世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

10日増税法案可決 そこからは民主VS自民のガチンコ勝負、ノーガード打ち合いのゴング

2012年08月10日 | 日記
官僚とメディア (角川oneテーマ21 A 62)
クリエーター情報なし
角川書店(角川グループパブリッシング)


多くの応援に感謝、励みになります
人気ブログランキング


10日増税法案可決 そこからは民主VS自民のガチンコ勝負、ノーガード打ち合いのゴング

 極めて“予定調和”な野田内閣不信任に纏わる民自公の選択である。此処までは筆者の読みと殆ど変らないのだが、どこか釈然としないものがある。小骨が喉チンコに刺さっているような違和感だ。それが、どのようなものか、判れば苦労がないのだが、こう云う時は然るべき人のブログ等を読む事で、突然、その原因を突き止めたり出来るものである。筆者は、トップ屋的要素もあるが、ウワシンの元経営者・岡留氏の怒り系コラムが好きなので、よく読む。今回は、岡留氏の意見に、“同意!”と云うわけにはいかないが、読んでいく内に、小骨の正体に気づいた。先ずは、岡留氏のコラムを読んでいただこう。

≪ 野田、谷垣を押し倒して勝利(*筆者が勝手につけた見出し)
 8月某日 野田民主党と自民党の消費税増税の参議院可決を前にした早期解散か総辞職をめぐる政争は、国民に対して永田町の権力抗争の本質を分かりやすく見せてくれた。メディアは政局をつくることが、商売である。テレビは当然としても、新聞も週刊誌もそのクチである。しかし、今回の政局騒動は大山鳴動して鼠一匹で、ジ・エンド。結局、柔道もやっていたしぶとさでは定評のある野田総理が粘り腰で、谷垣自民党総裁を押し倒した形だ。野田総理の完勝、谷垣総裁の完敗である。だいたい、いまどき総裁を名乗る自民党のセンスも古すぎはしないか。赤尾敏愛国党総裁だって亡くなったし、日銀総裁も全くの軽量級ではないか。 総裁を名乗りつつ、谷垣氏が押しに弱い人物であることは「加藤の乱」の時、涙を流して加藤の事を「大将」と呼んだ時点で終わっていると見るのが、永田町の常識ではないのか。結論を出した党首会談の前に開かれた民主党両院議員総会で、野田総理は、解散権は大権であり、総理の専権事項であるとして、「解散時期を明言することはない」と言い切った。それでも「近い将来」の解散時期を「近い」に変えただけで、妥協した谷垣総裁はこれで、政治生命はほぼ終わったも同然だ。
  野田総理に早期解散も総辞職の気配もまったくなく、すでに来年度の予算着手も匂わせているし、樽床幹事長代理も任期いっぱい全うする発言をしている。輿石幹事長もそう思っているはずだ。自民党の中には今秋解散と勝手に思い込んでいる議員もいるようだが、勘違いも甚だしい。野田総理は支持率が落ちようが、スキャンダルが発覚しようが、来年8月一杯は総理を続ける気が満々だと見た方がいい。野田総理の後継候補を狙って、怪しい動きを続ける前原政調会長も、この野田総理の粘り腰に太刀打ちするには人間力不足である。実際、解散総選挙をやれば、野田民主党の惨敗は確実である。負けを承知で戦に突入するバカはいるまい。いや、戦前の軍部はそうだったか(苦笑)。野党5党が出した内閣不信任決議案もこれで否決確実で、政局は何事もなかったように、国会は進行していくはずだ。離党者続出で瀕死の野田民主党だが、自民党も公明党もそれぞれの微妙な党内事情を抱えており、決断力も実行力もない烏合の衆にすぎない。一人微笑んでいるのが、消費税増税を長期戦略に掲げて、自民党から民主党、大手メディアまで粘り強く根回ししてきた財務省である。
 野田政権が生き残ることでプラスの側面はほとんどゼロといっていい。消費税増税だけではない。原発再稼働、オスプレイ配備、集団的自衛権の見直し、 TPP参加問題、すべてにおいて野田政権の悪政を操作しているのは霞ヶ関、財界、米国政府である。オスプレイの事故率も修正され、死亡事故以外の軽度の事 故を含めた修正値が打ち出された。やはり、オスプレイの事故率は高かったのだ。山口県岩国市だけでなく沖縄県民も大反対のオスプレイだが、全国各地の山間部での低空飛行訓練が計画されていることで、反対運動は全国に拡大する可能性もある。ただ、原発と同じく米軍と防衛省は過疎地域を選択しており、都市に住む人たちにとっては他人事になりかねないことだ。大飯原発再稼働で、毎週のように国会周辺でも大掛かりなデモが行われている。さすがの野田総理もデモ隊の代表と会談する方針を固めていたが、枝野大臣の官僚的な横やりで中止。東京電力の福島第一原発事故発生時のテレビ会議の映像も、東電に都合のいい不完全公開で、ジ・エンド。本土復帰直前までベトナム戦争で使われた枯葉剤が、沖縄の米軍基地に貯蔵されていたという米軍関係者の間接証言も米軍の具体的資料で遂に判明した。東電も米軍も日本政府も情報隠しという、民意にそむく反民主主義的行為を平然と行うのが、国意というやつなのだ。原爆を投下された長崎市長の反戦・非核化宣言がむなしく響く、政治状況という他はない。≫(岡留安則の幻視行日記)

 今後の政局は、7割方岡留氏の考えているような展開になる可能性がある。気になるのは、谷垣が岡留氏が謂うほど“ヘタレ”かどうかという点である。筆者の勘にと聞いてみると、「そこまで馬鹿じゃないだろう」となる。自民党の独自調査で今解散になれば“200人当選”が視野に入ってきて、谷垣らが強気に豹変したと云う話もあるが、政局ネタの類だろう。現時点の政党の顔ぶれで15~20%の支持率で、200人当選はあり得ない。その調査を鵜呑みにするほど馬鹿ではない筈だ。

