愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

1強他弱打破のためにはエセ政界再編・政権構想論を論破する政策論と救国暫定国民連合政権構想論こそ!

2013-12-15 | 日記

江田脱党・離党劇が政界再編の「起爆剤」になるかどうか、「起爆剤」となる時は、国民の不幸の延長戦となるでしょう。しかし、それを許してならないことは明らかです。戦後68年経ったというのに、日本の歴史上、国民のための政権は未だ未完成です。戦前は天皇主権の天皇制軍国主義政府に、戦後は、国民主権の下にありながら、戦勝国アメリカに追随した、財界のための政権がずっと続いてきました。

 

戦後レジームの総決算を目論む安倍自公政権の暴走をストップさせるためには、単なる政策変更という意味のストップでは国民の要求は叶わないところまで、政治的・経済的・文化的に行き詰まってきました。それは、東日本大震災の復興と原発への対応をめぐる課題、さらには大企業を大儲けさせるために国民の税金を投資し続けてきた結果つくりだされた「財政危機」の解決であり、それを解消するという口実で強行された消費税とその増税と、その一方では社会保障の削減と、その結果つくりだされた国民的貧困の解決であり、一方では膨大な内部留保に象徴されている富裕層の富とその分配の方法を巡る課題です。

 

「極東」から「周辺」地域、そして「地球的規模」の「平和と安全を」という口実を最大限利用し正当化するためにその都度用意した様々な「脅威」論にもとづく米軍基地の配備とその永続的使用と国民の「負担」、すなわち命の安全・安心の危機的状況と、TPPなどにみるようにアメリカの多国籍企業による国家主権の侵害と食料や医療や知的財産権などをめぐる国民生活の破壊とその擁護の課題をどのように国民的運動によって解決していくかという課題です。

 

以上の国民的課題を圧倒的多数の国民による運動で解決していくためには、大いなる論争、イデオロギー闘争が必要です。それは日々、マスメディアをとおして振りまかれているアメリカと日本の多国籍企業の利益を擁護するイデオロギーとのたたかいの必要性です。その一つは国民同士の分断を排除して連帯する力を構築するたたかいです。二つ目は中国・北朝鮮・テロの「脅威」論にもとづく軍事優先の安全保障論を上回る非軍事的人間優先の安全保障論を構築するたたかいです。三つ目は、人類が「幾多の試練に耐え」て「不断の努力」で営々と築きあげてきた人権思想の形骸化とのたたかい、人権思想を豊かなものに発展させるたたかいです。

 

以上の問題意識を基礎に、アメリカと日本の多国籍企業の政治代理装置である現在の安倍自公政権をどのように国民的運動、選挙によって倒し、新しい救国暫定国民連合政権を樹立し、国民生活擁護の政策を具体化するか、です。

 

そのためには、一つひとつの政治・経済・文化思想的状況に対して、「国民目線」の側から論争し、圧倒的多数派となるたたかいが必要不可欠です。マスメディアを通して流布されるイデオロギー、デマゴギー、スリカエ、ゴマカシを「丁寧に紐解いて暴いて」いくたたかいです。国民が「なるほど」と得心する日本語と論理と思想を流布させることです。そうしたたたかいと一体的なものとして、国民自身のたたかいが、あらゆる側面から発展するような運動論の提起です。

 

こうした運動が多様に交流されることに成功すれば、すなわち国民の知る権利が保障されるのであれば、国民の運動は多彩に、多様に、幅広く発展していくことでしょう。ここに現局面の最大のポイントがあるように思います。これはすでに、非正規・派遣労働反対のテントムラのたたかい、そして昨年のゲンパツサイカドー反対ん官邸前行動、今年の「特定」「秘密」「保護」法反対運動で体験してきました。これは、これまでの、どの運動に負けないような量と質をもった運動だと思います。安倍自公政権を着実に追い詰めています。

 

こうした運動が底流になって、石破発言や安倍・菅官房長官発言が出されて、内閣支持率の低下や、安倍自公政権の政策に対する各社のTPP・普天間基地問題、税制改革問題など、一連の批判的社説が書かれているのだと思います。こうした動きが、江田脱党・離党問題となっているようにも思います。明らかに風向きが変わりました。

 

では、以下の記事を検証することで、風向きの変化を検証してみます。

 

江田「新党」に対する風向きは、明らかに批判的であることが判ります。お読みください。今までマスコミが煽ってきたことなど、全く無反省ですが、同じ手法が使えないところにまで来ていることが判ります。

 

TVでた蔵トップhttp://datazoo.jp/w/%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%AE%E5%85%9A/17206864

2013年12月15日放送 8:00 - 9:54 TBSサンデーモーニング風をよむ

特定秘密保護法の成立を受けて、安倍内閣の支持率は大幅に下落した。野党への期待の声も聞かれる中、渡辺喜美代表のみんなの党から江田憲司前幹事長が離党し、分裂してしまった。野党の支持率は軒並み一桁で、国民の不満の受け皿とはとても言えない。なぜ強い野党がなくなってしまったのか。かつて土井たか子委員長らが所属した社会党は支持率で一時橋下龍太郎幹事長の自民党を上回ったこともあった。参院選でも議席を伸ばし、当時の社会党は自民党の対抗勢力として存在感を発揮してきた。その後社会党にかわる強い野党となったのが民主党で、2009年には政権交代を果たした。しかし民主党政権は3年で終わり、現在の一強多弱の構造となった。東洋大学社会学部の薬師寺克行教授はその背景を「現在の野党は、自民党の補完政党と、騒ぐだけ騒いで消えていく政党の2つに分かれる。政策や理念もなく、とても政権交代できる政党になりえない」と指摘した。(引用ここまで)

 

2013年12月15日放送 7:30 - 8:55 フジテレビ新報道2001(ニュース)

