世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●普天間、辺野古両基地並存? 米国の枷から抜ける方法

2019年04月13日 | 報道

 

辺野古に基地はつくれない (岩波ブックレット)
山城 博治,北上田 毅
岩波書店

 

普天間移設 日米の深層
琉球新報「日米廻り舞台」取材班
青灯社

 

普天間・辺野古 歪められた二〇年 (集英社新書)
宮城 大蔵,渡辺 豪
集英社


●普天間、辺野古両基地並存? 米国の枷から抜ける方法


辺野古新基地工事は、大浦湾の軟弱地盤を前に、実はすでに暗礁に乗り上げている。

日本の官僚は、辺野古新基地は、途中で工事不能となり、その理由をもって米国に報告し、あらためて普天間基地をどうするのか、そういう流れをつくろうと企んでいるようにも思える。

まぁ、利権に群がるだけで、後のことは後輩らが、善きに計らうだろう、と無責任に開き直っているのかもしれないが、まぁ、善意に解釈しておく。 

おそらく、日米合同委員会では、幾つかの仮説をもとに、議論されていると考えるのが妥当だ。

そこまで、日米同盟上注目されている、沖縄普天間基地移設問題なのだから、その移転先である辺野古基地建設が埋立不可能と云う事態が想定されるわけだから、議論していないわけがない。

無論、日本外交の恥部情報が、記者クラブ温室育ちのマスメディアに漏れてくることはない。

結局のところ、米軍海兵隊が沖縄にいようとする限り、普天間基地が返還される可能性は相当程度ゼロに近いと云うことだ。

辺野古に代わる基地提供が、現実的にあるのなら別だが、現時点、その他の候補を探している気配はない。

しかし、日米同盟が大切だからと言って、そこに住んでいる住民の7割近くが、嫌だと言っているのに、ここまで強行する日本政府の態度は、或る意味で不自然でもある。

沖縄県民と敢えて対峙することを選択することが目的化しているようにさえ見えるのだ。

現に、計画は暗礁に乗り上げていると言っていいのだから奇妙だ。それでも、工事を無手勝流で強引に進める安倍政権は、利権目的だとしても異様だ。

7割の県民の反対の意志を受けて、立ちどまるチャンスはあった筈なのに、県民投票の絶対反対を想定した上で、土砂投入工事をしたのだから、確信犯なのだ。

軟弱地盤への技術的エビデンスは不明で。やるだけやってみようと云う、精神論に頼る関東軍のような無謀さにも似ている。

単に、日本独特の“ヤメラレナイとまらない”と云う勢いだけで、このような不条理がまかり通るのは、少し不自然だ。

現在の政府の甘い試算でも、大浦湾の軟弱地盤工事に7万6千本以上の杭を打ち込み、工事を進めるようだが、実現可能かどうかも不明な工事に2~3兆円の税金を投じ、工期も10年だか15年だか、そもそも出来ないこともあり得るのか、明確に答える部署さえない。

このような問答が聞けるのは、菅官房長官vs望月記者なのだが、官房長官の「問題ない」のひと言が返ってくるだけだ。

以下、小沢氏がインタビューで答えるすべてが、確実な情報かどうか、定かではないが、ここに一縷の望みがると云うのでは、かなり心許ない。

ただ、米軍にしてみれば、普天間基地に追加で、辺野古基地も使えるようになるのは好都合なわけで、特別反対する合理的意味はない。

特別、辺野古基地と普天間基地のバーター取引の約束はしていないので、その時の情勢で判断するに過ぎないのだ。

つまり、沖縄の普天間基地と辺野古基地に海兵隊の飛行場が出来ると云うことも、この流れだとあり得ることだ。

政府は、世界で最も危険な米海兵隊基地、普天間返還には、代替基地は不可欠と云うロジックを公式見解にしているが、米海兵隊はふたつとも使いたいと言い出すかもしれない。

現状の、日米の力関係では、二つは無理よと米国に言える力は日本にはない。

つまり、どこかで、日米同盟関係に楔を打たない限り、日本の隷属国家概念は定着化し、独立を自ら放棄する国家になってしまうだろう。

鳩山由紀夫が楔を打とうとしたが、あっけなく潰された。次の日本の首相は現れるのか、現れないのか。

少なくとも、枝野レベルだと、楔を打つ可能性はない。結局は、山本太郎的な政治家が政権を握らない限り、日本の独立はないのだろう。

いや、個人的には、もう一つのチャンスはあると考えている。それは、日本が破産した時だ。

もう、米軍に対して、思いやり予算など出すことが出来ず、駐留経費の負担は不可能になったので、駐留の解消を申し出ることが可能だ。

金の切れ目が縁の切れ目、国内の安保業者らも蜘蛛の子散らすようにいなくなるわけで、利権も同時に消えていく可能性だ。

案外、腰の抜けた日本の政治家連中は、自国が破産することで、正常化の道を選ぶチャンスが生まれるくらいに考えているかもしれない。

 
≪「本音は辺野古不要」小沢一郎氏が語る、米軍の意外な真意とは?

