世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●安倍訪中が意味するもの 日米安保脱却の扉をひらく?

2018年11月01日 | 日記
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安倍訪中が意味するもの 日米安保脱却の扉をひらく?


自称、良識的日本人を自負するあいば達也は考えた。安倍晋三をコケにすることにも飽きたので、安倍を名宰相にするためには、どのようにすればいいのか、様々に吟味してみた。無論、どれほど理論上の名宰相有資格者であっても、国民から、「あいつは嘘つき」「あいつの人格は許せねえ」と評価された場合、有資格者であっても、二次面接で落とされることは言うまでもない。

最初にオチを言ってしまっているので、これからシタタメル様々な吟味は徒労に終わることは承知だが、3期も自民党総裁を歴任する政治家なのだから、吟味くらいはしてやらないのは礼を失すると考えている。安倍政権の個別案件においては、収賄や強要、恐喝、隠蔽など、何らかの刑法に抵触するような振舞いをしているわけだが、その個別の罪はさておくと、世界の大きな流れの中で、ウッカリ正しい方向に走りだした傾向が観察できる。

歴史の悪戯と云うものは不思議だ。最も愚劣な政治権力者が、右顧左眄する内に、自国を最も正しい方向に導いてしまう出来事があるものだ。無論、安倍政権が論理的に正しい方向性を出したわけではなく、時代の流れの勢いに流され“意地汚い浮き草”のように振る舞った結果、正しい道を歩みだしたということだ。いや、歩みだしているように見えているだけで、逆戻りするかもしれないので、既成事実として評価は出来ないが、現在進行形の範囲で、評価出来る。

無論、その心得の中には、不遜や裏切りの臭いも残っているわけだが、一歩だけでも、正しい日本の方向に足を踏み入れた事実は評価しよう。第一に、対中国政策を最重要に考え出したフシがあることだ。より近い大陸に覇権が移行する臭いの誘惑に負けたと言って良いだろう。近い将来の米国、中国のマーケットの市場規模の差は歴然としているわけで、意地汚い経団連が、中国マーケット重視を、経産省を通じて官邸に強く働きかけたことは容易に想像がつく。そして、その選択は、概ね間違っていないのは事実だ。

今までであれば、外務省が主体になって、官邸を対米従属の強い政権に方向づけていたが、安倍官邸の内閣人事局と云う強権が、官僚独裁政治を打破し、政治主導を実現した。結果、財務省、外務省の力を骨抜きにしたので、フリーハンドの外交が可能になった。政治主導と官僚主導の、どちらが適正な政治を行うかは、その時代の要請によって適性の判断はかわるので、どちらとも言えない。ただ、現時点だけで判断すれば、政治主導だったから、あれほど不用意に安倍は外交が出来たと言える。

そして、その無目的だった外交をしていたわけだが、最後の最後になって行きついた訪中外交で、的を射た。このようなフリーハンドな外交が出来たのは、超強権安倍官邸だから出来たことだが、オバマ時代には絶対に不可能な外交だった。また、トランプと云う米大統領の誕生で、流石の安倍官邸も我に返ったに違いない。こんなアメリカとつき合うくらいなら、中国と朝貢外交した方が得策だと。前門の虎より後門の狼に方がつき合い易そうだと踏んだのだろう。トランプのお蔭で、貿易上は対米輸出で酷い目に遭うが、その分だけ、米国からの政治介入は回避出来るわけで、痛み分けである。であるなら、対中国への接近は当然の結論だ。

親オバマだった独メルケル首相も、やる気をなくした。米国一流の、民主化と云う内政干渉イデオロギーの衰退は確実なもので、この流れが急に止まることはない按配だ。トランプ大統領は名実ともに、世界の警察はやめる、名誉職のような覇権国家でなくても構わない。軍事同盟している国は、米軍駐留経費を全額持つべきとまで言っている。つまり、払わないのなら、米軍を撤退させると言っているの。つまり、話の持っていきようでは、日米同盟が緩やかに氷解する可能性さえあるのだ。

米国が同盟を結んでいる主だった国は、英・EU(NATO)・日豪韓・サウジ・イスラエル・トルコなどだ。その一つひとつを吟味してみれば判ることだが、英はEU離脱で浮足立っているし、EUの盟主ドイツ。メリケル首相はトランプ大統領とは水と油でやる気を失った。ドイツが混乱すれば、EUのスポンサーが消えるわけだから、EU本体の命運にも疑問符がつく。韓国は、北朝鮮と朝鮮戦争終結に向けてステップを踏んでおり、韓国駐留米軍の撤退は、現実的に視野に入った。サウジは王子の乱行で、当てに出来ない国になっているし、トルコも露中への接近が露わだ。つまり、世界で、クソ真面目に米軍とつき合っている国は、日本と豪州だけである。

余談になるが、このような状況下で、辺野古新基地建設に猛進する安倍官邸の姿勢には、どこかで矛盾が露呈している。玉城知事が本気でトランプと話をすれば、「米軍には不必要だが、自衛隊には必要なのだろう」と云う言質を得るだけで、防衛省へのカウンターパンチになるし、官邸の強硬策のイカサマぶりが露呈するだろう。まぁ言いようによっては、自主独立の国家として、辺野古基地は重要だ。普天間、嘉手納より、辺野古が公共事業としても重要と云うのが、経産省政権の言い分になるだろう。

いずれにせよ、安倍官邸は環太平洋よりも、一帯一路への参加を選択すことになるだろう。それがハイエナ経団連の切なる願いなのだから。しかし、下卑た市場原理主義的イデオロギーの名の下、到底無限とは思えない市場を拡大する考えには無理がある。民主主義と云う欺瞞のイデオロギーに裏打ちされたように見えるグローバリズム経済が、持つ者と持たざる者の差を拡大し、最終的には民主主義を破壊する方向に動きだすとは、誰が考えただろう。市場原理主義には無理があった。彼らの考えが正しいと証明するためには、魚や昆虫までを顧客にしなければならなくなる。或いは、地球を2つ3つ用意しなければならない。

安倍首相は、意味が分かっていないだろうが、自由貿易を守ると言っても、グローバリズム経済は金融経済とタッグを組むことで、国境を亡くし、マネーに勢いを与え、人間がマネーに傅く結果を招く。マネーがいくら生き物だと例えられても、マネーに従属する人間たちと云う世界は、想像を絶する醜く空々しい世界になるに違いない。その意味で、トランプ大統領自身は理解してないだろうが、彼の保護貿易主義がグローバル金融資本主義世界に警鐘を鳴らす結果になるかもしれない。

或いは一定期間、残された市場を食い荒らすまで、グローバル企業群が宴を愉しむだろうが、期間限定であり、市場が細ればジ・エンドなのだ。この現在の流れは、自主独立を目指す日本にとって、日米安保体制からの脱却のチャンスだが、米国の重しを失った日本と云う国も、想像してみれば、相当に怖い気もする。米国の従属からの脱却は望むところだが、重しを失った日本と云う国に、本当の意思があるのかどうか、かなり不安である。渋谷のハロウィーン騒ぎを観ながら書いているが、更に不安になる日本の現状だ。

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