前みんなの党幹事長・江田憲司衆議院議員ら14人の国会議員が離党届を提出した。18日に新党を旗揚げする予定だ。さらに民主党などの議員らと「既得権益を打破する会」という勉強会も発足させた。しかし民主党・細野豪志前幹事長は「この会は新党設立が目的ではない」と語った。政治アナリストの伊藤惇夫氏は「民主党が崩れないということを最優先という意識だと思う」と述べた。背景には山口壮元外務副大臣などの離党があるという。一方、日本維新の会の橋下徹共同代表が「民主党は政治的な価値観で両極端。わかれたほうが国の為」と10日に語った。しかし翌日。東国原衆議院議員が離党届を提出した。又、13日の産経新聞に平沼赳夫代表代行の「大阪系が離れたいというなら離れたっていい」という発言が載った。江田憲司衆議院議員は橋本龍太郎元首相の首席秘書官を務めていた当時、既得権益のしがらみに嫌気を感じ後に、国政を目指すこととなった。「中央公論」2003年3月号のインタビューで「政界再編なくして構造改革なし」と述べている。江田氏の好きな吉田拓郎の「今日までそして明日から」が流れた。(引用ここまで

 

以下の記事で指摘したことは、世論となりつつあります。バブル政党による政界再編劇は通用しないような論戦が必要です。

 

結局は国会議員=既得権益=政党交付金ほしさの脱党劇!江田議員の見苦しい言い訳!議席返上がスジ!(2013-12-13 09:12:27)

 

議席の返上について  2013-12-13 12:50:27 http://ameblo.jp/koutamatsuda/entry-11728423228.html

 

江田脱党・離党劇は各紙の社説にどのように書かれたか、検証してみます。

10日から、今日までの間で、以下の社説しかありません。新党結党の際に、どのような見解が表明されるか、楽しみです。

 

読売新聞 みんなの党分裂/「江田新党」は野党再編序章か /2013/12/10 2:00
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20131209-OYT1T01358.htm

産經新聞 みんなの党分裂/再編の旗印をどう掲げる 2013/12/10 6:00
http://sankei.jp.msn.com/column/topicslist/../../politics/news/131210/stt13121003330003-n1.htm

京都新聞 野党の再編/自民補完勢力は要らぬ 2013/12/12 10:05
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20131212_3.html

熊本日日 野党再編/基本政策置き去りにするな 2013/12/12 10:06
http://kumanichi.com/syasetsu/kiji/20131212001.xhtml

愛媛新聞 みんなの党分裂/巨大与党を利してはならない 2013/12/12 10:06
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201312123555.html

神戸新聞 みんなの党分裂/巨大与党とどう向き合う 2013/12/10

http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201312/0006560513.shtml

新潟日報 みんなの党分裂 野党結集はまだ不透明だ /2013/12/13 10:05
http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20131213083956.html

河北新報 みんなの党分裂/野党の役割を鍛え上げよ /2013/12/14 8:00
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2013/12/20131214s01.htm

 

「政界再編」を期待する社説はどこか、ハッキリしています。安倍自公政権の支持率が軒並み低下してきたからこそ、安倍自公政権の補完的政界再編を心躍るような気持ちで待ち望んでいることでしょう。

 

数合わせの「政界再編」論を批判する社説が提起していることは、安倍自公政権の受け皿となるべき「野党の結集」論です。マスコミは単なる野合を煽るのではなく、政策論からみて、安倍自公政権に対抗できる政党と国民の運動を、国民に報せる責任があります。これこそが国民の知る権利の保障です。

 

ところが、この江田氏の動きを無視した社説もあります。圧倒的多数は、「不透明」だからでしょうか、「みんな」も「維新」も、その補完勢力化ぶり浮き彫りになってきています、これが日々強まっていることは社説を読んでいても判ります。こうした江田氏の動き方とそれを評価する社説の顕れ方をみると、江田新党は、早晩破綻することでしょう。勿論破綻させないために、次の手を打ってくることは間違いありません。それは「自共対決」だけは避けたいからです。安倍自公政権の支持率の確保と安倍氏の政権投げ出しだけは阻止しなければならないからです。

 

最後に、これらの社説から学ぶとすると、「政界再編」劇に期待していることは何か、その点を拾ってみました。ご覧ください。 

まず応戦団の社説です。何を期待しているか、一目瞭然です。

 

産経

たもとを分かった両勢力が政策的にどう異なるのか分かりにくい…江田氏らが新党を結成する場合、憲法改正にはどのような立場をとるのか、集団的自衛権の行使は認めるのか。再編に向け他党との関係を探る前に、基本政策に関する立場を固める必要がある…法的には新党参加は認められるが違和感は残る。再出発がふさわしいと思われるような優れた理念と政策を磨けるかが問われる。(引用ここまで

 

読売

野党再編への序章となる可能性がある。…今後の焦点は、江田氏の動きが、民主党や日本維新の会を巻き込み、政党の枠を超えた連携や野党再編に発展するかどうかだ。…自民党が突出した「1強多弱」の状況の下、野党の結束が問われている。巨大与党に対抗し、発言力を高めるために、野党が勢力結集を目指すのは理解できる。だが、政治理念、政策で一致できるのか。維新の会の松野頼久幹事長代行が、維新と「江田新党」による統一会派結成という緩やかな連携を呼び掛ける意向を示しているのは、現実的と言える。(引用ここまで

 

次は、「野党」結集に「期待」しつつも、安倍自公政権と対峙できるかどうか、憲法や安全保障などの政策論を優先しています。この間の反省は微塵もありませんが、こういうことを言わねばならないところに、現局面があります。

 

新潟日報

再編のために求められるのは、巨大与党との対立軸をつくることだ。焦眉の急は、臨時国会で数の力で押し切った秘密保護法に反対する世論の受け皿になることではないのか。…再編は15年春の統一地方選をにらみ、時間をかけて進める戦略とみられるが、政権と対峙して論陣が張れるような腰の据わった体制をつくらないと、世論からは冷ややかな視線を浴びることになろう。(引用ここまで

 

