世相を斬る あいば達也

民主主義、資本主義とグローバル経済や金融資本主義の異様な違いについて

●罪務省は不公平な税制を変革せよ 超高額所得者に手をつけろ!

2018年05月06日 | 日記
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●罪務省は不公平な税制を変革せよ 超高額所得者に手をつけろ!

以下のレポートは、2016年時点のものだが、現在2018年も、それほどの相違がない。言いたいことは、五千万~1億円以上の所得のある人への所得税率が低い、と云うだいじな話だ。税の公平性に関する問題と、国のかたちと云う二つの問題が、その国の税制に現れると考えて良いだろう。

現状の税制は、経済成長至上主義における税制であり、いわば、旧通産省的な立ち位置に立脚している。特に、第一次安倍内閣時代の2007年が高額所得者への税負担率がピークを迎えると同時に、その後下降線を描くことになる。それ以降、麻生内閣、民主党内閣、第二次安倍内閣と、あきれるレベルで、高額所得者の税負担率は下がり続けているのが現状だ。

現在の課税では、超高額所得者への課税は、あらゆる側面において、公平性を欠いた税制に守られ、超高額所得者は豚のように太るばかりになっている。まず、累進課税と云う税の体形を、単純累進課税方式から、超過累進税率方式に変えることで、大幅にトータルの税額を免除する方式をとり、超高額所得者を守っている。

その上、その所得税率も、ピークの1962年時点の75%だった所得税率を、1999年には、なんと37%まで引き下げた。さすがに酷すぎると思ったのか、その後、改正が加えられ、現在は所得税の最高税率は45%になっている。しかし、ピーク時の6割であり、且つ、超過累進税率方式なので、実際上の納税額は、ピーク時の半分以下になっているのが現状だ。

このような金持ち優遇な税制の流れは、自由主義経済とグローバル経済と云う二つの側面から、世界的流れに沿って変遷した事情は理解出来る。民間で出来ることは、すべて民営化していくのが正しいというイデオロギー的変革だったが、公共財を民営化する考えは、民営化された企業が“人”である場合には、公正公平に寄与する可能性はあるが、民営化と云うのは、“マネー”という正体不明の妖怪に、公共財を任せるのと同義的である。

ようするに、その国家が、際限なく自由な“マネー”の欲望に、身を任せるべきか、否かの問題である。国の税システムで再配分を行い、社会を維持するのか、“マネー”のなすがままにして、その市場原理によるトリクルダウンで、再配分機能を機動させるかと云う問題だ。市場原理主義的考えが、いかにも成立しそうな時期が、一時あったのは事実だが、“マネー”の正体は移ろうもので、国家が、身を委ねるほど信頼のおける“もの”ではなく、いつまでたっても太ることをやめない、自制心などの欠片もない俗物であることが証明されつつあるのが、現状だろう。

ピケティの21世紀の資本論の著作が、世界的に売れた原因も、自由主義経済、市場原理主義の行きすぎが、グローバル経済化するに従い、国家の喪失と人力では制御不能な世界を迎えることになると気づき始めた人々が多く現れた証左なのだろう。時を同じくする形で、国家統制のもとで、資本主義や市場原理主義を導入した「中国」と云う国のかたちが、独り勝ちする事実を目の当たりにした欧米社会は、それぞれの方法で、1%対99%の国民分断型社会構造に危機をつのらせている。

日本でも、経済成長至上主義に疑問を持つ人々も増えてはきているが、まだ多くの人は、経済成長こそが、すべてを解決してくれるという“呪文”に囚われ人になっているようだ。その国に、自然なかたちで、経済成長の糊代があるのであれば、その考えに問題はない。経済成長と云うものは、その国の人口、餓え具合、開拓すべき場所を有している状況において、自然発生的に起きるものであり、無理矢理、人工的に市場を作りだすことには限界があり、副作用が多い。

我が国で言えば、リニア新幹線、原発新設や再稼働、水道の民営化、オリンピックの誘致と再開発など、人工的に市場を作らざる得ない状況に陥っている。つまり、根本的な成長余力がないのに、何が何でも経済成長が生じそうなものに、無理やり投資を続け、“屋上屋を重ねる”ことでしか、マネーに市場を提供出来なくなった国が選択すべき税制ではなくなっているのが真実だろう。いまこそ、我が国は、国のあり方について、根本的に考えるべき時期が来ているのだと思う。

このような重要な転換期において、些末な憲法改正に血道を上げる政府が出現したことは、まさに、皮肉でしかない。経済成長≒善という考えは、心持ちはいいが、“屋上屋を重ねる”ことでしか市場を提供出来なくなった国なのだから、180度考えを変えていくしかないことに気づくべきなのだが、どうも同調者をメジャーにすることは困難なようだ。定常経済論を繰り広げている学者もいるが、現状は道半ばだ。将来の国のかたちを展望することで、本日のテーマである不公平税制についても、自ずと改革が行われるのは当然だ。


