世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

悪徳経済学者・竹中平蔵の騙しのテク 市場原理コンサル・大前研一のすり替え論

2013年04月01日 | 日記
神も仏も大好きな日本人 (ちくま新書)
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●悪徳経済学者・竹中平蔵の騙しのテク 市場原理コンサル・大前研一のすり替え論

 今日は、「日経BP net」の市場原理主義信奉者達のコラムを紹介する。日経新聞系の媒体は、既にTPP参加が前提の特集コラムや規制改革問題を頻発させている。彼らと云うか、日経にとって、市場で好き勝手に暴れる事が可能な日本と云う国家を望んでいる姿が露骨に現れている。TPPの交渉撤退などあり得ないと云う鼻息で、TPP、規制改革が前提の世論誘導に必死である。特筆すべき点は、彼らの多くが「農業問題」を中心に論を進めている点である。他の領域、工業製品・医療・金融・保険・公共事業等々の分野への言及は僅かだ。やはり、他の分野を言及は避けておきたいと云う意志、乃至は交渉内容に関する、然したる情報を把握できていない事を表している。

 4月1日現在の「日経BP net」のコラムの題名を拾いだすと、以下のようなものがある。≪TPPをてこに日本の農業を強くする発想を≫、≪労働市場の流動化」とともに「経営者の新陳代謝」も必要だ≫、≪成長戦略の策定に立ちはだかる「二つの構造問題」≫、≪既得権を崩す「新しい革新」が日本を変える≫、≪崩壊の危機に直面する日本の医療、重点分野への集約化が求められる≫≪「農業を成長分野に」でムダな補助金をばらまくのはやめるべきだ≫等々だ。

 しかし、TPPにせよ、規制改革にせよ、維新の会が考えている規制改革や統治機構の改革などは、この「日経BP net」に執筆している、竹中平蔵、大前研一、財部誠一、伊藤元重などだが、彼らが、何らかのミッションで動いているわけではないのだろうが、押し並べて強者の論理に貫かれている。言い換えるなら、金融資本の動きまわるスペースの拡張に論者として奮戦しているわけだが、逆に見ると、それだけ金融資本の動きまわるスペースが21世紀に枯渇した事実を表してもいる。

 自民党はまだしもマシな方で、維新などに至っては、弱者切り捨てどころか、中間層の人間まで切り捨てようと考えている。仮に、考えていないとすると、何をやっても上手く行かないのだから、何をやっても同じだろう。それなら、人気の出そうな、未だやっていない方向に向かっても、駄目なのは同じじゃん、と云う発想なのだろう。おそらく、竹中平蔵も、維新の会の顧問等に就任している論者たちも、責任ある立場で論を展開しているわけではないので、非人道的な事でも、美名のロジックで実験してみようとしている。

 安倍晋三にしたところで、失敗したら首相の座を追われるだけで、懲役刑や死刑になるわけではない。その点は、小泉、麻生、菅、野田がピンピン生きているのだから証明済みだ(笑)。結局、つまるところ、資本主義にとって、グローバル化が最期の逃げ場だったわけだが、そのグローバル化にも限界が近づいている証なのだろう。しかし、資本主義の限界を指摘する論者の意見を読んでみても、明日にも金融資本主義のプレイヤー達が消えてなくなるとは言っていない。努力に努力を重ねるわけだが、最終的にくたばると云うだけで、何時くたばるか、その辺はまちまちだ。ただ、その都度、バブルを起こし、経済的強者に水を補給するので、格差は益々拡がる。

 時期的に早い方の意見を参考にしても、おそらく中国やロシアなどBRICsで金融資本がひと暴れした後に起きると予測している。概ね、50年から100年先のようだ。問題は、カンフル剤的なバブルをどれだけ上手に創造し、破裂させ、収束するかの経済金融のテクニックの問題のようである。ただ、その都度、世界的に金融空間で蝕まれた資本が、その価値を失ってゆく。その先に何があるのか、誰ひとり、的確に説得力のあるイメージを提示しているわけではない。最後に、あまりにも怪しい竹中平蔵のコラムを参考に一本添付しておく。嫌がらずに、先ずは読んで、その騙しのロジックと議論のすり替えの上手さは一級品だ。是非、皆さまなりに検討して頂きたい。

≪ 「労働市場の流動化」とともに「経営者の新陳代謝」も必要だ
 成長戦略の要は労働市場とコーポレートガバナンスの改革だ。特に経営者は、解雇規制緩和を一方的に求めるだけではなく、みずからの痛みを伴う社外取締役の義務づけを推進するべきである。

 「成長会計」と呼ばれる概念
 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加の決断により、アベノミクスの3本目の矢である成長戦略に注目が集まっている。成長戦略を考える際に基本となるのが「成長会計」と呼ばれる概念だ。経済にはインプットがあってアウトプットがある。その関係性の中で、経済成長を見ていく必要がある。
 もちろん、成長会計におけるアウトプットは国内総生産(GDP)だ。GDPを増やそうと思ったら、インプットを増やさなくてはならない。インプットは 「資本」「労働」「生産性(技術進歩率)」の三つで構成される。
 産業競争力会議でも、成長会計の観点から成長戦略について議論している。まず、労働をどうやって増やすかということがテーマとなっている。
 日本は人口が減少している。そんな中、労働を増やそうと思えば、やはり女性と高齢者がもっと働けるような環境を整えなければならない。つまり、もっと働きやすい多様な労働形態をつくる必要がある。
 ところが、ここ数年の間、「正社員が良い。非正規雇用はダメだ」という乱暴な価値観が蔓延して、正社員を増やすことだけに議論が集中してきた。