愛媛

みんなが分裂前の影響力を維持しうるか、党派を超えた連携に突っ走る江田氏らの動きが、巨大与党に対抗しうる野党勢力の結集に結びつくかについては、疑問符をつけざるを得ない。…1強多弱の政治情勢の中、重要な政治課題で、政権・与党に対峙しうる野党勢力の存在は不可欠だ。分裂で弱小野党を増やし、巨大与党を利しただけとのそしりを受けるようなことにしてはならない。(引用ここまで

 

河北新報

政党は政策に関与してこその側面がある。当面、政権交代を望めず、野党再編や新党結成にも乗れない。となれば、元来、保守の渡辺代表が古巣との距離を縮め、是々非々を超えて「自民党渡辺派」的な方向に流れても不思議はない。…与党に対抗し政策に影響力を行使し得る野党勢力の結集は望ましい。ただ、数合わせでは意味がない。存在感のある野党としての足場固めが先決だ民意に沿いつつ重要政策を鍛え直して、まずは巨大与党に論戦を挑むべきだ。その上で、政策のすり合わせを慎重に進めて各党の垣根を低くする。その先に初めて統一会派や、機が熟せば合併の方向も見えて来よう。国民が野党各党に期待し、望む役割を地道に果たしていくことが、信頼感を醸成し支持を高める道だ。しばらく国政選挙はないとみられ、時間はある。(引用ここまで

神戸新聞

だが、この動きが巨大与党に対抗しうる勢力の結集を加速させるかどうかは不透明と言わざるを得ない。…なぜ今、新党なのか。年内に新党を立ち上げれば来年の政党交付金を受け取れるとの判断も働いたはずだ。野党再編は目的ではなく、よりよい政治を実現する手段である。再編の先に何を目指すのか、政策や理念を語らなければ、国民の理解は得られない。…巨大与党の暴走に、しっかりと歯止めをかけることのできる野党が今ほど求められる局面はない。自公政権に代わる政策の対抗軸をはっきりと示し、党利党略を超えて結集を図る。その戦略と覚悟がなければ、野党のさらなる分裂と弱体化を招くだけではないか。…地方議員や、比例でみんなの党に投票した有権者は困惑するだろう。両氏は離党の経緯や今後の政治活動について、有権者に丁寧に説明する責任がある。(引用ここまで

 

熊本日日

次期国政選挙や統一地方選をにらみ、一大勢力結集を目指す野党再編へ向け、第一歩を踏み出した。だが、基本政策や理念を置き去りにしたままの数合わせの再編なら、国民の支持を得るどころか、かえって政治不信を増幅しかねない。強大な与党に対峙するには、野党が浮足立つのでなく腰を据えた戦略論議が肝要だ。…巨大与党に対抗する野党の連携は大いに模索していい。だが、現状では目指す再編の方向性に大きな隔たりがある。この勉強会のテーマから憲法や安全保障が除外されている点に、それが象徴されていよう。理念と基本政策での一致を素通りしたままの再編論議にならないか、気掛かりだ。数多くの新党が生まれては消え、そのたびに政治不信を増幅させてきた歴史を踏まえてほしい。…野党は地に足を着け、さまざまな国民運動とも連携しながら、与党の「数の論理」に対抗してほしい。(引用ここまで

 

京都

衆参両院で過半数を制する「1強」の自民は、特定秘密保護法の採決強行のように、数におごって暴走を始めている。「多弱」の野党がブレーキをかけるには、結束を強めるしかない。その意味で、野党再編を否定はしない。 ただ、新しい勢力の結集は、あくまで「理念と基本政策の一致」(江田氏)に基づくべきだ。にもかかわらず「政権交代が可能な形を示す」(細野氏)「政権交代のリアリティーを持った塊(かたまり)を作る」(松野氏)などと、今から数集めを目的としているようでは、先が思いやられる。寄り合い所帯の弱点をさらし、自壊した民主党政権の失敗を繰り返すだけだ。…いかにも「ぬるい」テーマだ。憲法観や安全保障政策といった政治の背骨となる論点を避けていては、強固な政治集団になりえない。安倍晋三首相が率いる自民は今後、集団的自衛権の行使容認や憲法改正に突き進むとみられる。自由と基本的人権の尊重、平和主義といった戦後の日本が国是としてきた価値観が、根底から揺さぶられかねない。こうした流れに不安を抱く国民は少なくない。…必要なのは自民の補完勢力ではない。自民に真っ向から挑み、現実的な別の針路や選択肢を示せる野党こそが求められている。…2016年夏の参院選まで国政選挙がない公算が大きい。それまでの間、与党に国会を思うがままにさせないよう、野党各党は共闘のあり方を早急に探ってほしい。 安倍自民が繰り出す保守色の強い施策は、野党やそれぞれの議員に政治的信条を厳しく問いかける。その「踏み絵」を通して、野党再編の形も見えてくるだろう。(引用ここまで

 

では以上の社説のフレーズを使って救国暫定国民連合政権構想と政権公約づくりについて、述べてみます。

 

1.「再編の先に何を目指すのか、政策や理念を語らなければ、国民の理解は得られない」「必要なのは自民の補完勢力ではない。自民に真っ向から挑み、現実的な別の針路や選択肢を示せる野党」だけではなく、「民意に沿いつつ重要政策を鍛え直し」ていく国民的議論によって構築する救国暫定国民連合政権構想と政権公約づくり

 

2.「与党に対抗し政策に影響力を行使し得る野党勢力の結集」だけではなく、「さまざまな国民運動とも連携しながら、与党の『数の論理』に対抗」できる広大統一戦線の構築を基礎にした暫定救国国民連合政権構想と政権公約づくり

 

どうでしょうか、「憲法観や安全保障政策といった政治の背骨となる論点を避けていては、強固な政治集団になりえない」と言いながら、このテーマについて、真っ向から対決している共産党を無視しているのです。

マスコミ自身が日米軍事同盟と憲法の矛盾について、どれだけ具体的に報道してきたのでしょうか。この矛盾を解決する運動をどれだけ報道してきたでしょうか。その点で「国民の知る権利」をどれだけ保障してきたでしょうか。

その点でマスコミが期待する「野党」は、徹頭徹尾自民党の亜流政党なのです。このことを黙殺して、野党結集を呼びかけても難しいでしょう。そのカベをどうすれば打ち破ることができるか、それは国民的運動の発展しかないと思います。「野党」論議だけでは、カベは崩すことはできないと思います。


張成択氏処刑!三代目の宿命?権力を粛清で強化は北朝鮮にはじまったのではなく日本にあった歴史を直視!

