世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●入管法 立ちどまれと言われて、立ちどまる政権ではない

2018年11月27日 | 日記
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新 移民時代――外国人労働者と共に生きる社会へ
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●入管法 立ちどまれと言われて、立ちどまる政権ではない

日本民族に、あれほど執着しているネット右翼や日本会議、神社本庁などは、自分達のイデオロギーの中で、移民容認と云う事実を、どのような形で消化しようとしているのだろう。金のため、背に腹は代えられぬと云うご都合主義で切り抜けてしまうと云うのだろうか。まさに理解不能な人間たちだ。日本民族の、皇室含む伝統歴史文化が“いの一番”なはずなのに、彼らの口から、この問題への言及は少ない。不思議としか言いようがないのだが…。

まぁ、彼らだけが“ご都合主義”と批判される謂れはないかもしれない。立法府では、首相の外遊の都合で、議論せぬうちから、議論は充分に尽くされたと“一休さん”のような事を言い、人権蹂躙が大好きな法務官僚らが作った法案は支離滅裂、データの改竄まで暴露されている。本当に、こんな法律で、こんな議論のない中で“実質的移民制度”を導入して良いと云うことは絶対にない。移民制度導入の是非を考える前に、自分達の国は、21世紀、どのような国であるべきか、国民的コンセンサスが必要なはずである。

たしかに、安倍政権では、「この法案は移民法ではない!!」強弁しているのだから、彼らが説明する責務はないと思っているのだろう。いや、そのような態度で、何とか採決さえしてしまえば、と云う腹構えなのだろう。早い話が、50年以上前から判っていた人口減少になり、中小零細企業の労働力不足がひっ迫している事実はあるのだろう。この労働力不足層と自民党支持層はダブルことが多いので、直近の統一地方選の起爆剤として、安倍自民にとっては、喉から手が出るほど欲しい法案なので、強行採決すると云うことだ。

参議院選ではマイナスに響くかもしれないが、先ずは統一地方選で弾みをつけないことには、参議院選で戦えるツールを失うのが安倍政権なのだ。早い話が、政権運営の都合上、「移民制度導入法案」を可決しましたと云うのが本音だ。筆者は個人的には移民制度も悪くないと思うが、その前に、コンパクトな国づくりと云う概念が日本にはないのかなと云う疑問がある。定常経済社会と云う概念では、人口減少が急降下するようでは定常にもならないので、その定常を賄える程度の“移民枠”を国家の意志として国際的に宣言する必要があるのだと思う。

当然、移民を認めるわけだから、明確な規定を設け、移民を受け入れることになる。しかし、今回のハンチョロケ移民導入では、人格が見えてこない。日本社会で、日本人と同等の扱いを受け、日本に来ることで100万円単にの借金などせずに来日して貰う、制度設計が必要ではないか。一旦、移民として受け入れた以上、日本人と同等、或いは、経過的には、それ以上の支援制度をもうけるくらいの度量がないと、世界の労働力獲得競争で、大恥を掻くに相違ない。全然、応募がなかったら、大変に面白いのだが、さてさてだね。


 ≪(社説)入管法改正案 与党は一度立ち止まれ
 国会の自殺行為ではないか。
 出入国管理法改正案の衆院通過に向けて、自公両党が突き進んでいる。きのうは自民党の委員長が職権で法務委員会を開催し、野党欠席のまま議事を強行した。27日の本会議で一気に可決して参院に送る構えだ。
 朝日新聞の社説は、外国人労働者の受け入れ拡大に反対しているのではない。だが従来の政策を大きく転換するのだから、相応の覚悟と国内の態勢の整備が当然求められる。さまざまな観点から議論を重ね、疑問や懸念を消していかなければ、将来に大きな禍根を残す。
 ところが与党は、月末から安倍首相が外遊するので、とにかく急がなければならないと繰り返す。国会は首相の都合で動く下請け機関なのか。
 そもそも審議がスムーズに進まない原因をつくっているのは政府自身ではないか。
 外国人をどんな業種に、どれほどの規模で受け入れるのか。制度の根幹に関わる話なのに、政府が見込み数などを示したのは、本会議で趣旨説明がされた後だった。しかも根拠の妥当性は今もって不明だ。
 新設される「特定技能」資格と、現にある技能実習制度との関係も依然はっきりしない。
 政府は、新資格者の約半分、業種によっては全員が技能実習から移ってくる見通しだという。密接な関係にあるのは明白なのに、山下貴司法相は「二つは異なる制度で密接不可分ではない」と言い張り、実習制度が抱える問題の精査を拒む。
 かと思うと、改正法の成立・施行を急ぐ理由を問われて「来年4月より遅れれば、万単位の方々(実習生)が帰国してしまうから」と答える。支離滅裂ぶりは目を覆うばかりだ。
 信じがたい答弁もあった。
 日本で永住許可を得られる条件の一つとして、就労資格を持って5年以上在留することが定められている。だが法相は、特定技能の資格で働く最初の5年間は、この期間に含めないことを検討していると述べた。
 労働者だが「就労」はしていない。そんな話が通用するだろうか。新制度は移民の受け入れではないという無理な説明が、さらなる無理を生み、収拾不能に陥っている。
 日本語教育を始めとする支援態勢をどう整えるか。自治体の役割は。政府が約束する「日本人と同等以上の賃金」をどうやって保証するのか。これら重要な論点についても、国会ではまだほとんど審議されていない。
 立ち止まって議論を尽くす。その見識を与党に求める。
 ≫(朝日新聞2018年11月23日付社説)


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