世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

7日、自民の意味不明の不信任案は出ない 採決も否決だろうが果実は小沢は握る

2012年08月06日 | 日記
人間の叡智 (文春新書 869)
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7日、自民の意味不明の不信任案は出ない 採決も否決だろうが果実は小沢が握る

 本題に入る前に、ふたつばかり書いておきたいことがある。ひとつは、昨日のコラム「野田官邸、原発再稼働反対集会の代表と面会? 野田のパフォーマンスと疑問の残る代表たち」の件だが、或る関係者によると、福山似の民主党議員が、原発反対集会の“言いだしっぺ”(首都圏反原発連合)の一部と接触したことがキッカケで、野田の面談方向が決定したようだ。ただ、その接触された首都圏反原発連合の人物は「我々が代表というわけではない」という立場を貫いた情報が入っている。どうも、会談が目的ではなく、代表を確定することで、集会の統制を求める方に主眼が置かれている印象だ、という話である。どうも官邸側の一方的情報が主体なので、事実関係はいまだ闇である。

 もう一つは、朝日新聞の≪「波聞風問」:再生エネバブル「将来世論」に堪えられるか ≫と云うコラムが橋下の掌返しの、大飯原発再稼働における、断固反対から、容認に回ったタネアカシが書いてある。大前なら当然言いそうな話で、それにビビる橋下、ついつい“なんぼの男なのかな?”とも感じる。≪ 原発必要論を唱える大前氏は、橋下氏をこう諭した。「もしこの夏、原発が停止したまま関西で大停電が起きたら『橋下ブラックアウト』と呼ばれる。政治生命は終わるぞ」≫ 仮に本当であれば、橋下の器量は大前以下と云うこと、こりゃ見通し暗いだろう(笑)。

 本題の“7日、自民の意味不明の不信任案は出ない 採決は否決だろうが果実は小沢は握る”については、先ずは政局の鬼新聞、産経の記事が参考になる。筆者の考えは読後に書き記す。

≪ 消費増税法案断念か、解散確約か 不信任否決の公算、与野党攻防大詰め
  野田佳彦首相は社会保障・税一体改革関連法案について、自民党の要求通り8日の参院採決に柔軟姿勢をみせたが、自民党は衆院解散・総選挙の確約を迫り、7日にも内閣不信任決議案と首相問責決議案を同時提出する方針だ。今国会での法案成立断念か、法案成立と引き換えの解散確約か。週明けの国会は激しい 与野党攻防が展開される。  「首相に谷垣禎一総裁の心を解かす熱意と覚悟と誠意がないといけない」
 自民党の田野瀬良太郎幹事長代行は5日のNHK番組でこう指摘した。自民党内では「衆院解散の確約がない限り、不信任と問責を出す」(首脳)との主戦論が強いためだ。首相が採決日程でどれだけ譲歩しても解散の確約がない場合、不信任・問責両案の同時提出は避けられそうもない。
 「国民の生活が第一」など野党7党は7日にも内閣不信任案を提出する方針を固めており、自民党も首相側から前向きな回答がない限り、同日中に不信任案と問責決議案を独自で提出する。  この場合、自民党案だけ採決される見通しだが、「生活」幹部は5日、都内で記者団に対し、「理由はどうであれ大局的には同調することになるのではないか」と述べた。
 不信任案は8日にも衆院本会議で採決されるが、可決には野党に加え与党からも15人以上の賛成者が必要となる。一体改革法案の衆院採決で反対・欠席しながら党にとどまった民主党衆院議員は32人。だが、鳩山由紀夫元首相らは早期の総選挙を避けるため反対する見込みで、不信任案は否決される公算が大きい。
 自民党が衆院解散を迫る最大の武器に据えるのが、問責決議案の採決だ。公明党は「3党合意の順守が必要」(山口那津男代表)と自重を求めているが、民主、公明両党だけでは参院の過半数に届かない。自民党幹部は「公明党も同調するだろう」と自信をのぞかせる。
 首相が自民党側への回答をしぶり、問責案の採決が24日まで行われなかった場合、一体改革法案は憲法59条第4項による「みなし否決」による成否が焦点となる。衆院から送付後60日が過ぎ、25日以降は参院の採決がなくとも、衆院の3分の2以上の賛成で再可決が可能となるからだ。
 ただし、与党を組む民主、国民新両党に公明党を加えても、3分の2以上となる319議席には届かない。首相が「政治生命を懸ける」としてきた法案は廃案となる。首相は内閣総辞職か解散かの選択を迫られることになる。≫(産経新聞:水内茂幸)