2013-12-15 | 日記

突然と言うか、必然的と言うか、北朝鮮の劇的政変が起こりました。金正恩氏の義理の叔父である張成択氏の処刑事件です。テレビは「歴史のゴミ箱に捨てろ」などの北朝鮮国民の声を報道しています。こうした声がでてくるのは当然でしょう。これが北朝鮮の文化だからです。

 

日本では、「驚き、呆れ、背筋が寒くなった」と、サンデーモーニング出演の女性コメンテーターが語っていた言葉に象徴されています。マスコミは、日本との差を強調し、北朝鮮政府の軍部の政治、いわゆる先軍政治への「脅威」論が語られています。こうした報道が、安倍自公政権の暴走、憲法改悪に道を開いていることは、次第に自覚されてきているように思います。それは同番組のなかで、報道も処罰となる対象と発言し、後に訂正した石破氏のホンネ発言を評価する男性コメンテーターが、北朝鮮の「脅威」との関係で、「特定」「秘密」「保護」法の強行や石破氏の発言がなされているとの発言がありました。これは非常に印象的でした。

 

それにしても、北朝鮮との文化の違いを強調する日本人は、日本も北朝鮮や中国と、ある意味では五十歩百歩であることを自覚すべきです。それは、以下の事実を思い起せば判るのです。

 

それは、まず第一に、大逆事件でした。戦前の刑法の大逆罪を使って執行された死刑に至る背景と経過と、結果に、ある意味共通しているのです。クーデター事件、或いは金正恩氏殺害事件などとの関係を言えば、虎ノ門事件が想起されます。今回の張成択氏の処刑も、北朝鮮刑法に基づいているとされています。「逆賊」扱いされている張成択氏の証言も報道されています。そういう意味では、これまでの「粛清」事件「報道」とは違っています。しかし、その真相は不明です。

 

更に言えば、安重根を「テロリスト」と称していることと似ています。一方的な情報が流されているからです。この情報を受け取る日本国民はどのように受け止めるのでしょうか。

 

そして更に歴史を遡ってみると、信長・秀吉時代の「粛清」があります。因みに信長は、家康の長男信康、秀吉は秀次、千利休は身内ではありませんが、粛清の最たる事例です。江戸時代の徳川三代将軍たち徳川秀忠徳川家光 の「粛清(改易・転封)」でした。それは外様大名だけでなく、譜代、更には親藩も。子どもや兄弟までも「粛清」したのです。そして綱吉時代の、いわゆる「忠臣蔵赤穂浪士」の「粛清」です。高家と大名の争いを利用して、大名を粛清、それを「仇敵」させて、「忠義」として利用しながら、処罰する。

 

こうした流れを文学に、映像化して継続的に垂れ流すのです。その際たる映像文化がNHKの大河ドラマです。こうして日本国民の中に、「粛清」と「忠義」と「仇敵」を容認する文化が醸成されていったのです。流石に、最近は忠臣蔵は再放送されていません。「八重の桜」も、根底には天皇への「忠義」、「尊王」がテーマの一つでした。会津も「尊王」だった。「薩長にはめられた」思想です。それは靖国思想につながります。会津藩士でも、後に薩長藩閥政権に登用されて、靖国神社に英霊として祀られている人物がいるのです。

 

更に遡れば、ヤマト政権時代の、いわゆる天皇(大王)家内部の、政権内部の「粛清」「政変」が、後の政権の正当性の事件として、古事記・日本書紀などの正史のなかで利用され正当化されていることです。この思想が安倍自公政権に受け継がれているのです。「愛国心」の象徴として、です。

 

日本で言えば、三代目が、一代目から二代目に、その権力を移譲していく際に、三代目は、その祖父と父の意向・威光を踏まえて、七光りを使って強化できれば、その政権は安泰とされています。天皇政権にしても、鎌倉・室町の武士政権にしても、同様です。近代天皇制で言えば、睦仁、嘉仁、裕仁と関係を診ると、分かります。「偉大な天皇」である明治天皇、摂政を置かなければならなかった大正天皇の時代は大正デモクラシー時代、それを背景として普通選挙制度が制定され、その反動として治安維持法を制定。更に強化するために死刑条項を勅令で決めるのです。裕仁天皇の最初の仕事です。その結果、国家権力のテロが横行し、あの大東亜戦争が断行されたのです。

 

安倍晋三氏も、同様です。三代目です。一代目岸信介氏の野望を父安倍晋太郎氏はなし得ませんでした。叔父である佐藤栄作氏も同様です。それは国民との力関係、国際関係の到達点が、主な理由です。そして今、三代目としてその祖父や叔父や父のなし得なかった野望を、貫徹するために、中国や北朝鮮の脅威論を最大限利用しながら、世論さえ無視して強権国家づくりと一体的に大東亜共栄圏づくりに狂奔しているのです。トリックは祖父と同じです。

 

それは、今回開催したアセアン首脳会議は、さながら「大東亜会議」。その共同声明は、「大東亜共同宣言」です。その大東亜共栄圏は、欧米の植民地主義との対決でした。その現代版は対中包囲網です。その方便が「五族協和王道楽土」論、その現代版は「価値観外交」です。

 

「然ルニ米英ハ自國ノ繁榮ノ爲ニハ他國家他民族ヲ抑壓シ特ニ大東亞ニ對シテハ飽クナキ侵略搾取ヲ行ヒ大東亞隷屬化ノ野望ヲ逞ウシ遂ニハ大東亞ノ安定ヲ根柢ヨリ覆サントセリ大東亞戰爭ノ原因茲ニ存ス」の現代版は日米同盟の深化の具体化としての「積極的平和主義」と集団的自衛権の行使です。その意に反するものは死刑に処すのです。

 

