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山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

火山学者は命がけ~『火山入門』

2015-07-11 | 本と雑誌

 『火山入門 日本誕生から破局噴火まで』島村英紀(NHK出版新書)

最近箱根や口永良部で話題の火山。加えてあちこちで噴火しそうだというニュースが世間を騒がせているけれども、著者はそんな火山を、この本で次々にとり上げている。そもそも日本は火山が多い。著者によれば、陸上にある火山の1/7は日本にあるという。日本列島=火山列島といえるくらいの多さなのだ。地熱発電や温泉は、その恩恵でうれしい所産ではあるけれども、噴火だけは御免蒙りたいものだ。

危ない火山としてまず挙げられているのが、だれもが注目している富士山。東北地方では、吾妻山、蔵王、秋田焼山、秋田駒、岩手山、安達太良山、磐梯山。甲信越地方では、いわずと知れた御嶽山と三宅島、地元ではかなり警戒されている草津白根山、ほかに茶臼岳(那須)、日光白根山、新潟焼山、焼岳(大正池をつくり出した)だ。九州では、頻繁に噴火を繰り返している阿蘇山や桜島。いずれも監視の目が光っている火山ばかりで、紙面を割いて説明している。

火山で起きた災害の歴史もとり上げている。なかでも目を引くのは、1741年、北海道の渡島(おしま)大島の噴火による災害。この本で初めて知ったが、山体崩壊である岩屑(がんせつ)なだれが、海に落下し津波を起こしたという。時間が早朝で、しかも大地震があったわけではなかったので、住人の知るところとはならなかった。対岸の渡島半島に押し寄せた津波は甚大な被害をもたらし、死者1500人を数えたという。ちなみにこの津波は、佐渡や能登半島、さらには若狭湾、朝鮮半島にまで及んだというから、かなり大規模な岩屑なだれが起きたのだろう。

1926年の十勝岳噴火で起きた泥流についても言及している。私はたまたま美瑛のペンションオーナーからこの噴火の話を聞いていて、積雪期の噴火がいかに恐ろしいものであるかを知っていた。その後、三浦綾子がこの災害について書いた小説『泥流地帯』があることを知り、むさぼるように読んだのを覚えている。噴火とともに雪が瞬時にして解け、泥流となって山肌を駆け下りてくる。火が燃え広がる速度なら、走って逃げられるが、泥流から走って逃げるのは到底ムリな話だ。

噴火の予知についても書かれている。現在の知見では、予知は不可能ということらしい。火山性地震が噴火の兆候という見方もあるが、実際に噴火が起こらないことも多い。いまだに地下深くで、何が起こっているのかはよくわかっていないというのが実情のようだ。

最後にあとがきを読むと、しびれる。火山学者が命がけで研究していることがよくわかる。火山学者は噴火口に近づいて、火山灰や火山ガスを採取して、その成分を調べるという。先日の御嶽山噴火のときも、火山学者はその数時間後には東京を発って現地に向かっていた。さらに命の危険は、噴火口に近づくときばかりではないと書いている。長年の研究生活で、微細な鉱物の粒子である火山灰を意図せず吸い込んでいて、じん肺になることがあると。水銀や有毒ガスを吸い込む危険も高いというから、まさに命がけ、これから次々に火山が噴火すると、トップクライマーなみの危険にさらされることになるのだろう。がんばれ、負けるな!火山学者。

火山入門―日本誕生から破局噴火まで (NHK出版新書 461)
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NHK出版

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