愛国者の邪論

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国家の責務を放棄した「自助」論こそ、いじめの典型、自民党の憲法観で国家犯罪が横行する!

2012-07-15 | 日記
今日の「朝日」4面、「自民党どこへ 野党第一党の研究」、テーマ「寛容さ薄れ保守先鋭化」を読んで思ったことを記しておこう。

ポイントは、
1.現在大津の「いじめ」問題にバッシングが集中している。しかし、つい最近までは生活保護制度へのバッシングだった。この仕掛け人は自民党で、その思想は、憲法改悪案にみることができる。

2.自民党がマスコミを使って扇動し、国民を使って生活保護の根本理念である憲法25条の根本的改悪を実現しようとしていることだ。その際のコピーは「生活保護をもらえなきや損というゲーム感覚だ」「働かざる者食うべからず運動をしないといけない」だ。

3.改憲案にある「第二十四条 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」。この「自助」論を使って国民同士を反目させ、大日本帝国憲法型の国家をつくる作戦だ。これこそが「いじめ」の典型であることは歴史の教訓だ。

4.生活保護制度の改悪については、法的には何ら問題のないことが明らかにされているので、ここでは繰り返さない。だが、国民を取り込む作戦は軽視できないので、改めて考えてみたい。そこで参考資料をあげておこう。『前衛』8月号に掲載された以下の論文に詳しい。
尾藤廣喜「生活保護改悪では『餓死・孤立死』が急増する」
稲葉剛「貧困支援の現場から生活保護を考える」

5.そもそも憲法違反の政党助成金を強奪する政治家に「働かざる者食うべからず」などという説教する資格はないのだが、テレビをはじめ「朝日」などの記事はそうした視点はまるでない!そこに国民の不満を吸収させていこうとする自民党のねらいが一定功を奏している。いじめに加担するマスコミの果たしている役割が見えてくる。

6.そこで、つい最近、茂木議員の衆議院における野田首相追及について述べておきたい。マスコミは野田首相の「消費税増税に反対する議員は公認しない」発言に飛びつき、肝心な政策問題については、自民党と民主党のやりとりに眼を向けさせ、かれらの国民無視を黙認した。

茂木議員の主張は、社会保障を削減するとした民自公の合意を守れというものだった。
http://www.jimin.jp/activity/colum/117461.html
だが、これを認めてしまったら野田政権の命取りになる。だから党内にも国民にもウソをつく。さらに茂木議員は野田政権の整備新幹線や八ツ場ダムの復活を政権公約違反と追及した。自民党が推進してきた政策を民主党が推進するのだから、茂木議員は民主党を賞賛しなければならないところだが、民主党の公約違反を追及することで、ダメージを与え、自民党の浮上をねらっていることは透けて見える。

だが、その自民党は、今後3年間を「国土強靭化集中期間」として防災設備に15兆円を集中投資し、10年間で200兆円の国債を発行して公共事業を行うという「国土強靱化基本法案」を6月4日国会に提出したのだ。民主党以上の赤字推進政党なのだ。これで消費税増税路線の説明がつかなくなるはずなのに、マスコミが応援している。

こうして自民民主の政策はほぼ同じ状況になった。大型公共事業の復活、消費税増税・福祉削減・日米同盟深化がまさにそうだ。経団連会長の言うように財界の思うとおりになったということだ。これぞ国民いじめの典型だろう。

7.そこでだが、自民党は、その違いを鮮明にするための方便として増税と社会保障の一体改悪の際に強調していた「自助・共助・公助」論を、「自助を基本に、足らざるところを共助・公助で補う政府の体系をつくっていく」と持ち出してきたのだ。

「朝日」は「『自助自立』は『小さな政府』を志向する新自由主義だけでなく、財政再建派の理念とも共通する」などと、「ばらまき」をしてきた自民党政権とそれを批判して政権を奪った民主党が、自公野田派に変質し、民主党の野田政権と新自由主義政策を推進してきた旧自公政権派の野合を免罪し、国民の批判を逸らそうとするのだ。

8.自民党の「保守先鋭化」が同じ穴のムジナ化した民主党との「差を鮮明にするため」の手練手管であることを「朝日」は語らないし、「政策的な間違いがあったというよりも、むしろ党の体質に多くの国民が不信感を持った」と総括したという。「党の体質」そのものが「政策的間違い」だったことを指摘していない。国民いじめの破綻を教訓化できない自民がある。

9.このことは09年と10年の選挙で獲得した自民民主の票の低下の原因が、消費税増税と社会保障の改悪に対する国民の批判であることを覆い隠すものである。

2009年 自民18,810,217 民主29,844,799 合計48,655,016
2010年 自民14,071,671 民主18,450,140 合計32,521,811
自民4,738,546  民主11,394,659 マイナス16,133,205