「飛行の自由」協力強化で中国を牽制 日·ASEAN首脳会議 共同声明採択 2013.12.14 18:00

 

北朝鮮の死刑と日本の死刑を同列には置けないが、全く違ったものではないことを強調しておかなければなりません。日本は北朝鮮の今回の処刑のことをあれこれ言うことが出来るか、胸に手を当てて考えてみるべきです。具体的に言えば、以下の記事です。

 

張成択氏の処刑とほぼ同時期に日本において執行された死刑があります。このことの意味との関係を指摘しない訳にはいきません。単純化して言えば、日本の国内法に関する問題です。それを決定しているのは主権者である国民です。北朝鮮の国内法に基づいて死刑が執行されることに、日本国民は容喙することができないことは言うまでのありません。

 

2人死刑執行 安倍政権で8人に  12月12日 9時50分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131212/k10013770031000.html

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平成20年と平成12年に大阪で金を奪う目的で会社員の男性と中国人留学生の女性を殺害し、強盗殺人などの罪で死刑が確定した死刑囚ら、2人の死刑囚の死刑が、12日午前執行されました。
安倍政権で死刑が執行されたのは4回目で、合わせて8人となりました。

死刑が執行されたのは、▽平成20年に大阪で金を奪う目的で当時30歳の会社員の男性を殺害したほか、平成12年に大阪で当時24歳の中国人留学生の女性のバッグを奪ったうえ刃物で殺害したとして、強盗殺人などの罪で死刑が確定した加賀山領治死刑囚(63)と、▽昭和61年に山梨県で別れた妻の伯母を水風呂に沈めて殺したうえ、5日後には新潟市で別れた妻と交際があった当時26歳の男性を水風呂に沈めて殺したとして、殺人などの罪で死刑が確定した藤島光雄死刑囚(55)の2人です。死刑が執行されたのはことし9月以来で、安倍政権では4回目で合わせて8人となりました。また、今回の死刑執行で、刑が執行されていない死刑囚は129人となりました。谷垣法務大臣は、記者会見をして「いずれの事件も身勝手な理由から尊い人命を奪った極めて残忍な事案であり、被害者や遺族にとって無念この上ない事件だと思う。裁判所において十分な審理を経たうえで確定したものであり、慎重に検討を加えたうえで執行を命じた。死刑について批判はあるが、日本では法定されているし、国民の支持もあると思うので、現状で死刑を維持していくことに変化を迫る情勢はない」と述べました。

死刑執行された2人とは

加賀山領治死刑囚は裁判では「殺意はなかった」と主張しましたが、1審と2審はいずれも死刑を言い渡し、最高裁判所は去年7月に「2人の命を奪った結果は重大だ」と上告を退け死刑が確定していました。また、藤島光雄死刑囚は、1審と2審はいずれも死刑を言い渡し、最高裁判所は平成7年に「6日間に2人の命を奪い、犯行の手口も残虐だ」として上告を退け、死刑が確定していました。

死刑執行は去年上回る

死刑が執行されたのはことしに入ってから合わせて8人となり、去年を上回っています。
死刑の執行はおととしは一度もありませんでしたが、去年は7人に対して執行されました。
また、ことしはこれまでに、平成16年に奈良市で小学1年生の女の子を下校途中に連れ去って殺害した罪に問われた死刑囚や、平成20年に茨城県のJR常磐線荒川沖駅で通行人などを包丁やナイフで斬りつけ1人を殺害し7人にけがをさせる罪に問われた死刑囚など、6人に対して死刑が執行されていました。
今回の死刑執行はことし4回目で、執行された死刑囚の数は合わせて8人と去年よりも多くなりました。

執行の判断基準は不明

12日に死刑が執行された2人は、判決の確定から執行までの期間が1人は1年4か月だったのに対し、もう1人は18年6か月と、大きな差がありました。法律は死刑の確定から6か月以内に執行するよう定めていますが、法務省によりますと、平成15年から去年までの10年間で、刑の確定から執行までは平均で5年7か月となっています。刑が確定してから40年以上がたっても執行されていない死刑囚がいる一方で、確定から1年たたないうちに執行されたケースもあります。12日の執行について谷垣法務大臣は会見で、「犯罪事実に疑いがないかや、再審請求中などの事情があるかなどを検討して事務方が決めたものを自分でも記録を読んで判断した」と述べました。しかし執行の順番や時期をどのように決めているのか具体的な判断基準については「答えを差し控える」として明らかにしませんでした。日本では死刑囚の心情を害するおそれがあるなどとして死刑囚に関する情報はほとんど公開されておらず、国連の人権理事会は日本など死刑制度がある国に対して、情報の公開を求める決議を採択しています。(引用ここまで

 

死刑執行に対する会長声明 - 愛知県弁護士会 2013年(平成25年)2月21日

世界各国の死刑執行数と死刑判決数の推移(2012年)【アムネスティ】2013年4月11日

北朝鮮、粛清裁判に潜む意図 張氏死刑執行日本経済新聞

 

次ぎに、以下の記事をご覧ください。北朝鮮政府の今回の処刑と安倍自公政権の今後の方向は、結構似ています。この点については、マスコミは報道していません。

 

秘密保護法案の危うさ あの国家秘密法と同じ!?(東京新聞:こちら特報部)2013年9月15日

石破自民幹事長は国家命令から逃げたいという人間の本性を死刑で脅して貫徹させるトンデモ思想を吐露!(2013-07-20 19:36:58)
やっぱり石破発言は国家の命令に従わない人間は死刑を課す!個より公を優先する自民党改憲思想にあり!(2013-07-20 14:41:22)

 

次に言えば、張成択氏とアントニオ猪木氏や松浪健太郎氏との関係です。約一ヶ月前には、日本のマスコミはどのような報道をしていたか、再度検証する必要があるでしょう。二人は真実を明らかにすべきです。どのような会話がなされたか、或いは日本国政府からどのようなサインを受け取って訪朝したか、などです。その他、張成択氏が金正恩氏に反抗したとされる問題がどのような側面からのものであったか、その際に日本政府との関係がどのようなものであったか、明らかにすべきです。

