世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

伊藤元重の経済成長の一見正論コラム この理屈ならTPP賛成はあり得ないが?

2012年09月20日 | 日記

 

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伊藤元重の経済成長の一見正論コラム この理屈ならTPP賛成はあり得ないが?

 典型的な御用経済学者だ。東大経卒業後、大学院博士課程中退。アメリカ・ロチェスター大学院博士課程修了、ヒューストン大学助教授、都立大助教授、東大助教授、ついに東大経済学部教授と云う学歴の持ち主。米国系御用学者の道をひた走った人物である。自民党系経済有識者として有名で、竹中平蔵とも通じている。政財界マスメディアとの人脈豊富で、TVコメンテータとして、財務省の代弁者(御用学者)のNO1と言われている。当然ながら、消費増税は当然の政策であり、TPP参加も考える余地なしと言い放つ。

 日本国債暴落の危機論争においても、僅かな貯蓄率の低下を金科玉条のデータとして振り回し、金融機関(国民の貯金)がいつまで日本国債を買えるか、保証の限りではなく、増税は待ったなしである、と出鱈目の限りを尽くしている東大教授だ。じり貧国内マーケットなど相手にせず、企業は海外市場に打って出るべきである。今回のコラムでは、その主たる海外市場はアジアだと断定している。

 そんな事、東大教授に言われなくても判っておるよ(笑)。それで中国だ、アジアだとのたまう。アメリカやカナダ、オーストリア、ペルー、チリ、ニュージーランド、カナダ、メキシコ…。アジアじゃねえ(笑)たいして経済成長もしていないし、経済規模が小さいものも含まれる。規模の論理に当て嵌まらんし、距離的優位性も見当たらんね(笑)。まさに御用学者の典型なのだろう。面白い事実だが、御用学者は原発御用学者含め、殆どが優しそうで強引そうではない面構えではない。その上、紳士的に振舞う所作を身につけ、声音までが猫なで声なのだ。恋人を愛撫するわけではないのだ。

 明確な自己主張、持論の展開こそが、学者に求められている。あの人がこう言っている、海外の学者の学説の披露、そんなものを大学の学者に要求などしていない。自説を論理的に展開せよ。それにだよ、経済だけを論じても、とらぬ狸の皮算用と云うもので、好き勝手に海外のマーケットに進出は出来ない。それこそ、政治の信頼や外交防衛という交渉の為のバックボーンやが存在してこそである。伊藤は、そのバックボーンはアメリカと霞が関だ、と頭から信じた上での、ミクロ・マクロなゼニ儲けの理屈を語っているだけである。ロシア、中国、インド、インドネシア抜きにアジアマーケットを語る事は、斬り合いのない「七人の侍」を観ているようなものである。「グラビティ・モデル」を引き合いに出すのなら、TPPのアメリカ・ペルー・カナダはグラビティ論紛いかね?今夜はこの辺で、オヤスミナサイ!

