世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●システムの欠陥を証明する 欧米デモクラシーのグローバル化

2014年09月22日 | 日記
グローバリズムが世界を滅ぼす (文春新書)
クリエーター情報なし
文藝春秋


ランキング応援よろしくです
人気ブログランキング

●システムの欠陥を証明する 欧米デモクラシーのグローバル化

 オーストラリア・ケアンズで開催している主要20か国(G20)財務相・中央銀行総裁会議が終了した。特に目新しい動きはなく、参加各国の、金融危機後の回復状況がバラバラで、グローバル経済下で恩恵を受けていた国々でも、そのダメージから充分に回復、経済成長の足取りがまちまちだと云うことを確認するような会議になっている。ルー米財務長官は、己の国家が巻き起こし、巻き散らかした「世界金融危機」が火星ででも起きたことのように、評論家気取りで、色々とコメントしているようだ。アメリカと云う国は”説教強盗”にかなり近い存在である。

 手に触れるモノの存在ではなく、貨幣という観念的なものが主体となる「金融資本主義」は、理論であるとか、金融システムとか、理屈という人工的な人間の行為で起きる資本主義である。このような「金融資本主義」は人工的なDNAを有する国家では有効で、有利な戦場になるのだが、自然国家においては、歴史や文化伝統などが自然発生しているために、容易にコントロール出来ないのは当然なのである。盗人猛々しいとでも言おうか、自分が得意な土俵上で、「お前らは下手糞だ。もっとチャンとやれ!」と主張しているのが、ルー米財務長官だ。自分たちが惹き起こした火事を、火消しの方法も考えていた消防士が上手に火を消しただけのことであり、火の粉をかぶった燐家や隣町は消化に戸惑い、動きが緩慢なのは当然である。

 この人工国家は、その金融パニックを、何と云うことはない、再び金融バブルを再燃させることで乗り切ろうとしている。その煽りを受けたEUや日本は、同じように財政出動やら、公的資金投入やらで、その場の凌ぎの為政に四苦八苦している。中国はグローバル化によって急成長もしたが、更なるグローバル化によって、その勢いを削がれつつある。ロシアは、ネオコン及びNATOの傀儡どもに喧嘩を吹っかけられ、幾分切れたら、今度は「お前はヤクザだ!」と罵られ、西側プロパガンダ相手に外交経済で四苦八苦させられている。G8などと云う意味なき会議から放逐までされている。まあ、中国もインドも参加していない、唯我独尊のような思い上がり会議など無視しても良いのだろう。

 戦後の戦勝国中心に組み立てられた国際連合という機関の役割もほぼ出尽くしたような印象がある。G8もG20も、その機能を発揮できなくなっている。小国にも、一票を与える見せかけの平等と、敗戦国封じに連合をつくろうとした。しかし、途中から東西冷戦を迎え、戦勝国の結束は脆くも崩れ去り、国連の結成時の思惑はぐちゃぐちゃになってしまった。ソ連の崩壊で、もう一度巧くいくかと思ったが、安保常任理事国の枠組みを変えることも出来ず、国連の本来の目的は、殆ど機能しなくなってきている。

 こうした現象は、自由と平等を理念とする、キリスト教的デモクラシーそのものが、自らの理念を貫こうと努力したがため生まれた問題ではあるが、同情には値しない。何故なら、彼らの理念は、欧米にとってという心根があったわけで、到底ユニバーサルな理念の追求ではなかったのだから、綻びるのは自業自得である。これだけ理念と欲望がミスマッチしてしまえば、システムは各々の部分で勝手な動きをすることになり、制御不能というのが妥当な見方だろう。小国は、覇権国の怖さへの恭順の意に対する報酬を求めるし、その報酬を覇権を取り巻く衛星国に求めるわけだが、言うことを素直に聞く衛星国は減ってきている。