 

このことを強調する理由は、北朝鮮と日本の公安警察=国家権力との胡散臭い関係があるからです。実は不審船事件、特に九州南西海域工作船事件の際の携帯電話の解明がいっさいなされていないことなど、北朝鮮政府と日本の国家権力の関係は、実はウラでは深い関係があるのではないかということです。これも「特定」「秘密」事項として公開されていない情報が山ほどあると思われます。拉致問題も同じではないかという推論です。

 

今回の問題については、以下の記事をご覧ください。

 

金正恩氏最側近と会談 訪朝の猪木氏 - MSN産経ニュース 2013年11月6日

猪木氏、金正恩氏側近と会談 拉致問題などで何らかのメッセージ ...2013年11月7日

アントニオ猪木と北朝鮮の関係は?単独訪朝の真相と狙いのまとめ 2013年11月10日

文化交流·スポーツ交流と政治は本当に無関係なのか? : ブルーリボンを ... 2013年11月4日

張成沢処刑に松浪健四郎氏驚く「残念です」 (2013年12月14日06時03分  スポーツ報知)

北朝鮮の治安機関、国家安全保衛部は12日、「ナンバー2」として権勢を誇った張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長(67)に対して特別軍事裁判で死刑判決を下し、張氏はただちに処刑された。朝鮮中央通信が13日、伝えた。8日の全役職解任からわずか4日後の執行。北朝鮮が軍事裁判の実施や死刑執行を公にするのは極めて異例だ。朝鮮労働党機関紙「労働新聞」電子版は、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の叔父に当たる張氏を「犬にも劣る醜悪な人間のくず」とこき下ろした。日本体育大学のサッカー、レスリングなどの選手約40人を連れ、代表団団長として11月に北朝鮮を訪問した同大学理事長の松浪健四郎元衆院議員(67)は「頬をつねってみるほど驚いた。帰国する時には『来年またお会いしましょう』と固い握手をしてお別れしたのですが…」と話した。松浪氏は昨年11月も平壌を訪問して、張氏と交流している。「温厚なやさしい人だった。日本に好感を持っていただき、お互いスポーツ交流を進めていただけに残念です。今後、張氏に代わる(日朝の交流を進められる)人が出てくるのか。今の時点では全く分かりません」(引用ここまで

 

猪木氏、張成沢氏処刑に関し「言葉控えたい」(2013年12月13日21時40分  スポーツ報知)

 http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20131213-OHT1T00149.htm

 アントニオ猪木参院議員は13日、北朝鮮を11月に訪問した際に会談した張成沢元国防副委員長が処刑されたことに関し「よく分からない。北朝鮮も神経質になっているときなので余計なことを話さず、言葉を控えたい」と述べた。都内で記者団の質問に答えた。一方、訪朝時に打診した国会議員団訪問の受け入れについて北朝鮮側から12日に「約束はまったく変わらない」と連絡があったと明らかにした。理事長を務めるNPO法人「スポーツ平和交流協会」が平壌に設立した事務所を通じた交流活動についても「変化しない」と述べた。(引用ここまで

 

北朝鮮の改革開放派 張成択(チャン·ソンテク)氏への贈り物が増えて . 2013年8月27日

2008年04月 (47) - 日本財団会長 笹川陽平ブログ - CANPAN 2008年4月30日

 

【張成沢氏処刑】日朝関係「いい機会を迎えている」「窓口の一つ消えた」専門家の意見さまざま2013.12.14 20:48

http://sankei.jp.msn.com/world/news/131214/kor13121420500013-n1.htm

東京都内のホテルで開かれた拉致問題シンポジウム=14日午後

 北朝鮮の張成沢前国防副委員長の処刑が日朝関係に与える影響について、14日に開かれた政府主催のシンポジウムでは、専門家からさまざまな意見が出た。張氏の失脚、処刑を「圧倒的に権力を独占した金正恩(第1書記)が張成沢を切ったという極めて単純な事件」とみるのは、東北アジア国際戦略研究所の武貞秀士客員研究員。「『日朝の窓口はおれだ』という張成沢がいなくなったことで、日朝関係はむしろいい機会を迎えている」として、日朝首脳会談の開催を提案した。聖学院大の宮本悟准教授は「張成沢は日本に向けた窓口の一つではあった。拉致問題解決のために何か動いてくれたのかはかなり怪しいが、失った部分をどこかで埋める活動を始めるべきだ」と指摘。初代内閣安全保障室長の佐々淳行氏は「張成沢の失脚は拉致問題にプラスにもマイナスにもならない」と述べた。(引用ここまで

 

次に強調しておきたいことは、国際法では、仇敵行為はどのように扱われているかです。

 

国連の「友好関係宣言」とは? - 日本共産党中央委員会 2007年11月7日

友好関係原則宣言

友好関係原則宣言 - University of Minnesota Japanese Page

 

以上の国際法や日本の歴史などを考慮すると、今回の北朝鮮の張成択氏の処刑問題は、複雑です。単純に北朝鮮の「無法」と「脅威」を煽るのではなく、またそのことで優越感を抱くのではなく、さらには日米同盟の深化のために利用するのではなく、日本国として何をすることが、北朝鮮政府と国民へのメッセージとなるか、慎重な国民的議論が必要だと思います。


「自共対決」とは悪政変更のレベルを超えた政権交代のことだ!その内容・方法を国民に提案するのは、今だ!

