野の花 大好き

田舎暮らしの日記より

あれから

2012-02-22 19:52:08 | 

あれから十三年
空港に彼を迎えに行く
特徴ある歩き方
カバンはやはり茶系のショルダー
懐かしい顔
どのように声をかけたか思い出せない
ただ、まじかで眼を合わす
無口な横顔は何も変らない
ダムは完成したんよ
私が沈黙を破って声をかける
そう・・
言葉は続かない
暗くなった灯りの向こうに
記憶を辿るように目を向ける
あの頃、この道を何度も往復した
ダムの工事が成されてて
ダンプとよくすれ違ってた・・

今日は
娘に代わりに私が迎える
優しい父の顔をもつ強い男
あなたが選んだ人だけはあったて事
偉くはならないて言ってたけど
部下もいるて・・
変わらないのは彼もきずかぬ
彼の癖

仏壇に手を合わせ、墓所の雪を払い
いつまでも、立ちつくす
今日はあなたの彼なのです

大好きだって言った花
ガーベラを籠いっぱいに
お供えした彼は
一夜にして枯らした この寒さ
指先で色あせた花びらをなで

今日はあなたの十三回忌


たんぽぽの夢

2009-05-05 16:06:26 | 

たんぽぽの夢

五月の午後
たんぽぽは 夢をみた
あの青い空に吸い込まれるよう
風にのり  どこまでも
自分の暮らした田んぼの畦が見えなくなるまで
たかく たかく ふわふわ ふわふわ
飛んでいる
群青の海や砂漠の国
氷と雪の国をぬけ 落ちないように祈った
ふわ ふわ ふわ ふわ 
みあげると金色につつまれた光の中
身につけてた白い綿毛は銀色に輝いて
たかく たかく きらきら きらきら
たんぽぽは 夢をみた



 


雪の朝に

2009-01-24 22:07:33 | 
  •   あの日も こんな雪の朝           一面しろく染まってた       母の旅立ちにふさわしい 叔父がぽっりと 呟いた         七十八歳 人生の十八年は寝たきりで                                童女の如く 微笑んで     父の そばに 逝きました            しっかり者の 母の子は                                     期待どうりに 人生を                                 歩んでいるとは いい難く                            母に ごめんと 呟いた                             あの日も こんな雪の朝                             すべて白で おおってた