 中々詳しく今回の二重内閣不信任決議案の悩ましさを解決している。内閣不信任決議は≪議員が内閣の不信任に関する動議若しくは決議案を発議するときは、理由を附し、50人以上の賛成者と連署して、これを議長に提出しなければならない (衆議院規則第28条の3)。したがって、内閣不信任決議案の提出には発議者1人と賛成者50人の計51人が必要となる。  内閣不信任決議案は本会議前の議院運営委員会を経て本会議に上程される。内閣不信任決議案は先決問題であり他の一般の議事に優先する。ただし、衆議院の解散は一切の議事・動議に優先して扱われるため、解散詔書が発せられたときは、議長は議事を直ちに中止して朗読を行うことになる。≫(wiki参照)

 野党6党が提出する内閣不信任決議案と自民党が提出する内閣不信任決議案が同日で重なった場合、双方提出要件を満たしていても、目的が同じである以上、本会議前の議院運営委員会を経て本会議に上程されるので、ここで議会の無駄、或いは決議案の採決が異なるような議会の権威を失墜させるような事態が起きないよう処理される。今回の場合、自民党が120の議席を有した野党第一党(野党6党は70議席前後)であることが重要視される事になると云うことのようだ。

 ただ筆者は、自民党が決議案を提出する可能性は極めて低いと考えている。理由は、自民党自体が党内野党のような顔をしながら、政権与党であり続けたいと祈願しているらしい鳩山由紀夫らが決議案に賛成する可能性は低いと読んでいることだ。つまり、不信任案は否決されると産経同様に読んでいるからだ。鈴木宗男が反対に回るらしいが、次期衆議院選における選挙区事情が大きく関わっている。北海道では、鳩山も鈴木も双方の力が必要な選挙事情がある。

 また、自民党が出すと言っている内閣不信任案の性格は、政党としての筋が悪すぎて、長期にわたり政権与党として日本の政治を支配していた政党とは思えない“自己矛盾”を露呈するような不信任決議案になってしまう。正直、駆け引きの範囲の話であり、到底本気とは思えない。初めは、3党合意で消費増税を成立させると息巻く舌の根も乾かぬうちに、成立したら“不信任”と言っていたのだから、滅茶苦茶な政党の印象しか残らない。与党に戻る道を、筋違いな行動で台無しにする程馬鹿ではないだろう。

 この筋違いを修正したのが、今回の7日提出するぞ!の不信任の形だが、これも“内々解散の確約が欲しい”と云う駆け引きなので、同様に筋が悪すぎる。そこで小泉純一郎が倅を使って、世論に戻った方が政権与党に戻れるぞ!と諭したのだが、谷垣は消費増税に関して、野田以上に望んでいる節があるので、決議案の提出の可能性は低い。民主党内では、鳩山らが現時点では反対に回るだろうから、自民党が筋を通して、野党6党提出の採決に賛成しても、議決は否決される。ただ、瞬間的に危険も伴う。鳩山が謀反ゼロと読み切る自信はないだろう。

 だからといって、野党6党提出の野田不信任決議案に反投票を投じることは、その後の政局のイニシアチブを野田民主党に譲るようなもので、それも出来ない。おそらく、谷垣自民党は、小沢の罠を怖れて、採決の棄権と云う、これも与党第一党としてお粗末な選択をせざるを得なくなるのかもしれない。おそらく、今日(6日月曜日)輿石幹事長・石原幹事長の中身の濃い会談が行われるだろう。野田・谷垣会談ではないような気がする。

 消費増税法案と特例公債法案、衆議院の定数是正を決めたら、解散総選挙と云うのが落とし処だが、密約なのに見え見えと云う約束がなされる可能性が一番高い。しかし、一般的に「解散総選挙を確約」と云う話し合いには無理があるし、書面を交わす等と云うことはあり得ない。そうなると、なにせクーデターを正攻法だと強弁する現在の民主党のことだ、裏切りもありだろう。そうなると、もう谷垣は宙を舞う。政治の師匠・加藤紘一と同じ惨状を迎えるかもしれない。谷垣の脳味噌を割って見てみたいが、自民党は3党合意を破棄するのが政権の常道なのだ。最後に気がつくかどうか、それが谷垣の命運を決する。

 政局と云うもの、書いている最中にも、筆者自身が多くの疑問を持ちながら書いているのだから、渦中の政治家は、右往左往なのだろう。おそらく、今回の政局で泰然自若なのは、小沢一郎だけかもしれない。冗談じゃない、野田内閣不信任案が可決しなければ意味がないではないか!という人々もいるだろうが、野田民主党政権が不信任案で総辞職乃至は解散しようが、行き詰って解散の道を選択せざるを得なくなるのは自明。いずれにせよ、年内解散は確実。であれば、次期衆議院選における政権選択の争点を緊急課題として挙げた「①10年後原発ゼロ ②増税阻止、行財政改革の推進と予算編成の大改革 ③地域主権推進、中央集権体制の打破」が生きるわけで、それで良いのだ。「オリーブの木」のイメージを、野党6党の団結という姿で見せただけでも充分意味深いものなのである。それでは今夜はこの辺で、陸上を観戦しなければならない(笑)。オヤスミナサイ!



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