39ギター

35年ぶりに弾き始めたクラシックギター
神経痛と戦いながら
どこまでバッハに迫れるか
蝶も花もアーチェリーもあるよ

<ポリフォニーの小宇宙>

2012-12-16 22:38:59 | バッハ

こんばんは
明日から仕事と言うアンニュイな気分ではありますが、次期政権が昔の自民党一党政権にもどり景気への期待感ばかりが先行しています。
まあ、世の中なるようになる。
・・・
今日も昨日に続き、インベンションを聴き比べています。
比べてどうかと言われるとその違いを評論家然とした口調で表現する能力もないし、やっぱり違うなあと言った感じです。
ただ、グールドの演奏順とシフの演奏順の違いは<インベンションとシンフォニア>全体のイメージにはっきりと影響しています。
インベンションはバッハが長男のために書いた練習曲集であることは間違いないようですが、バッハがその中で何を教えようとしたのか、解説文を少し引用すると
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最終稿の序文の中で、バッハ自身がこの疑問に答えている。
「クラビーアの愛好家、とりわけ学習希望者が、ます2声部をきれいに弾き分けるだけではなく、さらに上達したならば、オブリガートの(=楽譜通り演奏すべき)3声部を正しくそして上手に処理し、それと同時に、すぐれた楽想(インベンション)を得るだけでなく、それらを巧みに展開すること、そしてとりわけ、カンタービレの奏法を身につけ、それとともに作曲の予備知識を得るための、はっきりとした方法を示す率直な手引き」
つまり、バッハはここで、2声部および3声のポリフォニーを巧みに弾き分け、しかも各声部をカンタービレに、つまり演奏者に個々の声部を心の中で歌うように弾くことを要求している。しかしそれと同時に、すぐれた楽想(主題)を思いつき、それに基づいていかに音楽を作っていくか、その範例を示そうとしたのである。
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シフの番号順の演奏順序は練習曲として2声および3声を上手に処理することを示し、その上で楽想を表現しようとする標準的なものだ。
グールドの演奏順は調の変遷と各調の2声と3声を続けて演奏することで、一種の変奏のようなドゥーブルのようなまたプレリュードとフーガのような組み合わせのような流れを作り調の変遷も相まってダイナミックな組曲的な相乗効果を得て、30曲全体で一つの<ポリフォニーの小宇宙>と言ったような壮大な楽想を醸し出している。
これがグールドのバッハの世界と言うことだろう。
おっと、評論家気取りの文章になってしまったが、どちらも魅力的な演奏でありこれぞバッハと言うことだ。
バッハのクラビーア曲は他に、<イギリス組曲>・<フランス組曲>そして、平均律クラビーア曲集>等があると言うことで、ますますアナログ盤収集熱に火がつきそうだ。