≪ 今後10年で10億人増!激増するアジアの  中間所得層こそ日本経済成長のカギ
 
 グラビティの力  
 経済危機で苦しんでいる欧州の学者から、次のように言われたことがある。 「日本国内では将来に対する悲観論が蔓延しているようだが、それはおかしい。アジアはこれから、世界で最も高い成長を実現するだろう。欧州がアジアの成長の恩恵を受けるためには、わざわざそこまで出て行く必要がある。日本は、そのアジアの中にある」  
 この欧州の学者の指摘は重要である。「距離」の重要性を指摘しているからだ。
 国際経済学の重要な考え方に「グラビティ・モデル(gravity model)」というものがある。オランダの経済学者のヤン・ティンバーゲンが50年ほど前に提起した考え方である。ティンバーゲンはその後、第1回のノーベル経済学賞を受賞している。
 グラビティの考え方は、物理学の引力の法則を借用したものだ。二つの物質の間に働く引力は、距離に反比例し、そして質量に比例する。つまり近いものほど引っぱり合う力が強くなり、そして重い物質ほど強く引き合う。これが物理学の引力の法則だ。
 二国間の貿易にも同様の関係が見られる。距離が近い国のあいだの貿易額のほうが、距離が遠い国のあいだの貿易額よりも大きくなる傾向が強い。そして、大きな国のあいだの貿易のほうが、小さな国のあいだの貿易よりも大きい。
 当たり前のことのように見えるが、ティンバーゲンはデータでこれが見事に当てはまることを明らかにした。それから50年、さまざまな経済学者によって、さまざまな国のデータを使ってグラビティ・モデルの検証が行われてきた。実によく当てはまるモデルであり、国際経済学では基本的な考え方として定着している。
 日本の貿易でも、こうしたことが当てはまるようだ。たとえば、日本と中国の貿易額は、日本と米国の貿易額よりも大きい。これは中国のほうが米国よりも、日本との距離が近いからだ。
 また、日本と韓国の貿易額は、日本と中国の貿易額よりも小さい。韓国は中国より日本に近いのだが、その経済規模は中国よりもはるかに小さい。この規模の差が、日本との貿易額の差として表れているのだ。
 成長するアジア
 日本の近くにあるアジアが急成長している。成長のスピードが速ければ、それだけ日本とアジアの貿易の額も拡大していくはずである。これがグラビティの考え方である。
 残念ながら20年前には、アジアには強いグラビティは働いていなかった。GDPの規模で見ると、当時、アジアで一番大きかった国は日本だ。2番目に大きな中国は、日本の8分の1程度しかなかった。他の国はもっと小さかった。
 日本とアジアの国々のあいだの貿易額が小さかったのは、当然かもしれない。グラビティが働かなかったのだ。
 それ以前の日本の主たる貿易相手国は欧米であった。遠くにある欧米に輸出できる商品には限界がある。自動車や家電製品は輸出できても、化粧品や日用品などを輸出することは難しい。結果的に日本の輸出比率、つまり輸出額をGDPで割った数値は非常に小さかった。この点はあとでもう一度述べる。
 しかしこの20年間、アジアは急速に成長を続けている。20年前には日本の8分の1の規模だった中国のGDPは、10年前には3分の1に、そして 今や日本を超える規模となった。シンガポールの1人当たりのGDPは、日本を超えてしまった。アジアの多くの国が高い成長を実現している。
 こうしたアジアの成長の恩恵を受けて、日本とアジアのあいだの貿易額は急速に拡大している。グラビティが働き始めたのだ。近隣の国の規模が大きくなるほど、日本の貿易額は拡大していく。これがグラビティ・モデルの指摘することである。
 日本とドイツを比較してみると面白い。どちらも同じような産業発展段階にある。日本の輸出依存度、すなわち輸出額をGDPで割った数値は14%前後だが、ドイツは38%以上ある(出典:IMF『International Financial Statistics Yearbook 2011』)。GDP見合いでの相対的規模で、ドイツの輸出は日本の2.5倍ということになる。輸入で見ても同じようなものだ。
 なぜこのような違いがあるのかは、グラビティ・モデルが説明してくれる。日本にはこれまで近くに大きな国がなかった。だからグラビティは働かなかった。その影響がまだ続いている。しかしドイツは、昔から大きな国に囲まれている。したがって輸出や輸入の割合が大きい。
 日本でも今後は強いグラビティが働いていくことが期待される。ただ、日本が貿易を拡大していくためには、それに応じた産業構造や経済構造の変化が、日本に起こらなくてはいけない。どのようなかたちで産業構造の変化が起きるのか。これを見極めることが、日本経済の変化の方向を考えるうえできわめて 重要になってくる。
 本連載ではこれから何回かにわたり、この点について考えていく予定だ。企業のグローバル展開の拡大、国内における製造業の主役の変化、経済連携協定締結の推進などが重要な鍵となる。
 アジアを内需に
 冒頭に触れた欧州の学者の発言を思い出してほしい。日本は成長するアジアのなかにあるので、恵まれているという話だ。
 日本の国内市場は少子高齢化によって縮小傾向が続く。日本の市場だけを想定すれば、日本の産業は縮小均衡を受け入れなければならない。しかし、目をアジア全域に向けてみれば、話は大きく違ってくる。今後もまだ拡大が続くからだ。
 日本人によって、日本国内で、日本人のためにビジネスが展開する──そう考えれば、将来の見通しは暗い。しかし、内需をアジア全域に広げて考えれば話は変わってくる。日本がアジア市場でビジネスを展開すればよい。アジアを日本の内需ととらえればよいのだ。
 アジアの市場拡大を考えるうえで重要なポイントとなるのが、中間所得層の拡大である。
 中国のGDPは、この10年間でおおよそ3倍になった。経済規模が3倍になったということである。しかし、このGDPの大きさで見ると、中国市場の成長スピードを見誤ることになる。
 この10年間で中国国内の中間所得層と富裕層の数(年収5000米ドル以上の人)はおおよそ7.8 倍に膨れ上がっている(出典:NIRA『アジアの「内需」を牽引する所得層』)。中国のGDPが拡大しているなかで、これまで低所得だった人たちが中間所得層や富裕層に転換している。そのため中間所得層以上の市場規模が、10年で7.8倍にも膨れ上がったのだ。
 これは中国だけの現象ではない。同じ推計を使うと、アジア全域で見たときの中間所得層と富裕層の合計は、2000年には2億3560万人であったものが、2010年には10億8400万人にまで拡大している。この10年間に、8億人以上の中間所得層と富裕層の人口が増えているのだ。
 この数は2020年には、19億1810万人まで増えると予想されている。これか10年で、さらに10億人近い中間所得層以上の人が市場に出てくる。日本の高度経済成長とは、比較にならないスケールでの需要拡大が期待できるのだ。
 日本自身が変われるか
 このアジアの内需を取り込むことができれば、日本経済の将来は明るいはずだ。重要なことは、アジアの成長をうまく日本経済の活力に取り込むために、日本自身が大きく変化しなくてはいけないということだ。
 残念ながら、今の日本は非常に内向きになっている。海外に積極的に展開しようとする意欲が、企業にも国民にも弱い。経済的な停滞が長く続いたことが、そうした内向き指向を強める結果になっている。こうした流れを変え、国を開いていくという方向にどう向かっていくかがカギとなる。
 産業構造も大きく変わらなくてはいけない。日本は「自動車の一本足打法型産業構造」と呼ばれることがある。経済産業省による「産業構造ビジョン2010」のなかで出てきた表現だ。今、こうした産業構造を大きく見直すべき時期に来ていることは明らかだ。次回は、この産業構造の変化の方向について、より詳しく分析する予定である。≫(ダイアモンドオンライン:経済時事:伊藤元重の日本経済)



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