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納税者の立場にたった税制、税務行政問題などを発信しています。

資本金の減少ー有償減資について

2011-10-27 13:14:59 | 税金問題
1,100万円の資本金で設立したA社には法人住民税の均等割が18万円課税されました。
あえて1,100万円にする理由はなかったのですが、資本金は多いほどいいとの話しを聞き1,100万円を出資したものです。
資本金が1,000万円以下ならば均等割は7万円です。そこでA社は資本金を1,000万円以下にすることになりました。この場合、減資と同時に剰余金の配当(株主への金銭等での払戻し)をおこなわなければなりません(有償減資)。無償減資の場合には資本等の金額は変わらないので注意が必要です。
A社は1期目に黒字となり、みなし配当が発生しました。
資本金の払戻し(剰余金の配当)をする場合には、その10分の1の金額を利益準備金として計上しなければなりませんので注意が必要です(会社法445条4項)。
計算の結果、A社は113万円ほどの減資をおこなうことになりました。
減資をするには会社の債権者に公告をしなければなりません。公告費用もかかります。
一方、会社設立時の資本金を1,000万円にした場合、1期目から消費税の課税事業者となります。したがって、小規模な会社ならば、会社設立時の資本金は1,000万円未満にするのが賢明といえましょう。

休眠会社の税金について

2011-08-25 14:16:45 | 税金問題
景気の悪化で会社を解散したり休眠にする会社がふえています。
休眠にした場合、税務署や都道府県、市町村に「休眠の届出」を提出します。しかし、この休眠の届出は法的なものではなく、この届出によって税金が免除になるものではありません。
法人住民税の均等割は休眠中であっても課税されるものです。資本金が1000万円以下でも7万円かかります。仕事がなくて休眠せざるをえない会社にあってはこの均等割は大きな負担になります。
この均等割については、休眠が認められれば免除してくれる自治体もあるようです。
また、店舗や事務所もなく会社の実態が全くないと判断して免除になるケースもあります。均等割の免除ができるかどうか都道府県・市町村に相談することが大事です。
休眠中の会社の本店を別の場所へ移転して免除となった例もあるようです。
また、株式会社にあっては、役員変更登記を役員の任期切れにあわせておこなわなければなりません。役員変更登記に登録免許税が1万円かかります。役員変更登記をおこたり登記懈怠で裁判所から罰金がくる場合があり、これも休眠会社にとっては悩みの種です。
会社法の改正にともない、役員の任期を10年に伸ばすことによって役員変更登記費用を少なくするようにした会社もふえています。
詳しくはおたずねください。

