監督・脚本 キム・ギドク
出演 キム・ジョンホ(子供役)ソ・ジェギョン(少年役)
キム・ヨンミン(青年役)キム・ギドク(壮年役)
オ・ヨンス(老僧役)ハ・ヨジン(少女役)
2003年、韓国
人生はめぐる季節のごとく
どんな歓びも、どんな悲しみも
いつかは朽ちて・・・安らぎとなる。
春・・業:いたずらから殺生の業を背負ってしまう幼子。
私はキム・ギドク監督の映画は他に見たことはない。
叙情的な美しい映画だった。
ギドク監督、一筋縄ではいかぬ人のようだが、人生の深遠を覗くようで興味深く見た。
人生とは繰り返し。
キム・ギドク監督の描く世界は私には理解しきれない。
ただ、映画の言わんとすることは多少わかった気がしている。
見る人によって様々に解釈でき、感じられる映画だと思う。
湖に浮かぶ寺、その周囲の景色、四季の移ろいがとても美しい。
けれど、そこに寝起きする人は清らかなだけではなく人間らしい。
夏・・少年と少女の場面は生生しい。
静かな、静かな浮き御堂。
小船は俗世と別世界とを行き来する手段。
「門」はその二つを分ける結界か。
欲望から、執着は生まれ、執着は殺意を生む。
キリスト教の原罪、仏教の業を思う。
一人の子供の成長が四季のうつろいとともに映像になる。
春・子供、夏・少年、秋・青年、冬・壮年、そして・・
因果応報。
僧はなぜ、ああいう人生の結末を選んだのかなと思う。
たったひとりの弟子をも導けなかった自分への制裁なのか、これは衝撃でもあった。
俗世はそれほど辛いか。
青年の目はギラギラしていた。
追っての男たちが青年の彫った般若心経に色を塗るところは面白い。
皆、等しく心が清められたのかも。
罪を償い壮年となり、(キム・ギドク)「門」をくぐり寺に戻る彼は自ら重荷を背負い、仏像を運ぶ。
あの仏像は師の僧の象徴なのかな。
山の頂きから寺を見下ろせるように供養したのだろうか。
あの顔を覆った女性は菩薩ではなかったかというのは深読みしすぎかな。
そして、また春が巡り来て、同じ光景が繰り返される。
輪廻転生。
万物がキラキラと輝く春、それは安らかで平和なものであった。
最後のパンソリにまた、人生の深さを思う。
声の限りに歌うそれには業・恨が込められているのだろうか。
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本作に限らず、キム・ギドクの映画って深いですよ~。私は、韓国映画を好んで見る方ではありませんけど、キム・ギドクだけは何か惹かれるものを感じます。機会があれば他の作品もお試しを。
キム・ギドク・・好き嫌いがわかれそうな監督ですね。
『サマリア』、見ようかなと思いつつ、手が出ないでいます。笑