世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●選挙を棄権すると云うことは 棄権した人々の権利が収奪される

2018年06月07日 | 日記
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●選挙を棄権すると云うことは 棄権した人々の権利が収奪される

安倍政権のモラルは、権力を維持するゲームと私的な利権構造の中にある。民主党が、官僚のサボタージュにより、無惨なかたちで下野して以降の日本の政治は醜悪なものになった。そもそもは、松下政経塾の出身の野田佳彦が、死に体政権を放棄するための”かたち作り”に、“社会保障と税の一体改革”等と云うネーミングで妥協して、下野を承知の自爆解散をしたことに端を発している。

個人的な印象だが、鳩山由紀夫と云う理想主義的夢想家が、小沢一郎との連携を強化を嫌ったことによって、09年の日本の政治史にきらめく筈だった、政権交代の地図を消し去った。今さらだが、あの時、鳩山が、連合や松下政経塾勢力と手を結んでいなければ、日本の政治は大きく変わっていたものと思われる。少なくとも、日本会議と経済界の政治にはならなかった。当然、安倍晋三は腹痛で死んだままで済み、自民党は石破が総裁になっていただろう。

しかし、現実は違っていた、世にも不思議な物語だ。菅直人が、官邸の統治機能をガタガタにしてしまい、官僚機構が好き勝手に動く癖を助長した。無論、他のことに目配りの出来ない、東日本大震災が起きた事情もあるが、本質的には変らないだろう。その後、菅の後を引き継いだ野田佳彦は、財務省と組んだ。そして、“社会保障と税の一体改革”で、安倍自民党と握った形で解散総選挙に出た。その時点で、民主党の下野は、決定的だった。税の方は消費税5%から8%まで上げられ、10%も射程に入っている。一体で改革するはずだった社会保障は国民に痛みを強いるのみである。

思えば、政権交代が起きた09年の衆議院選挙という国政選挙の投票率は、69.28%だった。その後、有権者、特に無党派の政治離れは急速に進み、12年総選挙では、戦後最低の投票率59.32%に落ち込んだ。その後、安倍政権下での総選挙では最低を更新、52.66%、53.68%となっている。衆議院選挙で、投票率が50%台になってしまえば、民主主義選挙は構造的に、民主的制度ではなくなる。つまり、利益団体の政治集団が勢いを増すのは常識になる。

50%前後の投票率になると、結果的に、有権者全体の20%を切る支持でも、その政党は政権政党になれると云う、不思議なことが起きてしまうのが小選挙区制度なのである。しかし、今ここで、選挙制度を云々を議論しても意味はないわけで、投票率を70%に近づける、何かが必要になると云うのが、我が国の民主主義の課題なのだろう。

昨日のコラムで、国民投票は、さすがに70%程度になると書いたが、衆議院選も、このレベルの投票率を確保しないと、一定の政治プレッシャー勢力の互助装置として政権が動き、政治は、その方向で進まざるを得なくなる。このような欠点だらけの政権が、現在目の当たりにしている安倍政権なのである。このまま、有権者が坐して死を待つ気持ちのままでいると、金持ち優遇のまま税制は動き、社会保障費の負担は増え、現実の社会保障は減らされると云うの筋書きが実行される。

それだけなら、臥薪嘗胆、頑張る手が国民に残されるのだが、このような投票率が続くと、政権にイデオロギー的な動きが起きてしまう。有権者全体の20%を切る支持で政権の座に就ける事実は、官僚機構、日本会議的有権者、経団連、商工会、警察・検察・裁判所等々の各イデオロギーの実現国家になる危険が生じ、早い者勝ち競争のような自己矛盾した、イデオロギー(利益追求)の混在国家が誕生する。

まさに、安倍政権の姿が、それを具現化していると考えて良いだろう。これらの望むものを与え続ければ、国民そのものを、その利益追求に献上するしかなくなるわけで、随所で、棄民な政策が実行されることになるだろう。投票率の低下が引き起こす問題は、単に、固定票を持った自民党が勝つだけではなく、上述したような組織票を優遇することなので、国家財政の財布の中身が限定されている以上、政策は棄民政策にならざるを得ない。

多くの国政選挙を棄権に回る有権者は、“どうせ政治なんて変らない”という心境なのだろうが、上述のように、投票率の低い選挙が続くと、“変らない”ではなく“変るのだ”ここが一番の問題だ。無党派が投票行動を起こさないと、政治は変らないのではなく、変るのだ。その変わりようは、棄民政策の方向に変るのだ。つまり、無党派層の利益を代表する圧力がないのだから、圧力勢力に利益を分配するために、無党派層の利益を収奪する政治が行われる。

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