世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

安倍首相の発言は広義のインサイダー情報? アベノミクスは買いシグナル?

2013年09月29日 | 日記
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●安倍首相の発言は広義のインサイダー情報? アベノミクスは買いシグナル?

 最近の安倍晋三を観察していると、麻薬でも打ったようなハイテンションが10カ月近く続いている。グローバリズムと国家主義が混在した矛盾だらけの政策を実行しようとしているのだから、この先日本が何処に向かっていくのか見当もつかない有様だ。一つ一つ例示する気にもなれない。要するに、国境なき経済体制シフトと国境や国家観念の打ちだす姿勢も鮮明なのだから、開くことと、閉じる行為が同時並行で行われようとしている。そんな論理矛盾を抱えた安倍政権のハンドリングだが、一つだけ共通の認識がある点は重要だ。

 論理矛盾の中にありながら、共通項があることは奇跡だが、これが存在することで、安倍政権の正体を理解する上での糸口になるだろう。この一つだけの共通点と云うのは、国境なきグローバリズム金融世界経済に突き進もうと、国家主義でプチ帝国主義に走ろうと、そのプレィヤーは「国家と企業」であることだ。そのような認識で国家が運営された時、現憲法で明確にしている「主権者は国民」と云う基本概念は、実質的に放棄されることを意味している。

 安倍晋三はアメリカに渡り、一層口は滑らかになり、「Buy my Abenomics」だとウォール街で金融関係者を前に大口を叩いて悦に入っている。動向記者団には、消費税増税に合わせ、復興法人税の前倒し廃止や法人実行税の引き下げを、既成事実のように高らかに宣言している。「法人対個人ということではなく、国民全体の収入を上げていくためにはどうすれば良いか、冷静に議論する必要がある」と使い古されたトリクルダウン論を披露するのだが、株主優位の資本主義が定着し、世界中が危うい金融緩和政策競争に明け暮れているのだから、明日にも第二、第三の「リーマンショック」が起きるわけで、その防衛資金として「企業内部留保」に手をつける経営者はいない。

 「減税が賃金上昇につながる保証はない」と、トリクルダウンの効果への疑問が提示されても、「必ず賃金に反映されるようにしていく」と、日本中の企業のオーナーである気分に浸ったままである。安倍の頭の中は、完全に国家主義者になっている。企業は国家の手足であり、国民は企業の駒である。企業の利益の一部を、駒である国民の一部に還元する支持は、容易に達成できると思い込んでいる。安倍晋三にとって、「アベノミクス」への好評価が強き一点張りになれる原動力なのだが、おそらく、その経緯において、市場を動かす為には、市場を喚起するリップサービスを絶え間なく流しつづけるものだと認識したようだ。筆者はここまで書いて、「インサイダー取引」と云う言葉が浮かんだ。

≪インサイダー取引
  投資判断に影響を及ぼすような、会社の未公開の情報を、ある一定の立場ゆえに知るに至った者が、その情報に基づいて、その情報を知り得ない者と、その会社の発行する株式等の証券の取引を行なうこと。 証券取引法第166条で、会社関係者は、上場会社等の業務等に関する重要事実を知った場合は、その重要事実が公表された後でなければ、当該上場会社等の特定有価証券等の売買その他の有償の譲渡または譲受をしてはならないとしている。
  これに違反した場合は、懲役もしくは罰金に処し、又はこれを併科されます。会社関係者には、当該上場会社等の役職員、帳簿閲覧権を有する株主、法令に基づく権限を有する者、上場会社等との契約締結者などが含まれる。
  なお、会社関係者から業務等に関する重要事実の伝達を受けた者、すなわち第1次情報受領者も、その業務等に関する重要事実が公表された後でなければ、その上場会社等の株式、CBなど特定有価証券等の売買をしてはならないことになっています。
 重要事実には、新株発行など会社が決定する事実、災害による損害など会社に発生する事実、売上高の変化など決算に係る事実が含まれる。
 公表とは、一般紙、通信社、放送局など2以上のマスコミに対して情報を公開後12時間以上経過したことをいう意味します。 ≫(出典:イーコンサルタント)

 インサイダー取引に関しては、企業や私人を取り締まる観点から定められた規則だが、国家ぐるみのインサイダー情報を、国を代表する人間が、これから行う、自国に国策的経済政策の具体的情報を披露し、我が国への投資は有利だと公言し、勧誘することは、奇妙だろう。特に安倍晋三が描く国家像は、“天皇が元首として存在し、その下に国家が存在し、その下に大企業や地方自治体が存在する。そして、その何処かに所属する国民が存在する”と云う図式があるのだから、現在の安倍晋三の発言は、今後、如何にして日本の企業は利益を生み出すかの、未知の情報(カラクリ)を披露していることになる。そして、その情報の下、投資家が日本企業に投資した場合、この一連の日本企業への国策的政策の流布は、厳密ではないが、広い意味の“インサイダー情報の開陳と投資の勧誘”にあたるのではないかとさえ思う。

 この“未だ知りうべきもない未公開情報”を自国企業への投資が非常に有利な状況に変化すると首相が公言し、同じ時期に国内では、財政再建に向け、福祉の緊縮・切り捨て法案の成立が着々と進んでいるのだか、首相の日本企業売り込み発言の脇を固める手際のよさだ。到底、安倍晋三やその取巻きが考え出した「壮大なトリック」とは考えられない。企業はデカ過ぎれば潰せない、嘘はデカければバレない、そんなものだろうか?

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