世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

生臭い政局の話 野田内閣はいつまで持つか?最長来年の4月まで

2011年11月21日 | 日記
震災復興とTPPを語る―再生のための対案
鈴木 宣弘,木下 順子
筑波書房


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生臭い政局の話 野田内閣はいつまで持つか?最長来年の4月まで



  野田佳彦のファシズム体質は拙ブログ「低姿勢、新種のファシズム野田政権 小沢は判決前に動くか?黙認 か?」でも触れたが、国会では“米つきバッタ”の如き低姿勢にして慇懃無礼に徹し、美辞麗句を並べたて、何もかも自分の考えのすべては“国益”に由来すると強弁する。党内の半数にのぼる反対意見も、議論の場は提供するが、その議論の結論は無視する。無視できないと感じるや、海外と国内で言い回しを官僚の浅知恵を借り糊塗せんとする。TPPも消費税増税も、彼にとっては既定路線と云う決意だけは固いようである。明らかに議院内閣制の本来の趣旨を蔑に、専ら国会運営のテクニックに縋る政治をしていると観察できる。

 ≪ 消費増税「年内に結論」=米のアジア重点戦略を歓迎-野田首相
 【ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)時事】野田佳彦首相は19日午後(日本時間同)、インドネシアのバリ島で記者会見し、消費増税を含む税制の抜本改革について「年内をめどに結論が出るよう、政府税調を中心に議論を深めていく」と述べ、年内取りまとめに決意を示した。
 ただ、消費税率を引き上げる時期と幅を盛り込む準備法案については「(来年の通常)国会が始まって、国会に法案を提出するときに閣議決定する」と指摘。自民、公明両党との政策協議を念頭に、法案提出前の政府方針の修正に柔軟に応じる考えを示唆したものだ。
 また、2012年度予算編成に関し、新規国債発行額を約44兆円以下に抑えるとした中期財政フレームに触れ「順守できるように最大限努力するのが基本的な姿勢だ」と強調。財政規律に引き続き配慮する姿勢を示した。
  オバマ米大統領がアジア太平洋地域を安全保障戦略の最重点地域と位置付け、海兵隊をオーストラリア北部に駐留させる方針を打ち出したことには「歓迎すべきだ」と表明。「日米同盟はアジア太平洋地域の公共財だ。同盟を通じてこの地域の平和と安定に貢献していきたい」と、地域の安全保障での指導力発揮に意欲を示した。≫(時事通信)

 何とも不思議だが、菅も野田も海外に出ると口が滑らかになる。何か薬でも盛られたのでは?と心配になるほどだ。菅にも野田にも共通の政治リーダーとしての大欠点がある。小泉純一郎と云う政治家にも共通する欠点だ。それは、政治力を支えるバックボーンが極めて脆弱と云う事だ。彼らの政治手法を観察すると、国民的興味が湧くイシューを提供し、如何にも自分はそこに向かって邁進する姿を演じる事である。野田君の場合、TPP、日米同盟、消費税増税がイシューだ。経団連奴隷、米国奴隷、財務省奴隷の3点セットなのだから、彼の政治感覚からすると、鬼に金棒なのだろう。党内軽視、国会軽視、震災復旧予算の速やかな成立など、後の後と云う感じなのは、その辺に由来する。つまり最終的には国民軽視と云う事だ。既得権益に沿った政策に邁進する限り、日本国家の屋台骨である、米国、霞が関、経済界を後ろ盾にするのだから、怖いものはない。

  しかし、米国からの圧力だから仕方ないと云うことなら、何も民主党である必要もない、小泉自民党政策のバージョンアップだ。日本国家をこれ以上米国化してどうする?今にも壊れかけている虚構の巨人に怖れをなして、いまましい奴らだ。おそらく、現在TPPに賛成している霞が関も経済界も、最終的には甚大が損害を受けるのがTPP・米国化政策である。自由な殴り合いで雌雄を決した結果が“オキュパイ・ウォール街”だ。1%の有能な人間が富を独占する方が経済合理性に適うと云う国家思想を受け入れ、太平洋の藻屑になろうというのか!