東日本大震災に関する税務について

2011-07-20 13:18:04 | 税金問題
主なものを要約しました。詳しくはおたずねください。
◆申告・納税等の期限の延長等について
1 岩手、宮城、福島の地域では7月14日現在、平成23年3月11日以後に到来する申告・納税等の期限が、すべての税目について、自動的に延長されています。したがって、申告書や納付書は税務署等から送られてきません。
2 青森、茨城の地域では平成23年3月11日以後に到来する申告・納税等の期限が平成23年7月29日となりました。
◆法人税関係
1 震災損失の繰戻しによる法人税額の還付
繰戻対象震災損失金額がある場合には、前2年以内に開始した事業年度の法人税額のうち繰戻対象震災損失金額に対応する部分の金額の還付を受けることができる制度が創設されました(平成23年3月11日から平成24年3月10日までに終了する事業年度)。白色の法人も受けられます。
繰戻対象震災損失金額とは、被災した棚卸資産、固定資産等の現状回復のための修繕費用や震災による資産の滅失損や評価損も含まれます。
2 被災代替資産等の特別償却
大震災により滅失し、または損壊した建物、構築物、機械及び装置、船舶、航空機若しくは車両及び運搬具に代わるものを取得した場合(平成28年3月31日まで)の償却限度額は、通常の減価償却費と、取得価額に次の割合(%)をかけた特別償却費の合計額とする。
割合は中小法人の場合で平成23年3月11日から平成26年3月31日まで。()内は平成26年4月1日から平成28年3月31日まで。
建物又は構築物18%(12%)   機械及び装置 36%(24%)
船舶、航空機又は車両及び運搬具 36%(24%)
3 特定の資産の買換えの場合等の課税の特例
平成23年3月31日から平成28年3月31日までの期間に、次の買換えをおこなった場合には、その譲渡をした資産に係る譲渡利益金額に相当する範囲内で圧縮記帳ができる制度が創設されました。
イ 平成23年3月11日以前に取得した被災地域にある土地、建物、構築物から国内にある土地等又は国内にある事業用に供される減価償却資産への買換え。
ロ 被災区域以外の土地等、建物又は構築物から、被災区域である土地等又はその土地の区域内にある事業の用に供される減価償却資産への買換え。
4 災害損失特別勘定の設定
災害により被害を受けた資産の修繕が災害を受けた事業年度におこなわれない場合でも、その修繕費用の見積額を災害損失特別勘定として経理した場合にはその金額を損金算入できることとなりました。
次年度に修繕がおこなわれた場合、その修繕費を費用処理し、災害損失特別勘定を益金算入します。
次年度も修繕が完了しない場合、災害損失特別勘定の益金算入時期の延長を申請することができます。
◆所得税関係
1 雑損控除の特例と災害免除法
住宅や家財など生活に必要な資産に損害を受けた場合、損害金額にもとづき計算した金額を平成22年分又は平成23年分の所得から控除することができます(「雑損控除」)。
また、住宅と家財の価額の2分の1以上の損害額がある場合には所得税の軽減免除があり(「災害免除法」、損害を受けた年分の所得金額が1,000万円以下の方に限ります)、どちらか有利な方法を選択できます。
2 雑損失の繰越控除の特例
震災による損失金額で控除しきれない控除額は、翌年以後5年間繰り越すことができます。
3 源泉所得税の徴収猶予・還付
大震災により住宅や家財などに損害を受けた方で、雑損控除の適用を受けようとする方、又は、住宅や家財の損害の割合が50%以上であり、平成23年度の所得金額が1,000万円以下になると見込まれる方は、申請にもとづき、平成23年中に支払いを受ける給与等・公的年金等・報酬料金について、源泉所得税の徴収猶予や既に徴収された源泉所得税の還付を受けることができます。
ただし、大震災による損害につき、平成22年分の雑損控除の適用を受けた方で、繰り越される雑損失がない方、又は、平成22年分の災害免除法による所得税の軽減免除の適用を受けた方は、源泉所得税の徴収猶予や還付は受けられません。
4 住宅借入金等特別控除の特例
大震災により住宅借入金等特別控除の適用を受けていた住宅について居住できなくなった場合でも、残りの適用期間について引き続き特別控除の適用を受けることができます。
5 被災事業用資産の損失に係る取扱い
棚卸資産、事業用資産について大震災により生じた損失については、その損失額を平成22年分の事業所得の計算上、必要経費に算入することができます。
この場合、平成21年分から青色申告をしている方は、平成22年分の純損失が生じたときは、平成21年分の所得に繰り戻して所得税の還付請求をすることができます。
6 純損失の繰越控除
棚卸資産、事業用資産について大震災により生じた損失がある方の平成23年において生じた純損失の金額のうち、次のものは5年間繰り越すことができます。
① 保有する事業用資産等に占める事業用資産の災害損失額の割合が10分の
  1以上である方
 イ 青色申告の場合
   平成23年分の純損失の金額
 ロ 白色申告の場合
   平成23年分の被災事業用資産の損失の金額と変動所得(漁獲による所
   得)に係る損失の金額による純損失の金額
7 被災代替資産等の特別償却
法人と同様の特別償却があります。上記を参照してください。
8 特定の事業用資産の買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例
法人と同様に課税の繰り延べがあります。
◆相続税・贈与税関係
1 平成23年3月10日までに相続又は贈与により土地及び建物を取得した場合において、震災により、土地の地価が下落し、建物が被害を受けた場合には課税価額が減額されます。
2 被災地に一定の財産がある会社の株式等の評価額は相続時の時価によらず、震災後を基準とした価額によることができます。 
◆滞納・納税問題での緩和・減免制度
1 被災地域では、災害がやんだ日から2か月以内(延長可)に限り納期限を延長する制度があります(国税通則法11条)。
2 災害による納税の猶予…災害のやんだ日から2か月以内に申請することにより、納期限を1年の期間を限度として納税を猶予することができます。いわゆる分納制度ではありません(国税通則法46条1項)。
納税の猶予が認められた場合には延滞税のうち猶予期間に対応する部分の金額が免除されます(国税通則法63条2項)。
3 災害により納付が一時にできない場合に1年を限度に分納できる制度があります(国税通則法46条2項)。
4 換価の猶予…災害とは関係ありませんが、「納税についての誠実な意思」と「一時の納付が困難」という事実があれば検討の対象になります。「嘆願」、「請願」等により認められれば差押財産の換価はされず、延滞税のうち猶予期間に対応する部分の金額は二分の一免除されます。

震災後の税務調査・徴収について

2011-07-06 13:36:07 | 税金問題
東日本大震災以後、課税庁では、税務調査は継続している事案等をのぞいて新たな調査には着手していないようです。また、徴収でも、時効となる事案等をのぞき滞納処分はおこなっていないそうです。
震災以後景気が悪化して消費税を一括で納められない納税者と税務署へ分納の相談にいき、分割納付を認めてもらうとともに、換価の猶予ができないか相談したところ、その場で換価の猶予を認めてもらうことができた事例がありました。猶予をする金額が50万円以下の場合、担保を提供しなくともよく、猶予期間に対応する延滞税が半分になります。

緊急保証制度延長へ

2011-03-28 11:05:26 | 融資
3月末打ち切り予定だった「緊急保証制度」が半年間延長されることになりました。
東日本大震災の影響で営業不振におちいっている中小企業が多く、給料や仕入れ代金の支払い、借入金返済などが困難になっています。
私が所属する東京税経新人会は3月18日にこの緊急保証制度の延長や債務返済、税金の納付の猶予を国に求めていました。
資金繰りに苦しむ中小企業には朗報です。