会津天王寺通信

ジャンルにこだわらず、僧侶として日々感じたことを綴ってみます。

天変地異や疫病の時代だからこそ『方丈記』 柴田聖寛

2020-03-27 08:11:41 | 読書

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。世の中にある、人と栖と、またかくのごとし」。鴨長明の『方丈記』の冒頭の文章です。
 私も日々思いついたことを書いていますが、時の流れが早いのにはビックリします。2011年3月11日の東京電力福島第一原発の事故から9年目を迎えました。あのときは本山のある関西に向かい、そこで天台宗のお寺様を始めとする各種団体からの支援物資を提供してもらい、それをトラックに山積みしてから福島県に取って返したのでした。私は60代でまだまだ馬力がありました。
『方丈記』を読んでいますと、私には過去も現在も同じように見えてなりません。「会津天王寺通信」で私が書いていると、自分が鴨長明になったような気さえします。それほどまでに「ゆく河の流れは絶えずして」という言葉が身に沁みてなりません。
 『方丈記』には「それ、三界は、ただ心一つなり」という仏教の哲学が述べられています。心の持ちようによって、世界は違って見えてくるというのです。
 戦後生まれの私は、食糧難、オームによるサリン事件、東日本大震災と福島第一原発のメルトダウンといったように、幾多の試練を体験しました。そして今回の新型コロナウイルスです。鴨長明の「世の不思議見る事、ややたびたびになりぬ」という思いは、今の私の心境でもあります。ぜひ皆さんも『方丈記』をお読みになることをお勧めいたします。

                   合掌

 


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