 それでは、谷垣が呆れるほどの馬鹿ではないとして、何が目的で野田の顔を立てたかである。今回の消費増税法案が財務省主導で行われた事実は動かし難い。我々部外者が、今回の消費増税法案のイニシアチブをとったと云う事を知る術は、マスメディアの論調と、識者紛いの連中の言葉が共通している時事実から推しはかることが出来る。「決断できない政治から、決断できる政治に」、「財政再建は待ったなし」、「先送りしない政治決断」、「将来にツケ回しをしない政治」、「200時間を超える審議」、「3党合意は立法の叡智」、「民自公3党合意の重み」、「1000兆を超す借金」、「社会保障が立ち行かない」、「一体改革」、「改革できない日本」、「危機感の共有」等々、心地いい言葉とのっぴきならない嘘の事実表現の連発である。

 谷垣の党首会談で野田が言った「近いうちに国民の信を問う」なんて、どうにでも解釈できる約束で“合意”しましたと云うこと自体、極めて不自然だ。大の大人が、こんなマヤカシ言葉で「わかった」と云うのは変だろう。初めから筆者の予測通り“独自の不信任決議案”など出す気は、さらさらなかったと考えるのが妥当だ。そうなると、何が谷垣の心を揺さぶったかである。“ヘタレだから”と云うほど短絡的ではないだろう。何らかの利益が、自民党及び谷垣総裁に提供されたと疑うのが妥当ではないのだろうか。

 此処で野田民主・谷垣自民・山口公明に均等に介在する財務省の存在を考慮に入れるべきだと思う。利益誘導と云う意味では、マスメディアや識者らを籠絡した手口似たようなものだが、彼らは、政局に関しては、より高度なテクニックを駆使したと考えるべきである。そのテクニックは、ことの他念入りで、合意したり、破棄に言及したりと、誰にも悟られない入念な手順を踏んでいるような気がする。野田も谷垣も全貌を知らされず、財務省の方向づけで動いている可能性は大いにある。土台となるシナリオは財務省の手で作られているが、野田谷垣の丁々発止は織り込み済みで好きにぶつかり合わせていると云う構図だ。

 財務省にしてみれば、政権与党が民主党でも、自民党でも、民自公連立内閣でも、一向に構わない。兎に角、消費増税法案を成立させてしまえば、それで良いわけである。故に、今回の野田不信任騒動も財務省が用意した「決断できない政治から、決断できる政治」、「3党合意は立法の叡智」、「民自公3党合意の重み」等と、3党首を崇め奉る卑屈さで褒めそやしているのだろう。つまり、消費増税法案が参議院を通過する今日10日で、財務省と3党との蜜月は終焉を迎えるに違いない。11日からはノーガードの打ち合いになる。これは結構愉しみだが、生意気に国会も夏休みに入るようだね(笑)。

 かくして、民主・自民の殴り合いの喧嘩が起きても、財務省は間に入らないだろう。もう関係ありません、馬鹿な政治屋どもめ、相打ちで死んでも構いませんよ、と云うところなのではないのだろうか。それこそ、此処からが、情けないが政治権力闘争の開始である。こんな風に考えると、アホ臭くてコラムを途中で投げ出したくなるが、もう少しだけ我慢して書いておこう。民自の殴り合いの喧嘩を仲裁する奴はいないだろう。公明の山口は口先介入、弁護士らしい(笑)。

 おそらく、野田も谷垣も9月の代表、総裁選に生き残るだろう。谷垣が野田が舌の根も乾かぬうちに「例公債法案の早期成立に期待」と言い放てば、「冗談ではない。国民に信を問うた後に整理すれば十分だ」と言いかえし、「既に信頼関係は崩壊しつつあるのかもしれない」とファイティングポーズをとっている。8月10日さえ過ぎてしまえば、財務省にしてみれば、“双方、死ぬまで殴りあったら」と云うところだろう。まさに官僚主導政治が、目の前で繰り広げられているのだが、意外に気づかない人々が多いようである。”噛ませ犬“だらけの政党であり、政治屋だと財務省は政治家を蔑んでいるところだろう(笑)。

 3党連立もOK。自公政権でもOK。野田には民主単独で行けますよと唆しておいたから、それでOK(笑)。国民の生活が第一とか、維新の会等などが政権与党になるのだけは避けなければならない。今、霞が関官僚らは、財務法務が中心となり、小沢、渡辺、橋下らの法的不備やスキャンダラスな噂の集約に勤しんでいるのだろう。愚民どもが、愚かな選択をしてしまった場合、どのようにして追い落とすか、そのミッションに取り掛かっているに違いない。この様な想像くらいは鳩山ら“民主詭弁論者”らは気づいたかもしれない。そこで彼らが選択として“無抵抗主義”(笑)に徹したと云う穿った考えも成り立つ。まぁ、だから彼ら“民主詭弁論者”が棄権しようが反対票を入れようが、有権者の代理人としての負託を裏切った行為に変わりはない。万死に値する国賊的所業である!それでは、今夜はこの辺で。吉田沙保里を応援、なでしこを応援、寝るのは何時になるのだろう?ではオヤスミナサイ!

政治主導: 官僚制を問いなおす (ちくま新書)
クリエーター情報なし
筑摩書房

 
多くの応援に感謝、励みになります
人気ブログランキング

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

よろしくお願い

https://blogimg.goo.ne.jp/img/static/admin/top/bnr_blogmura_w108.gif