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存在の耐えられない軽さ (ビデオ)

2004-01-20 17:15:00 | ヨーロッパ映画/イギリス・フランス (2
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監督 フィリップ・カウフマン
脚本 ジャン・クロード・カリエール
出演 ダニエル・ディ・ルイス ジュリエット・ビノシュ
    レナ・オリン
この映画、公開当時は話題にならなかったようだけど、タイトルに惹かれてビデオで見ました。
ダニエル・ディ・ルイスの持つカリスマ的魅力に圧倒された映画です。

1968年、チェコスロバキアのプラハが舞台。
ソ連の武力介入に3人の男女の人生が巻き込まれていく。
トマシュは有能な外科医。
自由な精神を持ち、彼にとって人生はほんの些細なこと。
女性たちとの情事を楽しむ生活を送っている。

そんな彼の一番の理解者は芸術家でトマシュとは「同類」の自由なサビ-ナ。
トマシュとは自由な関係を保っている。
レナ・オリンが、で自由なサビーナを演じて成熟したイイ女。。

或る日トマシュは仕事先の村で、自然の息吹を感じさせる小鳥のようなテレーザと出会う。
二人は、やがて結婚するが。
相変わらず、女性たちとの自由な関係を絶たないトマシュにテレーザは苦しむ。
そんな折、ソ連のチェコへの武力介入が激烈となり、二人はスイスへと出国する。
けれどテレーザの苦しみは癒えない。
こういうタイプの男性を愛するには覚悟がいりそうである;
トマシュに「貴方の人生は軽く、私の人生は重い。
その・軽さ・が耐えられない。
私は、貴方のように強くないの」との言葉を残し、黙ってプラハに戻る。
この後、トマシュはテレーザを、危険を冒して追う。
テレーザには自分が必要であることを彼は知っている。
トマシュは、決して”軽い”人間ではないのだ。
軍部の圧力にも屈せず、窓拭き人になろうとも信念は曲げない。

余談ではあるが、ダニエル・ディ・ルイスの窓拭きの仕事をする様子が、彼が靴職人になりたいのも成るほどという仕事ぶりである。(可笑しい)

二人は知り合いの農場で、やっと静かな生活を取り戻す。
ダンスに出かけるという白い花のように愛らしいテレーザ。
”雨”の帰り道で、テレーザが運転をするトマシュに聞く。
「何を考えているの?」
トマシュ「なんて幸せかと・」
美しい木立の道は、そのまま・・・
この結末は、悲しいのだが、なぜかこれで良かったのかも知れないという気がした。
二人は永遠に幸せなままなのだから。

ヨーロッパ映画は成熟した大人の愛を描いて魅力的だと思う。
『冒険者たち』『グランブルー』『ベティ・ブルー』それらは人生、愛について語りかけてくる。