2013-12-15 | 日記

上総之介さん、とある専従さんのコメントをいただきました。ありがとうございます。昨日午後の記事掲載後から留守をして、先ほど帰宅しましたので、簡単な挨拶程度のコメントで申し訳ありません。

お二人の仰るとおりです。このことについては、国民的議論をどのようにおこしていくか、ということに尽きるのではないかと思うのです。共産党の戦後の新しい綱領、それにもとづく民主連合政府綱領も、「自由と民主主義の宣言」も、あの民主党の政権公約も、それを否定する自民党の政権公約も、いずれも、国民的議論がなされていません。特にあの民主連合政府綱領などは、産経新聞が揶揄する広告を掲載し、共産党の反論権は裁判所によって否定されるなど、およそ民主主義の名に値しないものでした。

ところが、当時の共産党も、この民主連合政府綱領を国民的議論に付すという知恵はありませんでした。「自由と民主主義の宣言」も同じです。新しい綱領(マニフェスト)も、日本における政党の綱領との比較で、議論の俎上にすら乗らないのが日本の思想・政治状況です。こそが民主主義の後進性の最たるものです。

だからこそ、というか、安倍自公政権の憲法改悪のための一つひとつの布石として打たれてくる悪法・悪政について、その危機感を抱くようになってきたマスコミや国民世論を信頼して、安倍自公政権に替わる政権構想を発表することで、云わば、反安倍自公政権統一戦線を構築することが大切ではないだろうかということです。これは綱領と一体的なものとして発表される必要があるのは当然のことです。

今もって中国共産党や朝鮮労働党と日本共産党が同じ穴のムジナではないかなどと、マジで考えている国民が多いのは、何故か。マスコミの責任もありますが、共産党の提起の仕方の弱点を示していることも事実です。共産党が「独裁政治を敷くのではないか」とか「暴力革命をするのではないか」などなど、前世紀というか、70年代までの共産党への「偏見」「反共」的感情を抱いている声があるところに、象徴的です。

こうした諸問題を解決するためには、かつての中国共産党と国民党の、いわゆる国共合作的統一戦線(抗日民族統一戦線)、ナチズム・ファシズムに反対する反ファシズム統一戦線、ベトナムにおける南ベトナム民族解放戦線、抗米救国闘争、イタリア共産党とキリスト教民主党とのいわゆる「歴史的妥協」、日本で言えば、薩長同盟などのような発想の転換が必要でしょう。そのような転換を指し示す政権構想を、今、これだけ悪政がハッキリしてきたからこそ、国民の反撃が起こってきたからこそ、更に発展させるために、暴政政治阻止と内閣打倒のために打ち出すことができるかどうかです。

勿論、現在の政治状況の根源には日米軍事同盟、財界・多国籍企業の憲法形骸化、大東亜戦争正当化があることは当然です。しかし、現在の日本の思想状況は、ストレートには、この諸悪の根源にノーを突きつけるところまでには至っていないことも事実です。しかし、この現在の政治状況について、その不満と不安、要求は切実です。それらを解消、実現していくためには、それらの諸悪の根源にまで手をつけていかなければならないことも事実です。そのためには一つひとつの階段を上っていくことが必要です。それも皆が一緒に、です。

諸悪の根源の解決方法を提示することと解決のための運動をそれぞれ、多様に展開していくことを統一して行なっていくことです。そのレベルでは「一点共闘」論は正しいと思います。しかし、共産党の「一点共闘」論と「自力」論に決定的に不足していることは、国民の気分・感情・不満・要求への目線、レベルと共同していくというスタンスが極めて弱いということに尽きると思います。

その点で言えば、新自由主義政策を掲げていた民主党が、一転、その修正政策である「コンクリートから人間へ」論、「日米同盟」の「対等」性を強調し中国との連携、すなわち東アジア平和共同体構想を打ち出したことで、政治の流れを変えていったことにみるように、共産党がアメリカ・財界いいなり政治からの脱却、憲法守れ、最近では、憲法を生かせ論を強調していますが、こうしたいわゆる「革新三目標」論を、さらに国民目線と噛み合うコピーと政策提起、展望を打ち出すことができるかどうか、底にどのような工夫をしていくかではないでしょうか。

ところで、要求は実に多様化、複雑化しています。極端に言えば、日米軍事同盟容認派、憲法「改正」容認派、自衛隊合憲派、財界擁護派、大東亜戦争肯定派と、安倍自公政権打倒で一致できるかどうか、そのためには、どんな政権公約が必要か、です。憲法「改正」でも、安倍自公政権のやり方とは違う、軍事同盟は賛成だが、アメリカのいいなりには反対、自衛隊には賛成だが、集団的自衛権は反対などなど、様々な潮流との「歴史的妥協」、「歴史的合意」の形成です。

その最大の試金石は何でしょうか。原発であり、普天間・オスプレイであり、中国・北朝鮮の脅威であり、財界の大儲けであり、憲法の何を活かすのかであり、などなど、現局面における国民要求実現のための政策について、その最大公約数を政権構想、政権公約にまとめあげることができるかどうかです

この合意形成を図るためにも、国民的議論と合意を尊重することです。安倍自公政権に代わる政権構想を打ち出し国民的合意形成運動そのものが、安倍自公政権打倒の運動であり、暴走を防止する運動にもなるわけです。

こうした構想を打ち出すことで、はじめて共産党の「自共対決」論が、国民的議論に付されるのではないでしょうか。そうしてはじめて、あの民主党が成功したように政権交代の「流れ」が起こっていくのではないでしょうか。

勿論、無原則的に「妥協」するのは間違いです。あくまで綱領の実現に向けた原則性と柔軟性の統一です。多様な意見、要求を尊重し合う、民主性の尊重です。意見の違いは保留して実践で検証し合うという謙虚さの確認です。そのためのルールは皆でつくるという確信です。これこそが「国民が主人公」思想です。

そうした提起の中で、共産党の「自力」が発展していくのではないでしょうか。これは共産党と国民の間の「相乗効果」、最近では「双方向」をつくりだしていくためにも必要不可欠ではないでしょうか。現在のような党員と赤旗を増やしていくことを中心とする「自力」論、その「自力」の発展の中で民主連合政府に接近していくなどという段階論ではなく、現実に存在している政治に対する国民の不安・不満・要求、諦念、政治不信と真正面から向き合っていく中で、更に言えば噛み合う政策と運動を展開する中で、政権交代に接近していくことになるのではないでしょうか。

勿論、そのためには、全国の「草の根」と言われている「支部」が、「自分の範囲・部署」の国民とどのように結びつくか、です。国民の「要求」で、どのように結びつくか、です。その「要求」を実現するなかで、国民自身が、あの諸悪の根源に突き刺さっていくという運動です。「マイ名簿」的な狭い視点ではありません。「マイ名簿」論は、党員と国民の関係でなくても、誰もがもっているようなシロモノです。そういう意味では「マイ名簿」は当たり前の事柄です。

そのような狭い、あたり前の視点ではなく、今、必要なことは、共産党と国民の間の「政治的な結びつき」です。国家の政策に対する不満や不安を要求にまで高めていく営みです。勿論党員と国民の関係は政治的な関係と同時に人間的な関係もあることは否定しません。しかし、「マイ名簿」の活用事例をみていると、どうでしょうか?手段化していないでしょうか?