≪所得1億円超だと税負担率はこんなに低い、金持ち優遇の実態
 政府税制調査会の議論が、大詰めを迎えている。報道では配偶者控除の引き上げやビール税の一本化などが注目されているが、実は隠れた重要なテーマがある。それは日本の所得税が金持ち優遇になり過ぎているのではないかという点だ。
 日本の所得税は二つの大きな課題を抱えている。一つは、共働きやパートタイムなど働き方が多様化している今、働き方に影響を与えない税制にいかにリフォームしていくか。もう一つは、格差拡大を是正するために、いかに所得の再配分機能を回復していくか、である。金持ち優遇は後者に関連する。

■所得金額約1億円超から 税負担が軽くなる
 日本の所得税率は現在、5%~45%まで7段階の累進税となっている。最高税率は45%で、4000万円以上の課税所得に適用される。よく誤解されがちだが、例えば、課税所得が5000万円の場合、丸々5000万円に45%が適用されるのではなく、4000万円を超える1000万円に対して45%の税率が適用される。いわゆる超過累進税率方式を採用している。 





 グラフを見ていただきたい。これは分母に所得、分子に所得税を採って、所得税負担率を計算したものだ。対象者は確定申告を行った申告納税者だけで、企業が税金徴収を代行(源泉徴収)しているほとんどの会社員が含まれていないという限定つきながら、大きな傾向を示していると言える。
 グラフの実線が負担率。ひと目で分かるように2013年、2014年とも所得税負担率は1億円近辺をピークに、それ以上稼ぐと徐々に低下していき、100億円以上では13年で11.1%、14年で17%しか負担していない。それはなぜか。
 理由は簡単だ。給与所得や事業所得に対しては、最高税率45%の累進税が適用されるのに対して、株式等譲渡所得(いわゆるキャピタルゲイン)や配当、債券・預金の利子などの金融所得に対しては、20%の軽減税率が適用される「分離課税」となっているためだ。
 このため所得(グラフでは合計所得)に占めるキャピタルゲインの比率が高くなるほど、全体を平均すると負担率が低くなる。グラフの破線が所得に占めるキャピタルゲインの比率を示しているが、超高額所得者ほどキャピタルゲインの占める比率が高く、その結果、負担率が低くなっている。
 負担率が20%を下回る所得層がいるのは、金融所得に対する税率20%の内訳が、所得税15%+住民税5%となっており、国税庁の元データが所得税の15%のみを集計しているため。2013年分では、その15%をも下回る層が存在するのは、2013年末まで10%(所得税7%+住民税3%)と、軽減税率をさらに軽減した税率が適用されていたからだ。

■金融所得課税5%の引き上げで 約1兆円の税収増が見込める
 税率は負担能力に応じて徐々に高くなっていくのが公平だとすれば、この状態は明らかに公平の原則に反しているように見える。ただ、ことはそう単純ではない。
 理由は大きく言って二つある。一つはキャピタルゲインをどう考えるかという問題。株式に対する課税は毎年の含み益(株式を保有したままで利益が出ている状態)に課税されるわけではなく、売却して利益が実現したときに課税される。
 とすると、ある企業が小さいときに投資して、それが10年や20年後に大企業となった結果、売却して大きな利益を得た場合、その一時点だけを捉えて、給与所得並みの高い税率を課すのは公平と言えないという考え方もある。同じようなことは、ベンチャーの経営者が努力してビジネスを成功させて株式の上場にこぎつけ、保有株式を売却した際にも起こる。キャピタルゲインに対する税率を高くし過ぎると、リスクに挑戦する意欲をそぎ、経済全体の活力をそぐことにもなりかねないというわけだ。
 もう一点は、グローバル化し資本が自由に動ける現在の世界では、金融資産に対する投資は「逃げ足が速い」という性質を持っていること。キャピタルゲインに対する税率を上げた結果、投資資金が海外に逃げ出し、かえって税収が減るという可能性もある。実際、G5(英米仏独日)では、フランスを除く4ヵ国が、金融所得に対して分離課税制度を採用しており、事業所得などとは別の税率を適用している。
 一方、キャピタルゲインをもたらす企業の利益も、社会全体からもたれされたものだから、税負担率を上げて社会全体に還元すべきという考えも成り立つ。東京財団の森信茂樹上席研究員の試算によれば、いまの分離課税のままで、金融所得に対する税率を20%から25%に引き上げると、約1兆円の税収増になるという。これを原資に、貧困対策や教育に回すこともできる。社会全体が健康になり教育水準も上がれば、ひいては企業の利益にもプラスになるだろう。
 税の形は、どのような国の形を目指すのかということの具体的な表現であり、民主主義の基本中の基本のテーマである。確かに、金融所得一つをとっても、分離課税がよいのか、どの税率が公平なのかをピンポイントで判断するのは難しい。だが少なくとも専門家任せでなく、納税者である国民が、いまの所得税が金持ち優遇になっているという現状を知る、このことが議論のスタートになる。
 ≫(「週刊ダイヤモンド」編集委員 原 英次郎)



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