 県民投票で示された「辺野古反対」の民意実現を目指す玉城デニー知事。カギを握るのが、「政治の師」であり、現在は野党共闘を主導する小沢一郎氏だ。

*  *  *
 故翁長知事の「遺言」で、後継者として玉城デニー氏に白羽の矢が立ったのは昨年8月。当時、沖縄3区選出の自由党衆院議員だった玉城知事が、知事選立候補を表明する直前に相談したのは、「政治の師」と仰ぐ党の小沢一郎代表だった。

「翁長さんの遺志を継いで出馬する以上は勝たなければならない」。小沢代表はそう助言。「オール沖縄」を構成する各党の支持を取り付けた時点で、あとは知名度とキャラクターの魅力で「勝てる」との手応えはあったという。小沢代表は当時の思いをこう振り返る。

「沖縄の革新政党は強いが、保守の浮動票を取りこまないと知事選には勝てない。それができる立場の人物はデニー君しかいない。翁長さんが後継指名したのも無理はない」

 就任から半年を迎えた玉城知事を「誠心誠意、全力でやっている」と評価する。しかし、現政権が交渉相手では「辺野古」に対する「ゼロ回答」は続くと見る。

「安倍政権ではだめ。政権を代える以外にない。ただ、沖縄の人たちにトラウマがあるのもわかります」

 2009年の政権交代で誕生した民主党の鳩山由紀夫首相は、普天間飛行場の移設先として「最低でも県外」を掲げたものの挫折。結局、沖縄県内の「辺野古」に回帰した。鳩山政権の失敗の本質はどこにあったのか。当時、閣外にいた小沢代表は「詳細な経緯は知らない」と断った上でこう話す。

「自民党政権同様、民主党政権でも米政府との間で真の普天間問題の解決に向けた対話ができなかった、ということだと思います」

 小沢代表は今、野党共闘を主導している。政権交代が実現すれば、民主党政権も自民党政権も破れなかった「壁」を突破できるのか。

「同じ過ちは繰り返しません。もう一度、政権交代すれば辺野古は停止し、普天間も返してもらう。それには国内だけで議論していてもダメ。米政府と話し合わないとらちがあきません」

  小沢代表が米国との協議によって「解決可能」と見通すのは、米軍内部の本音を耳にしているからだという。

 そもそも米政府が、地元の反対を押し切り、日米同盟全体に打撃となりかねない政治的リスクを負ってまで、普天間代替施設としての要件を満たさない空港をつくろうなんて思うわけがない──。辺野古新基地に対して、小沢代表はかねてそんな疑問を抱いていたという。

「軍の強い要求があって、米政府も何も言えないのかなと思っていたら、政府も軍も辺野古に新しい基地など要求していない、と内部関係者から聞いたので驚きました。現政権下では公式に認めないでしょうが、米軍内部も『辺野古新基地は不要』というのが本音です」

 その上で、小沢代表は玉城知事にこうアドバイスする。

「何らかの形で米政府の本音を探る手立てを考えるべきだと思います。米政府中枢とつながらないといけない」

 しかし、米国内部で不要論が出ているなら、政府はなぜ新基地建設を止められないのか。

「利権以外の何ものでもない、と考えています。原発はもうやめた方がいいと専門家を含む多くの人が発言していますが、止められないのと同じ構図です」

 沖縄県は、例のない深度の軟弱地盤改良などで、辺野古の総事業費が2兆5500億円以上に膨らむと試算している。

「埋め立て用土砂の確保や地盤改良でコストが膨らめば業者だけでなく、官僚も防衛省の予算増を求める根拠になるため都合がいいのです。まさに政官産学が密接に絡む利権。結局、負担を負わされるのは国民です」

 小沢代表は民主党代表だった07年に「軍事戦略的に米国の極東におけるプレゼンスは第七艦隊で十分だ」と発言した。これは沖縄県が求める「海兵隊の県外・国外移転」と通底する要素もある。小沢代表は今もこの考えに変わりはないのか。

「全く変わりません。中国や朝鮮半島情勢を見れば、米軍のプレゼンスは極東に必要です。ただし、抑止力と米国の政治的プレゼンスの維持をシンボリックに言うと、第七艦隊で十分だということです。あとは、有事の際の展開能力さえ維持しておけばいい。本当のいくさのための部隊が平時からすべて日本に駐留していないといけないという理屈はない、と言っているのです」

  政府は「沖縄の海兵隊は抑止力のために必要」と説明している。小沢代表はこれを「嘘だ」と一蹴する。

「世界中で、在外米軍の撤退が潮流になっています。沖縄の海兵隊の実戦部隊も大幅削減されます。これは、有事に即応展開できればいいという米政府の考えの反映です」

 小沢代表は自公政権の対抗軸として、どのような安保政策をイメージしているのか。

「日米関係は最も大事な二国間関係です」。小沢代表はそう強調した上でこう言う。

「安倍首相はトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦しましたが、こうした太鼓持ちのような外交では通用しません。日米同盟は対等であって主従の関係ではありません。軍事力を対等にというのではなく、国どうし、首脳どうしが対等な関係でなければならないのです」

 さらにこう指摘する。

「安倍首相は日米関係を盾にとって軍事大国への道を歩もうとしています。集団的自衛権の行使を容認し、国際紛争に自衛隊を派遣できるよう道筋を付けました。国際連合憲章は、国際紛争には国際社会で一致して対応することを掲げ、日本国憲法はその理念を踏襲しています。軍事力は国連としての発動に限定しなければ歯止めなき軍拡競争になり、第2次世界大戦前の状態に戻ってしまいます」

 政権交代の実現に大事な要素は、受け皿となる政治勢力を結集できるかの一点に尽きる。その帰趨が、沖縄と「辺野古」の将来にも直結する。(編集部・渡辺豪)※AERA 2019年4月15日号

≫(AERAdot.)

 

安保論争 (ちくま新書)
細谷 雄一
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