それらの不満や不安、要求が毛細血管を通って、心臓に運ばれ、酸素と栄養を供給し、それが大動脈と血管、毛細血管を通って再度体中に巡りまわっていくということです。その酸素や栄養は、こんな政権をつくるぞ、そうすれば、様々な老廃物である要求が実現できるぞ、酸素と栄養を運ぶのは国民自身だぞ、というメッセージを、草の根支部である毛細血管がどのように使われるか、そのために草の根の支部が、奮闘できるかどうかなのです。

或いは、作物の草の根が、土の中の水分や栄養を吸い取り、茎を上がって、葉に運ばれ、光合成と一体となって花を咲かせ、受粉させ、実を結ぶ。その大地「国民」の中の水分・栄養(要求)を草の根の支部が、茎(行政が企業)を上がって果実となっていくために、どのような役割を果たすか、なのです。

ところが、現在の草の根の支部はどうでしょうか。共産党が要求実現運動に日夜奮闘中であることは当然中の当然です。しかし、以上述べてきたような視点で要求実現運動が展開されているでしょうか。赤旗の共産党の活動欄を読むと、赤旗や党員の拡大のための県委員会・地区委員会・支部となっていないでしょうか。共産党の、今最も力を入れていることが新聞記事になっていると思われますので、愛国者の邪論の指摘は間違ってはいないでしょう。

勿論、現在の共産党の活動を全否定するつもりはありません。赤旗が増えることは共産党の財政の中心ですから、それを増やすことは共産党の活動の土台を支えることからも当然です。そうした活動を支えていくためにも「人=党員」が必要であることは当然中の当然です。しかし、だからこそ、というか、回り道であるかのように見える要求実現の活動、要求実現運動を、多様に展開しているかどうか、その交流が赤旗を通してできているかどうかです。「美味しい魚や貝を育てるためには山をつくれ」という視点です。

職場では経営者に、経営者では解決できない場合は経営者と一緒になって行政や国家に、或いは財界に届ける運動をどのように展開するか、しかもその場合、消費者である労働者や住民などと一緒になって展開できるかどうかです。労働組合はどうでしょうか。未組織労働者が何故増えたか、どうすれば組織労働者が増えるか、或いは労働組合の組織のあり方はどうでしょうか。

地域も同様です。地域に暮らす様々な住民の要求をどのように行政や企業や国家に届けきるかです。そのための組織、自治会や要求実現運動の組織はどうでしょうか。学園も同じです。特に雇用問題は深刻です。また学ぶ権利がどのように保障されているか、高い学費を払っていることは不当ではないのか、学生自治会はどうでしょうか。それらの組織のような従来の組織のあり方を超えた新しい要求実現の組織のあり方はどうでしょうか。

特に最近ではNPOなどの存在などなど、新たな視点は検討されているでしょうか。などなど、国民・労働者・学生・経営者・高齢者・年金生活者・家事労働婦人、引きこもってしまっている若者や独居老人などなど、様々な人びとの要求を根こそぎ拾い上げる運動、それを一緒になって届けきる運動を「草の根」の支部が展開できているかどうかです。

そのためには、「草の根」支部が地域や職場、学園の顔として認知されなければなりません。公然と共産党の支部を名乗ることができるかどうかです。従来の「野党」、「秘密的・非合法的」組織、「非公然」党員などのような視点、いわゆる従来の言葉を使えば、「内なる反共主義」党組織・党員からの脱却です。支部がブログを設定し、日々、その活動を紹介、記事を更新していくのです。勿論議員や地区委員会、県委員会などが、その地域の共産党として、一つの政治勢力として、「住民に責任を持つ組織」として公然と日々の活動を紹介、記事を更新していくのです。

こうした視点で運動してはじめて、政権が取れるのではないでしょうか。同時に政権が取れた場合、それを支える運動が展開できるのではないでしょうか。

民主党政権が破綻したのは、第一に公約を破ったことがあります。その公約が国民的議論を経て作成されたのではないこと、更には、だからこそ、国民との共同で攻撃に反撃できなかったこと、だからこそ、元々の政策である新自由主義政策や日米軍同盟機軸論に先祖復帰してしまったのです。

こうした民主党の失敗と政権交代を果たした成功から、どのような教訓を引きだすか、そのための最大のポイントは国民との共同なのです。それは、繰り返しますが、政権構想、政権公約は、国民との共同でつくること、それを実現するためには国民との共同の運動を発展させながら、検証していくことなのです。こうした新しい運動を、今、共産党が提起すべきなのです。

これらは相互関連を持って相乗効果的に発展させていくべきものです。要求実現運動を発展させるためにも、政権構想・政権公約を発表する、それを要求実現運動と国民的議論を一体的にすすめていく、この運動は安倍自公政権ノーの運動という意味を持った運動として取り組むのです。そうして「成果」をつくりだしながら、或いは「成果」をあげることができなくても、安倍自公政権を追い詰めながら、或いは追い詰めることができなくても、戦線の拡大のなかで、国民的連帯が広がるなかで、この運動に「共感する国民を広げていく」のです。当然、その結果として、共産党の「自力」は発展していくのです。これは何も、従来言われている「自然成長」論とは無縁であることは「草の根」論などからも当然のことです。

以上、政権構想論・政権公約論の前提となる活動論について、述べてみました。ご検討お願い申し上げます。