。
実際、癌の母親を3日前に亡くしたのだという。

彼は自分のCDアルバムに母親のことを書いた曲を入れている。
夏のライブでは、母親のことがいろいろ交錯し彼の感極まった状態をふと垣間見た。

そして先日、母親が息を引き取る瞬間までそばにいたという。

彼の母親はとても気丈な女性で、生きていたことに感謝し、夫と息子たちに礼を言い、
何一つ愚痴を言わず、未練も見せず、
死んだ後のことを家族に指示し、そして息を引き取ったそうだ。

その母親の息子である彼は、店ではそれを恐らくオレらだけに話してくれた。

息子は、気丈でなければいけない、と自分の店を早々3日後にオープンさせ、
そしてオレらに美味しい白ワインとカモの料理を出してくれた。

自分でも同じ経験があるのでよくわかる。
3日しか経っていないとき、自分の二本の足で地面の上に立っているだけでも苦しいものだ。

連れは、彼の話の途中、彼の生き様というか、その姿勢に感動して言葉を失った。
その後、彼は忙しくドリンクを作り、酒の説明をした。
彼は、オレらのワインは少し酸味が強いということに気付き、
そのワインをデキャンタニングして空気にさらし、味をまろやかに直す作業をした。

彼はしっかり働いていたので、オレらは大きな声で笑い、楽しく会話をして、
料理とワインをとても美味しくいただいた。
オレらのその行為は、彼に対する激励のつもりだった。

ワイン1本では少し足りず、ロングドリンクを頼んだ。
オレはマリブとラムとウィルキンソンのジンジャーエールのカクテル。
連れは、イチジクのリキュールとジンとトニックウオーターのカクテル。
いずれも名前などない。
その日のそのときにしか飲めないオリジナルで、波みたいだ。
同じ波は二度と来ないカクテル。

お会計をしたのが3時ころだった。
「ごちそうさま。今日はここに来れてよかったな。」
「ありがとうございます。おやすみなさい。」息子はニッコリ微笑んだ。
「おやすみなさい。」

外は小雨が降っていて、肌寒かった。
意外に飲んだが、とても良い酒で気持ちよく眠りにつくことができた。


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