 このような動きだけでも充分に厄介だが、その上にBRICsなど新興経済発展諸国の権利主張が抬頭し、その上、イスラム世界の民族宗派による勢力争いが加わるのだから、余程の力の違いがない限り、これらの争いごとを丸く治める能力は、どの国家、勢力にも存在しない。核兵器がミサイルの高度化により、抑止力として効果を表すことより、持っていることのリスク、乃至はそれを利用したときの人類への影響などは、殆ど未知の領域であり、天に唾する行為である可能性も高いだけに、核が武力として有効なものなのか、正解すら出ていない。それならば、圧倒的武力だと言いたいところだが、これも象徴的テロ行為によって対抗されるわけで、圧倒的武力さえも、時には諸刃の剣という色彩を持つ。

 さらに、歴史的民族のアイデンティティなどが参加する地球上の秩序は混迷を深めるばかりだ。善良ぶりたいアメリカは、自ら火付け盗賊をしながら、火消し役も買って出るわけだが、ITネットワークの発展が、経済的優位の地位をゲットしたバーターで、西側プロパガンダで世界の人々を言い包めることの出来ない反意的報酬も背負わされた。何やら四面楚歌に陥っているのは、実はアメリカ様である可能性すらある。安倍晋三が、まさかアメリカに同情して、追随しているとは思わないが、自分の立ち位置が見えないままに、目先の諸問題に立ち向かうと、現在のような相反な行動の連続を奏でるのだろう。財政再建と経済成長の両立など、どんな理屈をつけても無理筋で、この件に関して、経済学者は、何もわからずに「空気」で屁理屈をこねている。

 欧米型デモクラシーと経済のグローバル化は、本来の産業資本主義的成長の限界が見えた時点での切り替えが、金融資本主義であった点に、大きな過ちがあったのだろう。この大失敗に、流れのように追随する限り、閉塞は時間の問題であり、この誤った奔流(そのようにやってきたから)から抜け出す手立てを考えるべき時代に突入している。この時代感覚のキャッチアップを逃してしまうと、もう自力での脱出とか、真の独立国になる理想は永遠に訪れないだろう。独立に必要な資金が、今の日本には残されているが、50年後には、官僚と、そのパシリである政治家らによって食い尽くされ、独立を模索する資金不足に陥るだろう。

日本の地価が3分の1になる! 2020年 東京オリンピック後の危機 (光文社新書)
クリエーター情報なし
光文社


 ランキング応援よろしくです
人気ブログランキング


コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ●日本の生きる道はある 内需... | トップ | ●二つのコラムを読んでみる ... »

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ミジンコ)
2014-09-22 14:24:27
簡単に言えばB層を覚醒するには、メディアが真の魂を持つことに尽きる。しかしそのメディアは既存の権力層を超えることの出来ない腑抜け集団とならざるを得ない状況だろう。ファッションビジネス感覚で世論を形成する報道姿勢が、もはや常態化していることはなんともお寒い。根は深いけれども、天秤の支点が正確な中立を目指さない限り、この問題の勝利は無いように思います。
返信する
悲しい話し (夢想正宗(胴田貫))
2014-09-22 15:23:10
悲しい話し
一昨日の朝日新聞見出しにもチラッと載ってた
ロシアのルーブルが史上最安値を付けた と EUなどの外資が西側制裁を恐れて引き上げた為と この朝日の記事自体胡散臭いのだが 安倍自民党政権や米国の片棒担いで ロシア叩き しかしロシアは盤石である 寧ろ困るのはEUの方で ガス供給や麦などの穀物類の輸入が止まったら大変な事だろう
しかし安倍は 性懲りもなくロシアのプーチン大統領と電話会談をしたようだ 片方で米国と日米同盟で歩調を合わせ その裏でロシアと外交とは 呆れて物が言えない
返信する
確かに (夢想正宗(胴田貫))
2014-09-22 22:08:42
確かにミジンコさんの言われる通り
マスゴミメディアの腐敗体たらくは スポンサーである 大企業に依存しているからである 昔は その逆であったが 今はスポンサーが上である スポンサー イコール大企業 イコール経団連 イコール 自民党政権と言う図式である であるからいとも簡単に世論誘導 プロパガンダ報道をする訳である やがて 集団的自衛権 特定秘密保護法の果てには 軍事協力が本質になるだろう 非常に危ない状況である
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記」カテゴリの最新記事