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何で今更『無法松の一生』?笑

2004-09-23 13:33:45 | 邦画 (69)
『無法松の一生』?題名すら知らない人が多いでしょうね。
何で今更『無法松の一生』って気もするのですが、やっぱり書かなきゃ死ねない(笑)ってことで感想を書いてみまっす。

監督 稲垣 浩
出演 富島松五郎/三船敏郎 吉岡小太郎/芥川比呂志
結城重蔵/笠智衆 夫人よし子/ 高峰秀子

この映画は子供の頃に見た覚えがあります。
松五郎が子供の時、一人で父親を訪ね、帰る道すがら聳える木々を見上げて不安に駆られる場面がおぼろげながら記憶に残っていました。
少し前に、テレビで偶然にこの映画を見ることができたんです。

確かに古い映画だけど、日本人の心がそこにはあるように思いました。
暴れん坊、松五郎は教養はないが、曲がったことの大嫌いな車引きです。
恩を受けた軍人、吉岡が亡くなってからは夫人と一人息子、ぼんを影に日向に助け、尽くします。
人力車の大きな車輪がくるくる回るのが、松五郎の人生を現すようで印象的です。
やがて、そんな松五郎を成長した”ぼん”は疎んじます。
車夫は時代遅れですか。
年取った松五郎がふと明かした真心に、夫人は狼狽します。
主にあたる夫人に想いをかけるなどと、深く謝罪する松五郎。
(松五郎だって木石ではないのですよ、奥様)

この映画の一番の見所は松五郎が帰省した”ぼん”に見せる「小倉太鼓」です。
「ぼん、見とれよ!」一世一代、松五郎の小倉太鼓の乱れ打ち!素晴らしい。ブラボー!
松五郎の魂の音が胸に響きます。
お年寄り、多分、左朴全が家から飛んで出てきます。
「おお、あの太鼓を打つ者はもう、小倉にゃおらんと思うたがなあ・・」憎い演出です。

酔いどれた松五郎が行く先はやっぱり、ぼんの通った小学校でした。
その昔、日本人が持っていたであろう節操ある美しい心根。
思わず目頭が熱くなります。           
古い映画ですが、人物が魅力的に描かれているから見入ってしまう。
三船敏郎、もうこういう俳優は出てこないのでしょうか。

いつか機会があれば見て下さい。  完(笑)