 此処で一つだけ抜け落ちているモノがある、それが選挙だ。小沢一郎は口が酸っぱくなるほど苦言を呈している、国民を蔑にした政治手法は滅びると云う部分だ。おそらく筆者の推測では、野田佳彦は次回の衆議院選で民主党が過半数を取ることはない、と云う予測の下で動いているのだと思われる。つまり、近々民主党は与党ではなくなると読んでいる。その上で、民主・自民共に過半数には達せず、連立含みの与党が成立すると読んでいるのだろう。その連立する与党は民主でも、自民でも構わない。ただ、その連立のキーワードは“米国、霞が関、経済界をバックに”と云う共通項を有する政治勢力の結集だ、と意識している様子が窺える。

 当然、その共通項が政界再編の原動力になるに違いないと仙谷・菅・前原・野田らは考えているのだろう。つまり、野田らは、次回の衆議院選で現有301議席は絶対に取れないし、240議席と云う過半数の堅持も端から放棄している、とみるのが妥当だろう。小沢一郎が“今すぐ選挙が行われれば、50人戻ってこれるかどうかだ”と語ったらしいが、多少大袈裟だとしても100~150人程度しか戻れないのはたしかだ。またその際“年が明けると、翌年が選挙という空気が漂う。地元に張りついて、ドブ板で頑張れ”と若手を鼓舞したようである。

 つまり、今の民主党であれば、衆議院選で大惨敗が必定だと予測している。おそらく国民の多くが、次期衆議院選は民主党の惨敗と云う点ではコンセンサスさえあるかもしれない。小沢は、現在首相に就いている野田が、菅内閣と同じ路線を突っ走る限り、浮かぶ瀬はないと言っているわけだ。政治権力闘争と云う面だけみれば、切りの良い年内に民主党を離脱、新党結成が正論だ、くらいは百も承知だ。ただ、広義の権力闘争においては、自らの裁判を被告として迎えているだけに、“そんなの関係ねぇ”では済まされないわけである。

  法的に有罪になりようがないと確信していても、石川議員らの一審判決のように、推認の連発と云う判決が平気でまかり通るわけだから、自分も同じ目に遭う可能性は捨てきれない。最高裁事務総局が小沢陸山会裁判の指揮権を持っている以上、その最高裁事務総局に裏指揮権を発動できる唯一の権力、内閣総理大臣との距離感は推し量らざるを得ないのが真実だ。つまり、野田総理の行状を強く咎め、歴然と反旗を翻す事は慎まざるを得ないのだ。

 明らかに、「国民の生活が第一」とは似ても似つかぬ、既得権益御三家とのランデブー政権運営を認める事は出来ないので、現時点ではノラリクラリの意志表示に徹する手法を選ばざるを得ない。腹の中では、来年秋の民主党代表選に出馬、09年政権交代時の民主党を蘇らせる離れ業は不可能に近い事を知っているだろう。民主党Bに破壊された民主党と云う政党の現実を直視するしかなくなっている。もう、民主党の再生は困難だろう。此処まで菅・野田によって「国民の生活が第一」を土足で足蹴にされた以上、出直しは致し方ない選択だと思う。

 TPPの実態が判明するに従い、反TPP圧力団体の団結は強くなるだろうし、党内の反TPP勢力の舌鋒も鋭くなる。まして、年内に消費税増税を党内で纏めようと云うのだから、本来であれば党解党を目指している政権のようにさえ見える。野田君の行動は、民主主義の基本である与党勢力の議席数を分割してでも、既得権益の御三家への恭順の意の方が優先すると言っているのと同義だ。「国民の生活が第一」もへったくれもない民主党に未練のない議員。或いは一定の起爆剤がないと到底選挙に勝ち残る目のない議員達は捨て身になるだろう。だからといって、一気に民主党を与党から引きずり降ろす議員数の離党は賢明ではない。少なくとも来年3月末の一審判決が出るまでは、野田に総理をさせておかなければならない事情がある。

  筆者のシナリオに過ぎないが、政党助成金の対象になる新党を、小沢支持議員の離党とは判然としない枠組みで20~40人程度の離党はあっても良いのだと思う。参議院でのネジレだけではなく、衆議院のネジレまで気にしなければならない国会運営において、TPPとか、消費税増税とか、生意気な事が言えない状況を作り、大震災の復旧と原発対策専用内閣に格下げするのが妥当な選択ではないかと思考する。


始まっている未来 新しい経済学は可能か
内橋 克人,宇沢 弘文
岩波書店



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