10.自民が進める政権回帰策は、策に溺れる断末魔だということだ。政権ほしさに自民の軍門に下った民主の末路も日に日に現れてくるだろう。

再稼動に反対する国民の運動は止まらないだろう。原発ゼロに向かって走った国民のエネルギーを止めることはできないだろう。

オスプレイ配備に反対する全国各地の自治体の動きもそうだ。日米安保の矛盾は国民の知るところとなった。

消費税増税によって社会保障が削減されることは自民によって、ますます明らかにされるという皮肉。これによって増税に賛成した自民への信頼は、また屈服した民主への反乱は止まらないだろう。

後は、この国の、これまでの枠組みを本当の意味でぶち壊していく勢力が、選挙で伸びるかどうかだ。フランスのように。ヨーロッパのように、だ。

この国の腐りしものにメスを刺す鋭き民の力の限り


「朝日」の記事を以下掲載しておこう。

 「生活保護をもらえなきや損というゲーム感覚だ」「働かざる者食うべからず運動をしないといけない」
今年3月、参院議員の世耕弘成(49)を座長に自民党にできた、生活保護に関するプロジェクトチーム。一部の受給者をやり玉に挙げる声が噴出した。
議論は5月に党が発表した次期衆院選の政権公約案に反映された。社会保障政策は「自助を基本」とし、給付水準の1割減や医療扶助の適正化など「生活保護の見直し」を目玉にする。
議員らがよりどころにするのは、元幹事長の伊吹文明(74)が座長の政権構想会議を中心に、2010年1月に改定された党綱領だ。
 野党転落後、自民党は「党の原点」を改めて構築しようとした。総選挙では民主党から小泉構造改革による格差拡大などを厳しく批判されて大敗したが、政権構想会議では、敗因を「政策的な間違いがあったというよりも、むしろ党の体質に多くの国民が不信感を持った」と総括した。
 新綱領では、日本人について「勤勉を美徳とし、他人に頼らず自立を誇りとする国民」と規定。「自助自立する個人を尊重し、共助・公助する仕組みを充実する」と掲げている。
「自助自立」は「小さな政府」を志向する新自由主義だけでなく、財政再建派の理念とも共通する。伊吹は当時、民主党の看板施策の子ども手当や農家への戸別所得補償を「ばらまき」と批判。「国民生活に政府が関与する政策を恒常的にやると、人間は弱いから、自立と自助の心根がなくなる」と指摘した。
 保守色の強い野田佳彦(55)が首相になると、自民党は民主党との差を鮮明にするため、「自助自立」をより前面に出し始めた。総裁の谷垣禎一(67)は3月、公約案の骨格とした「谷垣ドクトリン」で、新綱領にはない「自己責任原則」という言葉も使った。
さらに「国としても自立する」(谷垣)という文脈で、公約案では憲法改正も目玉にした。「天皇は日本国の元首」とし、自衛隊を「国防軍」と位置づけたのをはじめ、国家の存在感や公の秩序を強調する。
「保守の先鋭化」が進むのに対し、党内から反論の声はほとんど上がらない。
 元幹事長の加藤紘一(73)は「自民党左派のリベラルは、幅広い国民政党としての責任感で『包括』する努力をしてきた。だが政権交代で『それは(民主党に)もうお任せします』と安心し、保守純化の路線を歩み始めた」とみる。
 かつて、保守からリベラルまで幅広い勢力を集める「包括政党」としての性格が強かった自民党。そんな「懐の深さ」は、失われつつある。 (おわり)=敬称賂(園田耕司)

谷垣禎一・自民党総裁の話
 野党になった後、右肩上がりの時代に出来たことが本当にいま出来るのだろうかという思いはあった。我々は社会主義的な大きな政府を目指すのではない。自助を基本に、足らざるところを共助・公助で補う政府の体系をつくっていく。
党内で「小泉構造改革は誤りだ」との議論もあったが、社会保障の効率化は捨ててしまってよい話ではない。
(引用これまで)

-経団連会長、小沢氏新会派名に苦言 「中身伴わないと」2012年7月9日19時53分
 経団連の米倉弘昌会長は9日の記者会見で、民主党から除名処分になった小沢一郎元代表らの新会派「国民の生活が第一」に苦言を呈した。「(会派名は)中身が伴っていないといけない。増税反対、脱原発だけではなく、財政再建、成長についての政策を示さないと。党首にそうした政策まで一任するとは、どういう人たちの集合なのか」と、厳しく指摘した。
 民主党分裂後の政治運営については、与党が衆院で過半数割れしていない現状を踏まえ、米倉会長は「野田政権が重要な山積する政策課題に全力投球できる状況になった」と、前向きな見方を示した。
http://www.asahi.com/politics/update/0709/TKY201207090291.html?ref=reca