 雇用形態は多様かつ公平なものに
 しかし実際には、正社員という働き方ではやっていけない人もたくさんいる。子育てや親の世話などがあるため、残業も含めフルタイムで正社員として働くことができないケースも少なくない。
 雇う側も、正社員だけでは困る。なぜなら、諸外国に比べて日本の正社員は法的に過剰保護されており、企業にとってはコスト高につながるからだ。そのため、非正規雇用などを増やしてきたという経緯があるのだが、非正規雇用がダメということになると、採用そのものを減らすしかない。非正規雇用を制限しても雇用は増えず、企業は拠点を海外に移してしまうことにもなる。
 働く側からも雇う側からも、多様な雇用形態を望む声が大きくなっている。ただし、多様だが公平な制度でなければならない。最終的には正社員と非正規雇用の区別をなくし、全員が公平なルールの下で保険・年金に加入し、長時間労働か短時間労働かといった雇用形態を自由に選べるようにする。そのための制度づくりが重要になってくる。
 その第一歩が、解雇規制緩和である。もちろん、解雇は簡単にしていいものではない。必要なのは、解雇のルールを明確にし、多様な雇用形態と公平性を経営的に可能とすることだ。
 現在、解雇に関するルールは、1970年代の判例によって縛られている。法律的には業績悪化による解雇(整理解雇)が可能となっているが、判例で事実上、整理解雇が禁止されており、企業は正社員を解雇することができなくなっている。判例による不透明なルールが、雇用のあり方を歪めていると言える。

労働移動を促し経済の生産性を高めるのが鉄則
 もちろん、雇う側と働く側を比べた場合、一般的に働く側の方が立場が弱いのだから、労働者の権利を守るという原則に立ちつつ、解雇のルールを再整備する必要がある。また、正社員も非正規雇用も同じ解雇のルールを適用することは、「同一労働同一条件」という原則を徹底することになり、雇用形態間の公平性も保たれる。
 そのうえで、生産性の高い部門に労働を移動させることが重要だ。経済全体にとってプラスになるのは当然のこと、労働者も賃金が上がり、労働意欲が高まることになる。
 労働移動を促し、経済全体の生産性を高めていくことは、成長戦略の鉄則である。ところが、近年の政権は雇用調整助成金によって労働者を塩漬けにしてきた。
 雇用を守るための雇用調整助成金は、一見すると労働者に優しい政策のように思える。しかし実際には、労働者の移動機会を奪い、生産性の低い部門に労働者を縛り付けてしまっている。経済全体の生産性も低迷させることになる。
 産業競争力会議では、労働移動についても提案を行った。厚生労働省も、この提案には前向きに回答している。  労働移動を促すには、たとえば現在、雇用調整助成金に使われている1000億円(ピーク時には6000億円)のお金を、労働移動のための補助金にシフトしていくことが必要だろう。これまで、労働移動のための補助金には5億円しか配分されてこなかった。1000対5の予算配分を逆転させるくらいの思い切ったことをしなくてはならない。

 産業の新陳代謝をどう高めるか
 ハローワークの外部委託も必要になる。具体的には、ハローワークが持っている情報(求人情報や求職情報)を、民間企業にも公開して、雇用のマッチングを進める。
 すでにオーストラリアでは職業紹介事業の民間開放を行っている。その結果、真剣にマッチングを進める民間企業が実績を伸ばし、公営の職業紹介所を凌駕している。
 このハローワークの外部委託についても、厚労省は前向きに回答した。ただ、回答文には「求人情報を公開する」としか書かれていない。求職情報は含まれないというのだ。
 おそらく厚労省としては、個人情報保護などを言い訳にしているつもりなのだろう。しかし、そこには現状を維持したいという意志が感じられる。
 こうした労働問題と合わせて、もう1つ議論されているのが、産業の新陳代謝をどう高めるかというテーマである。開業率を見ると、欧米の10%に対し、日本は5%と低い。さらに日本は廃業率も5%と低いのが特徴だ(欧米の廃業率は10%弱)。
 つまり、日本では収益性の低い企業が生き長らえているということになる。だから、新規企業の参入も行われにくい。日本では成果を上げられない社長がクビ にならずに居座れるシステムが存在することも影響しているだろう。

独立した社外取締役がいるのが当たり前
 そう考えていくと、議論はコーポレートガバナンスの問題に行き着く。具体的には、独立した社外取締役に関する取り決めの問題だ。普通の国なら、たとえば社長が2年間(1期)で実績を上げられなかったとしたら、「社長を辞めてくれ」と提言できるような独立した社外取締役がいるのが当たり前である。
 世界の中で日本だけが、独立した社外取締役の就任を義務づけていない。せいぜい、東京証券取引所の努力義務、社外取締役が1人置かれる程度なのだ。他の国では、取締役の半分が独立した社外取締役になるよう何らかの形で義務づけられている。
 この問題を議論すると、法務省は「経済界が反対しているので」と難色を示す。産業競争力会議でも、経済界出身のメンバーの何人かは、社外取締役の義務づけに反対だ。
 経済界はTPP問題や電力問題などで政府に要求を突きつけるのに、自分たちの居心地が悪くなることには反対する。こういう志の低さがある限り、やはり日本は良くならない。
 経営者は労働市場の流動化を求めるが、そうであれば、同時に経営者の流動化、新陳代謝も促さなくてはならないはずだ。このコーポレートガバナンスの問題や労働市場制度改革が、「日本の風景が変わった」と思えるほどの成長戦略を打ち立てる試金石になると私は考えている。 ≫( 日経BP net:企業・経営:竹中平蔵の「経済政策ウオッチング」)

成熟日本への進路 「成長論」から「分配論」へ (ちくま新書)
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